ホンダ・シャトルのマイナーチェンジモデルに試乗|改めて感じた実用車としての大きな魅力

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縮小傾向の「5ナンバーのステーションワゴン」を守るホンダ シャトルが発売から約4年で初のマイナーチェンジを行った。限られたリソースの中、ホンダ得意のパッケージングの上手さを兼ね備えた新型シャトルを自動車評論家の高山正寛氏が斬る!

新しくなって質感も向上したシャトルを画像で見る(40枚)[フォトギャラリー]

目次[開く][閉じる]
  1. 発売から約4年、実は初のマイナーチェンジ
  2. マイナーチェンジとはいえ、変更点は少なめ?
  3. 限られたリソースの中でどう改良するか?
  4. パッケージの上手さはさすがのひと言!
  5. 積める積める!クラスを超えた荷室
  6. 静粛性などが密かに向上、でも16インチタイヤは本当に必要?
  7. 元気に走ってオーバー20.0km/L!
  8. 新型シャトルのオススメグレードは!?|ベストバランスは「ハイブリッドX」
  9. 【動画】はやわかり NEW SHUTTLE(ホンダ公式動画)
  10. ホンダ 新型シャトル HYBRID X・Honda SENSING 主要スペック

発売から約4年、実は初のマイナーチェンジ

昨今では本当に見かけなくなった「5ナンバーのステーションワゴン」がホンダ シャトルだ。ミニバンや軽自動車の拡大に押され、マーケット自体は縮小傾向であることは実際の販売数字からも明らか。

国産でこのカテゴリーを守っているのはこのシャトルとトヨタ カローラフィールダーくらい、おまけに次期型フィールダーは「国内は専用のナローボディにする」と公式にも宣言しているとはいえ、1700mm未満の全幅になるとは言っていない。そうなるとシャトル自体が、ある意味“孤高のワゴン”になってしまう可能性だってある。そんな環境下ではあるが、シャトルの生きる道はしっかり残っているはずだ。

マイナーチェンジとはいえ、変更点は少なめ?

デビュー以来、一部改良という形を取ってきたシャトルだが、2017年9月14日では先進安全装備である「ホンダセンシング」を搭載したことが話題となった。実際、ホンダセンシングが搭載されている/いない、では中古車市場でも相場が大きく異なる。それだけの大変更をしたモデルが“一部改良”だったのだから、マイナーチェンジではさぞかし大きな変更が行われるのだろう、と正直ワクワクしていた。

しかし、蓋を開けて(実際は5月10日発売前のティザーサイトである程度内容はわかった)みたら「あれ?こんな感じ」と少々拍子抜け。エクステリアは前後バンパー&フォグライト形状の変更、テールゲートとリアコンビネーションランプのデザインを一新。この他にもアウタードアハンドルなどにクロームメッキパーツを採用するなどお約束?の「上質感」の演出は達成している。

またインテリアもピアノブラック加飾やシートデザインの変更、本革シートの設定、そしてこれは嬉しい装備追加だが、リアシート中央のアームレストにカップホルダーが追加された。

ハード面ではホンダセンシングにオートハイビームを採用することで「サポカーSワイド」に対応しているが、パワートレーン関係の改良は特にアナウンスされていない。

限られたリソースの中でどう改良するか?

もちろん、クルマの開発にはお金がかかる。マイナーチェンジまで沢山売れれば開発費も増額するが、市場の伸びやそのクルマが「ライフサイクルの中であとどれだけ売れるか」を計算すれば、マイナーチェンジで使える金額は逆算できる。そう考えるとシャトルは正直、開発費には余裕が無かったのでは?と思わせる部分がある。名誉のために言っておけば、「元々の完成度は高いのでそれほど変更の必要はない」という“売れている”クルマもある。後述するがシャトルの使い勝手などは今なおレベルが高い。だから大きな変更はない、というのはやや乱暴だが、市場調査から「もう少しスタイリッシュに」という声を受け、限られたリソースの中でやりくりし商品力を向上させたと判断したい。

パッケージの上手さはさすがのひと言!

スタイリッシュ感が増したシャトルだが、やはりこのクルマ最大の魅力は積載能力の高さだろう。

元々現在のホンダ車の多くは燃料タンクを後席前に配置する「センタータンクレイアウト」を採用している。これによりラゲッジの開口部が低く、そして広く取れることで積載性が高い。シャトルも同様で、地面から540mm(FF)という開口部までの高さは、実際重い物を載せる時にも非常に楽チン。あくまでも一例だが、スーパーなどで2L×6本のミネラルウォーターなどを購入した際、約12kgの箱を「よっこらしょ」と持ち上げ積載するのは結構しんどい(個人の感想です)。その点でも、低い開口部は腰などへの負担が少なくありがたい。ちなみに売れまくっている「N-BOX」は470mm(FF)というから、ホンダ車の積載性は本当に高いことを改めて感じた次第だ。

積める積める!クラスを超えた荷室

そしてステーションワゴンの魅力は何よりもその荷室の大きさにある。

ホンダの発表したデータによれば、5名乗車での容量は570L。またこれは「HYBRID・Honda SENSING」のFF車の数値だが、売れ筋の「G・Honda SENSING」(いずれもFF)は床下に収納スペースを持つことから、その積載量は606Lとなる。カローラフィールダーが407Lということからも圧倒的だとわかる。もちろん数値だけがすべてではなく、荷室の広さをアピールするために使われる「ゴルフバックの積載」に関しても後席乗車時でも9.5型が4個積載できる(ただし経験上、積載にはコツが必要)。

この他にも後席の座面を跳ね上げることで高さのあるものを積載できるシートアレンジなどは前述したセンタータンクレイアウトの恩恵によるもの。後席を倒した状態での荷室のフラット感やタイヤハウスの影響はあるとはいえ、使いやすさは十分以上に確保されている。

静粛性などが密かに向上、でも16インチタイヤは本当に必要?

試乗車は最上位グレードとなる「HYBRID Z Honda SENSING」のFFモデル。余談だがホンダのハイブリッド車の多くは4WDモデルを設定しているので、雪地などでのユーザーニーズにもしっかり対応できているのが魅力。現在ではプリウスにも4WDモデルが設定されているが、こちらはいわゆる電気モーターによる発進時などに作動するタイプで、高速走行時などではFF車となってしまう。考え方の違いだが、幅広い速度域で4WDが使える方が、個人的には望ましいと思っている。シャトルも同様で、荷室が広く幅広いアクティビティに対応するための4WD車設定は魅力的だ。

さて、マイナーチェンジ前のシャトルの印象を過去の取材メモから確認すると「フロア周りからのブルブルという振動が気になる。後席でも同様で結果としてそれが快適性を少し損なっている」と記録されている。うっすらと印象は残っているが、一般道と高速道、それぞれ約200kmづつ試乗した印象では大分印象が異なる。

今回マイナーチェンジしたシャトルの試乗グレードも、当時と同じ16インチタイヤ仕様。当時も「振幅感応型ダンパー」を搭載していたが、マイナーチェンジ後は妙に足元が静かに感じた。フロアへの振動伝達は確実に少ない。もちろんマイナーチェンジゆえに、カタログなどでは記載されない改良は行われているわけだが、これは後席に座っても同様で、元々レッグスペースも十分なシャトルゆえに快適性は大幅に向上している。

個人的にはスタイリッシュな16インチアルミホイールは魅力だが、15インチ仕様と比較するとどうしても細かな路面の「コツコツ」という微少な突き上げが気になる時がある。もちろん400km走った後には「人間慣れって恐ろしい」もので、それを許容してしまうわけだが、後述するオススメグレードも考えると15インチ仕様で十分とも感じた。

元気に走ってオーバー20.0km/L!

気になる燃費だが、前述したように約400km走行。エアコンは25℃フルオートで固定、「ECON」はオン、乗員2名プラスカメラ機材。実質夫婦と子供1名分の重量を載せて走ったのと同じような状況だったと考えて欲しい。

特に燃費走行は意識せず交通の流れに準じて走った結果だが、結果は20.4km/Lと満足のいく結果だった。ハイブリッド車のXグレード以上にはパドルシフトが標準装備されているが、坂道では積極的にシフトダウンしてエンジンも回してそれなりにスポーティに走ってもこの結果。シャトルにも搭載されている「SPORT HYBRID i-DCD」は部分的にギクシャクする時もあるが、パドルシフトを使って適切なギアを選んで走るとなかなか楽しい。いわゆるDCTゆえに無段変速のハイブリッド車よりダイレクト感が味わえる。

新型シャトルのオススメグレードは!?|ベストバランスは「ハイブリッドX」

左)HYBRID Z・Honda SENSING/右)HYBRID X・Honda SENSING

シャトルはハイブリッド車が3種、ガソリン車が1種とグレード構成はシンプルだ。ゆえにグレード選びはそれほど難しくない。豪雪地などは4WD車を選ぶのがベターだが、通常の用途ならFF車で十分。その中でベストバランスなグレードとしてオススメなのは、今回試乗した「ハイブリッドZ ホンダセンシング」[FF:2,559,600円/4WD:2,721,600円]ではなく、「ハイブリッドX ホンダセンシング」[FF:2,374,920円/4WD:2,569,320円]のほうだ。

最上位グレードである「Z」との価格差は、FFモデルで18万4680円。Zの専用装備としては、16インチアルミホイール&タイヤ、ルーフレール、ピアノブラックセレクトレバーやクロームメッキアウタードアハンドル&サイドシルモール、etc・・・とある。いっぽうのハイブリッドXも装備はかなり充実しており、前述したパドルシフトやLEDヘッドライト&オートハイビーム、前席のヒートシーター、ステンレス製スポーツペダル、ETC車載器も含めた「ナビ装着用スペシャルパッケージ」も標準装備されている。さらに細かいことだが、本革巻きステアリングホイールも「Z」には上質なスムーズレザーを採用しているが、「X」にも“普通の”本革巻きステアリングホイールは装備されている。「Z」と「X」の大きな違いは今回のマイナーチェンジの特色である上質感を演出する装備の有無だが、実用性を重視すれば「X」の方がコストパフォーマンスは高い。

冒頭で述べたように、ステーションワゴンの国内市場はそれなりに厳しい。しかし、改めて感じた5ナンバーサイズによる取り回しのし易さ、それでいて積載能力は抜群、さらに言えば立体駐車場への入庫も容易にする全高などとにかく実用性が高い。個人的にもオン/オフ問わずオールラウンドに使える1台として魅力を再確認した。

[筆者:高山 正寛/撮影:渡部 祥勝]

【動画】はやわかり NEW SHUTTLE(ホンダ公式動画)

ホンダ 新型シャトル HYBRID X・Honda SENSING 主要スペック

ホンダ 新型シャトル HYBRID X・Honda SENSING[FF] 主要スペック
車種名ホンダ シャトル

グレード

HYBRID X・Honda SENSING

価格[消費税込]

2,374,920円

全長×全幅×全高

4,440mm×1,695mm×1,545mm

ホイールベース

2,530mm

駆動方式

前輪駆動(FF)

車両重量

1,230kg

乗車定員

5名

エンジン種類

直列4気筒 DOHC ガソリンエンジン

総排気量

1,496cc

エンジン最高出力

81kW(110PS)/6,000rpm

エンジン最大トルク

134Nm(13.7kg・m)/5,000rpm

電動機(モーター)種類

交流同期電動機

動力用主電池

リチウムイオン電池

モーター最高出力

22kW(29.5PS)/1,313~2,000rpm

モーター最大トルク

160Nm(16.3kg・m)/0~1,313rpm

トランスミッション

7速デュアルクラッチトランスミッション+パドルシフト

使用燃料

無鉛レギュラーガソリン

燃料消費率[JC08モード燃費]

32.4km/L

燃料消費率[WLTCモード燃費]

24.8km/L

燃料消費率[WLTC:市街地/郊外/高速道路モード]

20.1km/L/26.4km/L/26.4km/L

サスペンション形式

(前)マクファーソン式/(後)トーションバー式

タイヤサイズ

185/60R15 84H

ホンダ/シャトル
ホンダ シャトルカタログを見る
新車価格:
180.8万円277.2万円
中古価格:
54.9万円263.6万円

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高山 正寛
筆者高山 正寛

1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上、新車担当デスクおよびカーAV記事を担当。途中5年間エンターテインメント部門で書籍編集長を歴任後1999年フリーへ転身。フリーランスとして年間ほぼすべての国内における新型車への試乗および新車インプレッションを行う。またITS EVANGELIS(カーナビ伝道師)としてカーナビを含めたITS関係、カーエレクトロニクスから先進技術、また通信関連、PCや携帯電話などの執筆も行う。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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