コンチネンタル「スポーツコンタクト6」海外試乗レポート/桂伸一(2/2)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン株式会社
前モデルからの著しい性能向上に期待が膨らむ
さて、従来の「SC5」(コンチスポーツコンタクト5)には、SLS AMGを始めとしたAMG各モデルに装着されたパフォーマンス(Performance)を意味する「SC5P」(コンチスポーツコンタクト5P)があり、「SC6」は新開発故にそれを上回る性能を持たせた。
当初はSC5の後継だと思っていたのだが、実はSC5Pの後継がSC6である。果たして、SC5Pからどれだけの性能向上を遂げたのか。
ともかくSC6のステア操作に対する正確さときたら、スリックタイヤにも似たコーナリングの始まり方をする。
それは、直進の安定性はステアリングを抑えるだけで良く、ステア操作する速度と舵角に対して実に忠実に、いや、応答し始めると少しオーバーシュートする感覚でクルマを曲げる。つまり、リアからも旋回する力を示しているのだ。
FRレイアウトの車輌は、例えば「メルセデス・ベンツ Sクラス」が展示車として存在し、前後でショルダーの形状が違うことを発見。
これは、前輪をステアすることで発生するCF(コーナリングフォース=曲げるための力)に対し後輪は遅れて発生する、その“ズレ”を無くすため。前輪はラウンドショルダーで穏やかに応答させ、後輪はズレ・応答遅れを無くす意味でシャープに立ち上がるスクエアショルダーで、いわば前後で「同時に曲げる」。
そのものは体験できないが、旋回性能が速度に関係なく異様な曲がりを示す事でそれを実感した。
一般的なスポーツラジアルとは一線を画す、まるでスリックタイヤのような特性
テストコースは、ニュルブルクリンクを模したと言われている4.2キロの「ビルスターベルグ」を区切られて実施された。
まずはハンドリングコースをハイパーCセグ4WDターボ車で駆け抜けるため(ESCはOFF)、どのコーナーも完全にクルマとタイヤの素性で走行する。
無理なアクションを与えてどうかも見る必要があるために、敢えてオーバースピードでコーナーへ進入。アンダーステアを覚悟するが、思うより先にステア操作だけで姿勢は変わり、スキール音など一切出ない無言に驚く。
「SC5P」の感触に似てはいるが、コーナリングが始まった瞬間に強い横剛性で曲げに入る感覚は、パターン付きスポーツラジアルの限界とは遥かに違う、スリックタイヤの特性に似る。
ハイスピードコースでケイマンSに乗る頃には、天候の変化で路面は完全ウエットに。一日でドライとウエット両方が味わえる“幸運”。おそらくテスト部隊はウエットの事は頭に無かったようで、この状況で、どこでも110km/hでスラロームして違いを見極めろという。
ここでは応答が過敏過ぎるステア特性の「EVO1」、ウエットグリップに勝る「EVO2」と「SC6」の3つを比較試乗したが、もちろんここはバランスに勝るSC6が安定して落ち着きをみせる。さらに速度を増しても平気と思わせてしまう“懐の深さ”がコンチネンタルらしい。路面に対する接地感の高さは、このウエット路面でも確実に手応えとして感じられた。
今回はサーキットのみの試乗であったが、2016年に日本上陸を果したところで一般公道での乗り味を含むトータル性能を検証したい。いや、その前にシビック・タイプR(OE純正装着)で先に試乗できるかも!?
ともかく、日本の路面でどうか!実に楽しみである。
この記事にコメントする