新型Eクラスのインテリアデザインは、最新のSクラスとCクラスをミックスしたような雰囲気になっている。Sクラス同様、ダッシュボード中央に大きなモニターを備えるため、全体的な印象としては若干まとまりに欠くものの、一見して賑やかで豪華だ。光り物は抑え気味で、クリア層のないウッドパネルや間接照明を使うなど、最新モデルだけあって見所も多い。スイッチ類の配置など、使い勝手も上々。6気筒および8気筒モデルではシフトレバーがコラムタイプのダイレクト・セレクトで、センタートンネル上にはダイヤル式のコントローラーが備わる。いずれも旧型7シリーズが“火をつけた”方法だ。
対する5シリーズはどうか。最新タイプのシフトレバーとiDrive(アイ・ドライブ)が備わっている。ステアリングホイールとその向こうのメーターまわりは、さすがにスポーティな印象だが、デビュー後しばらくたって見慣れてしまったからか、全体的には拍子抜けするほどシンプルに思える。
ダッシュボードの張りのあるT字デザインが特徴的で、室内が広く感じられるのがいい。ディテールのデザインやボタンの配置もシンプルですっきりしているから、直感的に操作できる。
デザイン要素やマテリアル、色みの数が抑えられているため、機能性の高さがそのまま内装のエレガントさにつながっているというのが、5シリーズのいいところ。見栄え、質感もクリーンかつ良好で、プラスチックの使い方などはメルセデスより上。決して派手さはないけれども、外から窓枠で切り取られたコクピットを眺めたときにはスポーティ、中に入って見渡せばエレガントに、とうまく演じ分けている点も評価で きる。流行に捕われない普遍的なデザインかも知れない。