松本からは、国道158号線を西へ走る。
上高地へも行けるこの道は信号もまばらで、梓湖という湖あたりから、徐々に秘境へと入る。道はコーナーやアップダウンが続き、交通量も少なくペースも上がり気味なのだが、そんな中でも荷物満載のキャラバンはしっかり走ってくれる。この頃には重さもすっかり体になじんできた。やっさんがコーナーの度に左右に揺られている。どんだけ寝るんだっ!!
途中、対向車とすれ違うのもおっくうなくらい狭く暗いトンネルがあり、かなり大きなトラックがこちらへ向かって来たりする場所もある。そんな道では操縦性のしっかりとしたクルマでないと安心して走れない。その点でも、キャラバンはなかなか頼もしい。
そして、いよいよ最大の難所である北アルプスを越える安房峠へ。ここは自動車専用道路の「安房峠道路」を走る。本来であれば下道=旧道を選ぶべきなのかもしれないが、ここだけは許してほしい・・・。
なぜなら、97年末に安房峠道路ができる前は旧道を走らざるを得なかったわけだが、本当に道幅は狭いし、タイトコーナーがつづら折りで、さすがに荷物満載のキャラバンではリスクが高い。同行する撮影クルーのことも考えると敢えて危険なリスクをとるべきではないと判断した。通行料は770円。
「世紀の難工事」と呼ばれた安房トンネルが完成してまもなく20年。いまやたった5分で日本の屋根を越えられる。旧道なら大型車がすれちがえなくて思うように進めなかったような道が、このトンネルができたおかげで、首都圏からの観光客もかなり増えたと聞く。
運送業社の車両だろうか、途中何度も商用バンと遭遇したことを考えると、このルートも日本の流通を支えている道なのだと、しみじみ感じる。
ここまで約2時間半、走行距離は60.8kmで、赤信号で止まった回数は、たったの10回だった。平均速度は30.9kmまで伸びた。区間の平均燃費は7.1km/L。燃料残量計は、ちょうど半分ぐらい。途中、平均燃費がピークで7.6km/Lを表示したときがあったが、アップダウンもあって、最終的には前の区間と同じ7.1km/Lに落ち着いた。山深い場所だけあって、外気温は24度と、都内や松本の30度オーバーの気温と比べるとかなり涼しい。やっぱりずっと下道だとさすがに疲れる。ここから富山まで、約70km。やっさん、このまま行けば富山だ。もうひとふんばりだぜ!だから寝るな~っ!!
TEXT:岡本 幸一郎 PHOTO:小林 岳夫
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