ポルシェ 911カブリオレ 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ポルシェ・ジャパン株式会社
クーペにヒケをとらないポテンシャル
ヨーロッパ地域で開催される試乗のためのイベント。それは、冬が近づいて気温が下がるに連れて、そのベース・ポイントも段々とアルプス山脈の南側にまで“南下”をして行くというのが通例だ。
もちろん、先日お伝えしたボルボのイベント(ウインター・チャレンジ)のように、敢えて寒さ厳しい地域を求めて北上というパターンも皆無ではない。が、そうした例外を除けば、雪の心配などない温暖な場所で、心行くまでテストドライブを堪能して貰いたい、と、主催者側としてはそう画策するのが人情であろう。ましてや、そのイベントの“ネタ”がオープン・モデルともなれば、単に気候が温暖というだけではなく雨降りの可能性だって可能な限り低い事が望まれるのは言うまでもない。世界各地で開催されているように見える新型車試乗会が、実は季節によって毎年決まった地域を拠点に催される事が多いのは、そんな理由によるものなのだ・・・。
というわけで、ポルシェが最新のオープン・モデルである新型911カブリオレの国際試乗会に選んだのはスペイン。その中でも今回のイベントの拠点とされたのは、もはや北アフリカにも近い国の南西部に位置し、年間の平均気温が実に25度という恵まれ過ぎたほどに温暖なセビリアの地であった。
もっとも、ポルシェがスペインでイベントを開催するのは、必ずしも冬季に集中をしているわけではない。というよりも、そもそもこのメーカーは季節に拘わらずこのスペイン、そしてイタリアという国でテストイベントを行うのが大好き。
実はこの両国、ぼくの目からすると「交通取り締まりが甘め…」という一大特長(?)で共通項を持つようにも感じられる。何だかんだと“速い速いコンボイ”が行き交う事になるポルシェのテストイベントが、こうした両国で行われる機会が多いのは、だからむしろ「必然」なのかも知れない・・・。
日本からだと飛行機を2回の乗り継ぎ。例によって(?)24時間以上をかけての大移動の末に到着となったセビリア郊外の風景は、ヨーロッパというよりはちょっとアメリカ大陸の砂漠地帯的ですらある。丘陵地帯をアップダウンを繰り返しながら進む道路は、基本的には直線主体。見通しも良く、交通量も少ないので“その気”になれば一般路で200km/hへの挑戦だってさしたるリスクなく出来てしまいそう。反面で、今度はゴツゴツとした岩山へと進路を向けるとそこにはタイトで細い山岳路が待ち構えていたりする。
このあたりの道というのは、かくもメリハリに富んでいるのである。
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