ポルシェAG デザイナー 山下 周一氏 インタビュー|日本人デザイナーが世界を志した理由(3/3)

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インテリアのモダンな素材感は「ドイツらしくない」!?

タイプ992の開発当時、デザインルームではビッグバンパーの930(1970年代の911)を横に置いてデザイン検討が進められた。例えばリアのライセンスプレートのレイアウトも、930をモチーフにデザインされているという。それではインテリアはどうだろう。

新しい992では、インパネ回りを930が表現する水平基調のシンプルなレイアウトに原点回帰させた。左右を貫く下のラインと、メーターを覆う庇(ひさし)とつながる上のライン。山下さんはこれを2つの「ウィング」と表現する。ただ、最低限の機能を配しただけの930とは違い、新型ではそのシンプルさに最新のテクノロジーとの融合を図った点が新しいと山下さんは説明する。

中央にあるPCM(ポルシェ コミュニケーション マネジメント)10.9インチディスプレイはタッチスクリーン式。下のウィングに手を置きながら操作出来るという機能性が与えられている点も面白い。その下にあるシンプルな5つのボタン配置は、やはり930からインスパイアされたもの。ハザードランプや可変ダンパーなどの操作スイッチが最小限に収められた。

そしてなにより、シフト周りのシンプルな造形には衝撃を受けた。しかも発表会に展示された車両のうちの1台は、そこにさりげなくウッドを配し、非常にモダンな印象だ。

山下さんも「非常に品が良いと思いませんか。ドイツのクルマのインテリアというと、鉄とか素材を使い過ぎる傾向にあると思っていて、でも今回の992のインテリアは非常に繊細。金属と木の量のバランスも絶妙で、実にエレガントな仕上がりだと思います。もし購入するなら僕もこの仕様が欲しい。」と笑顔を見せていた。

山下さんがいつかデザインしてみたいクルマ

山下さんがデザインを発想する源は、一体どこにあるのだろう。

そこで返ってきたのは「インスピレーションを沸かそうと美術館へ行くなど、特別なことはしたことがない」と意外な答え。

建築が好きなので、ドイツでは実際の有名建築物なども観て回ったが、そこから直接インスパイアされたことはなく、日常の仕事の中で机に向かい、デザイン案を「しぼり出していた(笑)」のだという。そしてオンとオフははっきり切り替えるため「うちではまったくクルマのことは考えない」というのも興味深い。

それでは、今後山下さんが挑戦してみたいこととは。

「ポルシェに限らず、世界的にクルマは大きくなる傾向にあります。そんな中で、手を伸ばせば触れるほどタイトなクルマを創ってみたいです」

かつて日本にいる際には、コンパクトスポーツカーの代表格である「ユーノス ロードスター」に乗っていた山下さん。あのサイズ感でクルマを操るのは、本当に愉しいことだ。現代は衝突安全性能の確保や法規制などもあり、コンパクトなクルマ造りもなかなか容易なことではないが、ぜひチャレンジしてみたいと笑顔で語る。

デザイナーの卵たちよ、もっと世界を志せ!

「昨今の日本のプロダクトを見ると、考え方とかコトにフォーカスされている傾向が強いですが、ぜひ見た目も忘れないでこだわって欲しい」。山下さんはそう訴える。

ポルシェにいると、欧米やアジア、世界各国から学生のポートフォリオ(作品)がいっぱい届くという。「しかし日本からは皆無です」。

世界のカーデザイナーが描くスケッチに心を躍らせ、一大決心のうえアートセンターを目指した山下さん。今どきの日本の若者たちにはもっとデザインに興味を持って欲しいし、もっと挑んで欲しいと心から願っているのだ。

デザインを志す若者たちは、とにかく思いっ切ってポートフォリオを送ってみるといい。いつか第4、第5の日本人ポルシェデザイナーが誕生する日がやってくるかもしれないのだから。

[筆者:トクダ トオル(MOTA編集部)/撮影:ポルシェジャパン・MOTA編集部]

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トクダ トオル(MOTA)
筆者トクダ トオル(MOTA)

昭和44年生まれ。週末は愛車に乗って(時に鉄道に乗って)家族とともにドライブを楽しむ1児のパパ。自動車メディアに携わるようになってから10余年、乗り換えに悩むユーザーの目線に立ったコンテンツ作りを常に意識し続けている。2018年春より編集長に就任。読者の皆様にクルマ選びの楽しさを伝えるべく日夜奮闘中!記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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