シトロエン ベルランゴ 試乗│アイコニックなキャラクターで気持ちの良い走りを与えてくれるファミリーカー

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2019年10月に日本でもデビューを果たしたシトロエン ベルランゴ。唯一無二の特徴的なデザインのMPVは、本国フランスだけでなく日本でも、先行予約の開始から約5時間半という短時間で予約枠がいっぱいになるほどの人気ぶり。果たしてそんな大注目のベルランゴの実力やいかに!?

目次[開く][閉じる]
  1. これは「買い!」なシトロエンのMPV
  2. 本国フランスでも“フルゴネット”タイプが重宝されている
  3. ボディサイズ&室内スペースはカングーよりもちょっと大きめ
  4. ハイドロを超えた!? 乗り心地と気持ち良さがハンパない
  5. 走りはカングーと対照的! 穏やかなクルージングがお似合い
  6. 手頃なお値段と充実の先進安全装備で文句なしの最強MPVだ

これは「買い!」なシトロエンのMPV

ヤバイのに乗っちゃったな……。独り身だし友達だって少ない僕ですらそう感じたくらいだから、このときに居合わせた家族想いのエディターや機材満載で長距離だってこなすカメラマン、単に乗り心地フェチな関係者、といった面々が1日中ザワザワしてたのも、ちっとも不思議じゃない。

今年の秋から日本でもカタログモデルが販売されることになるシトロエンのMPV(=マルチパーパスヴィークル)、ベルランゴ。ひとあし早くに上陸した“デビュー・エディション”という特別仕様車にうっかり試乗しちゃうと、どうやら大なり小なり気持ちを持っていかれちゃうようだ。否定的な意見を語る者はひとりもいなかった。こんなことは珍しい。

彼らの上気したような表情や笑顔が物語ってる。これは「買い!」だ、と。もちろん現場まで乗っていって彼らに餌を投げ込んだ僕にも異論はない。SUVもいい。日本的なミニバンだっていいだろう。でも、このちょっと個性的なMPVがディーラーに並んだら、試乗にいってみてはどうだろう? きっとあなたも感じるはずだ。これは「買い!」だ、と。

本国フランスでも“フルゴネット”タイプが重宝されている

ヨーロッパにおけるこうしたMPVは、小型大衆車のリアセクションを大きな荷箱へ置き換えたような貨物車両をルーツにして、発展を遂げてきた。日本では“フルゴネット”とフランス語の呼称で語られることが多い。もちろんこの種のクルマはフランスだけじゃなく古くから欧州各国で作られてきてるのだけど、例えばシトロエン2CVやルノー・キャトル、シュペールサンクなど、フランス車好きにとても好まれた馴染み深いクルマ達をベースとした小型貨物車が次々と作られてきたおかげで、その呼称が根付いたようだ。

フランスは今でも小型貨物車をベースとする乗用車作りが上手い。現在でも、ヨーロッパでのこのカテゴリーは販売台数は、かなりの割合を占めている。最もよく知られてるのは、日本でも人気の高いルノー カングーだろう。カングーもヨーロッパでは商用モデルが6割以上を占めてるのだが、フルゴネット・タイプのクルマに元々備わっていたレジャーヴィークルとしても使い勝手がいい。その性質をさらに高めた乗用モデルは、本国でもファミリー層に重宝がられている。ベルランゴも同様で、カングーのいいライバルというワケだ。

ボディサイズ&室内スペースはカングーよりもちょっと大きめ

日本に導入されることになったベルランゴは、2018年のジュネーヴショーで初公開された第3世代だ。プラットフォームも、グループPSA各ブランドのミッドレンジ以上のクルマのための最新版“EMP2”が採用されている。

その上に成り立っているスタイリングは、どう見てもモダン・シトロエンのそれ。ボンネットバンのシルエットをしていながらも、アイコニックな顔つきやボディサイドのエアバンプなどのおかげで、瞬時におうと判る。キャラはしっかり立っている、というわけだ。

ボディサイズは、全長が4405mm、全幅が1855mm、全高が1840mm。現行版カングーより125mm長く、25mm幅広で、30mm高い計算だ。全長の長さはホイールベースにも活かされていて、2785mmという数値はカングーより85mm長い。

その分だけ室内のスペースにもゆとりが生まれてる気はするが、同時に長さを除けばそれほど大きさに差はないのに、狭い場所ではカングーよりひとまわり大きいような感覚があったりもする。

便利な開閉方法や豊富な収納まわり

リアゲートは観音開きではなくハッチ式で、ガラスの部分だけを開けることもできる。実はこれ、使ってみるとかなり便利なのだ。ガラスを開くと吊り下げ式の収納ボックスにそのままアクセスできるし、そのボックスはリアシートからもアクセスできる。

ルーフの高さを活かした収納はもちろんフロントシートの上にも。さらに、頭上の前から後ろまで渡されてる半透明のブリッジも、間に2箇所の仕切りがあって、天井収納として使える。グローブボックスは11.8リッターもあるし、メーターパネルを覆うフードの上にも小物入れがある。他にもモノ入れはたくさんあって、すべて合わせるとその数は28リッター。

リアシートは3人分がそれぞれ独立した分割可倒式で、実は助手席のシートバックも前にパタッと倒すことができる。シートアレンジはなかなか多彩で、2.7mほどの長尺物を積み込めるという。荷室容量は5人乗車のときには597リッター、シートアレンジを駆使すれば最大2126リッター。

スペース的にも充分だし、モノ入れは充実してるし、なかなか使い勝手はいいのだ。

ダッシュボート周りは、ぶっちゃけ、高級感があるとは言い難い。というか、チープであることを恥じておらず、高級そうに見せようとしてないところに逆に好感が持てる。いかにもプラスティック然としてるのだけど、細かなところまでデザインの気配りが行き届いていて、視覚的に気持ちいいのだ。

シートも同様で、フェイクレザーなどを使わずにサラッとした布地で覆われている。濃淡のグレー系の使い分けに、淡いブルーの差し色。こういうところのセンスが、とってもシトロエンっぽい。

そのシートの座り心地が、実は絶品といえる。背中も腰も腿の裏側も、適度に柔らかく受けとめてくれる。当たりはソフトだけど中身はしっかりしているから、姿勢も乱れない。長距離を走っても疲れない類のシートなのだ。

ハイドロを超えた!? 乗り心地と気持ち良さがハンパない

このシートの座り心地のよさと、シトロエンならではの“ふわり”としたサスペンションの動きの組み合わせが、ベルランゴの最大の美点。しなやか・なめらか・フラットというのは快適なクルマの乗り味を説明しようとするときの代表的な言葉だけど、ベルランゴはそれらをすべて持ち合わせてるし、それらひとつひとつの水準も高い。

シトロエンといえば昔のいわゆる“ハイドロ”サスペンションの乗り心地のよさを懐かしむ人も少なくないが、総合得点でいうならバネのサスペンションを使いながら、そのレベルを超えている。“乗り心地がいい”というより“乗り心地が気持ちいい”とでもいうべき領域に入ってる。

それでいて、意外や操縦性も悪くないのだ。高速道路ではドッシリと安定した巡航をさせてくれるし、曲がりくねった道でも正確に曲がってくれる。いうまでもなくコーナーをギンギンに攻め立てるために作られたクルマじゃないし、脚は柔らかだから曲がるときのロールも小さくはないけれど、そのときの車体の傾き具合は上手にコントロールされていて、そのうえよく粘る。怖さなんて微塵もない。ついでに付け加えるなら、身のこなしは想像するより全然軽やかだ。この辺りのチューニングも絶妙だと思う。

走りはカングーと対照的! 穏やかなクルージングがお似合い

パワートレーンはプジョー308などと同じ最新の1.5リッター直4のディーゼルターボとアイシンAW製8速AT。130psに300Nmと数字だけを見るなら平凡な部類だけど、1590kgの車体を走らせるには充分。低速域からのたっぷりしたトルクの美味しいところを制御の行き届いた変速でしっかりと使わせてくれるから、力不足を感じるようなことは一切なかった。街中でも高速道路でもワインディングロードでも、結構よく走ってくれるな、という印象を感じたものだった。

けれど、それはスポーティというのとはちょっと違う。キャラクターとしては、おっとり穏やかに走るのが似つかわしい。急ぐときにはきっちり応えてくれるけど、日頃はゆったりとした癒しの感覚を味わいながら走るのが心地いい。

ライバルといわれているカングーは、見掛けと違って実は攻め込んでいくと結構スポーティだったりする。1.2リッターのターボエンジンは回して走っても楽しいし、熟成の進んだシャシーは荷重移動を利用してシャープに曲がっていくようなドライビングにも上手に応じてくれるから、ちょっとばかり気持ちが熱くなっても受けとめてくれるようなところがある。

カテゴリーとしては同じところにいても、ベルランゴとカングーは性格が異なってるのだ。

手頃なお値段と充実の先進安全装備で文句なしの最強MPVだ

そういう意味ではカングーはライバルであってライバルではない。それに加えて、ベルランゴのデビュー・エディションの価格は325万円。対してカングーは、6速MTが254.6万円、6速DCTが264.7万円。ざっと60万円前後の開きがある。

ただしベルランゴには現時点の標準的な先進安全運転支援システムはほぼ備わっていて、2007年デビューでモデル末期に差し掛かってるカングーにはそれがない。いや、どっちがいいとか悪いとかそういうことじゃなくて、単純に直接的なライバルと考えるのはどうだろう? ということがいいたいだけなのだけど。

ともあれ、この日のロケで一緒にいたメンバーは日頃から様々なクルマに触れてるわけだけど、そのうちのひとりはかなり本気でベルランゴの購入を考えはじめてるフシがあったりもする。僕も出来映えにかなり感銘を受けたし、ファミリーカーならコレだな、なんて思っていたりもする。まぁ僕の場合はそれ以前にファミリー作れよ! という問題があるのだけど、いずれにせよベルランゴは一撃でそんなふうに感じさせるだけの魅力を持ったクルマ、なのだ。

[筆者:嶋田 智之/撮影:和田 清志]

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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