オペル ベクトラ 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:森山俊一
3代目は、オペルの新しいブランドステートメントが注がれた初の量産モデルだ。
今年3月のジュネーブショーで世界初公開。4月下旬から欧州で販売が始まったベクトラは、7年ぶりにフルモデルチェンジを受けたオペルの新しいミッドサイズセダンだ。国内では7月2日に発表、7月27日からの販売開始となる。
世界的なロングセラーとなった2代目に対して、大衆セダンイメージの脱却を図ったのが3代目ベクトラだ。厚みのある、どっしりとしたフォルムは、エレガント&スポーティを表現したカタチ。99年からコンセプトカーで披露してきたオペルの新しいデザインコンセプトであり、ベクトラは市販化の第一弾にあたる。
最近のミッドサイズセダンの主流にならい、ボディサイズは全長で115mm、全幅で90mm、全高で40mm拡大。オペルが最重視するエアロダイナミクスは、Cd値0.28を達成している。
目指したのは最高のミッドサイズセダン。クオリティの高さと居心地の良さが体感できる。
ベクトラに抱いていたイメージはドイツの大衆車。国産車でいえばコロナやブルーバードだろう。フルモデルチェンジを受けた3代目に対しても、正当進化が当然だと考えていた。ところが蓋を開けてみると、新型ベクトラは予想外の大変身を遂げていたのだ。
まず驚いたのは質感の高さ。デザインはオペルらしさが残されているが、これまでにない品の良さが内外装から伺える。特にインテリアは、ウインカーレバーのタッチ感、ステアリングの握り心地、セレクトレバーの操作感、シートの肌触りと、手で触れるすべてに心地よさが備わっている。細部へのこだわりは、これまでのベクトラからは想像できない仕上がりといっていい。居心地のいい室内空間にも気配りがなされている。ボディサイズの拡大とともにホイールベースが 65mm延長されたパッケージングは、前後席ともにゆったり座れる居住性と約500Lのトランクスペースを確保。シートに腰を降ろすと、大衆車からプレミアムセダンへの階段を確実に登った印象だった。
革新的な技術が、走りにバランスの良さと安心感を与えている。
新型ベクトラに採用された技術のハイライトこそ、インタラクティブ・ドライビング・システム「IDS」だ。これは、新開発のサスペンションシステムをベースに、ESPプラス、TCプラス、CBC、EBD、ブレーキアシスト、マップ制御電動油圧式パワステなどのデバイスを統合制御するもの。これにより、高い安全性とスタビリティを発揮する。 実際、台風が近づく悪天候の中で連続するコーナーを攻めても、挙動を乱すことはなかった。キビキビとしたハンドリングと、気持ちロールしながらしっかり踏ん張るフットワークを見せてくれたのだ。しかも乗り味は、しなやかで快適。あらゆる場面でのバランスの良さが満足感につながった。
エンジンは低速域から得られるトルクと滑らかなパワー感が持ち味の、オペル最強の2.2L4気筒DOHCエコテックを搭載。新開発のアクティブセレクト付 5速ATとのコンビネーションが、気持ちのいい加速感とクルージングの余裕感を味わわせてくれる。同じエンジンを積む俊敏がウリのアストラカブリオとはかなり印象が違っていた。
目指したのはコンパクトプレミアム路線だが、ウリはリーズナブルな価格と充実装備。
これまでのベクトラは、保守的で実用性を求めるユーザーが中心。日本市場においては、オペル全販売台数の7%しか占めていなかった。新型ベクトラは、40 代の既婚男性をメインに新規ユーザーを開拓。ヴィータやアストラと肩を並べる主力モデルに成長させたいというのがオペルの意向だ。
確かに、短い時間での試乗だったけれども、新型ベクトラは満足度の高い仕上がりだった。300万円台の価格を考えれば、魅力的なミッドセダンといえる。だけどドイツブランドとしては、メルセデスやBMWだけでなく、アウディ、VWにも知名度やイメージが及ばないのが現実。まずはベクトラ2.2と本革シートを始め充実装備のベクトラ2.2プレミアムの2モデルが投入されるが、ステアリングを握って始めてわかる新型ベクトラの魅力をどうアピールしていくかがポイントになるだろう。
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