【新旧比較】「日産 スカイライン」の新型と旧型を比較してみた/渡辺陽一郎(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
リアシートは旧型と同様に腰が落ち込み、Lサイズのセダンでは少し窮屈だ。リアシートに座った乗員の膝先空間は、身長170cmの大人4名が乗車して、握りコブシ2つ分。フロントシートの背面形状を工夫して、数値上は19mmほどリアシートの足元空間を広げたが、実質的にはほとんど差がない。
ただし、リアシートの座面と背もたれのサポート性は少し高まり、座り心地は若干向上した。頭上の空間は掌が収まる程度で不十分だ。
新型の進化度数:3点/10点 (比べてようやく気付くレベル)
動力性能
新型はハイブリッドを搭載する。V型3.5リッターエンジンにモーターを組み合わせて、両方の駆動力を合計したシステム最高出力は364馬力だ。旧型の3.7リッターと比べて30馬力以上の向上になり、特に実用回転域の駆動力は新型が力強い。
新型は高回転域の吹き上がりも活発だが、滑らかな回転感覚という点では、旧型が搭載していたノーマルタイプの3.7リッターの方が少し勝っていた。
また、アクセルを勢い良く踏み増して、ATが自動的にシフトダウンした時の変速ショックも、新型のハイブリッドは機能が複雑だから少し気になる。
それでも巡航時に軽くアクセルを踏み増した時のモーター駆動による支援など、動力性能は全般的に新型が勝る。
新型の進化度数: 6点/10点 (順当に進化した)
走行安定性
プラットフォームは旧型と基本的に共通だが、ボディの各部を補強して、基本性能を高めている。足まわりの機能も基本は同じだ。
ところが運転感覚はまったく違う。新型は旧型に比べると機敏に曲がる設定だ。しかもステアリングを電気信号に変換して操作する方式だから、スポーツモードは思い切りクイックに仕上げた。一種のオモチャ的な設定で、峠道を走ると面白いほど良く曲がる。
その半面、危険回避のために旋回中にアクセルを閉じたり制動を強いられると、相対的に後輪の接地性が下がりやすい。基本性能が高いから危険な状態には陥りにくいが、面白い代わりにクセの強さも感じる。
操舵感も同様で、慌ただしくハンドルを回している時は切れが良くてスポーティーだが、時速40~50kmでゆっくりと操舵すると、ゴムを捩るような独特の感触が伝わる。
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