日産新中期経営計画「日産パワー88」発表
これからの日産は6週間毎に新型車1台を投入
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は27日、同社の新たな中期経営計画を発表した。
「日産パワー88」と銘打ったこの計画は、新規の市場とセグメントを含む世界市場での成長を加速させることに主眼を置いた、広範に亘る6ヵ年(2011年度~2016年度)計画を示す。
「日産パワー88」という名称は、2016年度末までにグローバル市場占有率を8%に伸ばすと同時に、売上高営業利益率を8%に引き上げ、その後維持していく考えを盛り込んだものだ。
「日産パワー88」は、2016年度までの日産のグローバルなビジョンを示したもの。まず、同社CEOのカルロス・ゴーンは会見の冒頭で、新たな幅広い商品計画に従い、平均6週間ごとに1車種の新型車を投入することを明らかにした。計画終了時には、66車種(日産51車種/インフィニティ13車種)を取り揃え、世界の市場・セグメントの92%のカバーを狙うというもの。これは日産ブランドグローバルで13車種を廃し、15車種を新規投入する内容で、例えば次期型クエストとエルグランド、次期型ティアナとアルティマといった統合を予定しているという。
また、ゼロ・エミッションの一環として、アライアンスパートナーを結ぶルノーと共同で、日産リーフに続く7車種のEV投入計画もあるという。その他日産ブランド商用車へのEV導入をはじめ、インフィニティブランドでも2012年春に発売予定のインフィニティJXクロスオーバーや、2014年までに投入予定のインフィニティ新型ラグジュアリーモデルへのEV導入も含め、2016年までに累計150万台のEVを販売する予定を明らかにした。
持続可能なモビリティを推進する取り組みの一環として、これらゼロ・エミッションに加えて、ピュア・ドライブ戦略のもと、低燃費技術のラインアップの拡充も目指すとしている。具体的にはすべての人にモビリティを提供するため、エントリーセグメントと新興市場のニーズに応える新型乗用車・小型商用車の投入も予定しているとのこと。90以上の新たな先進技術を商品に搭載し、年間で平均15件の新技術を投入していくとしている。
カルロス ゴーンCEOは、「日産パワー88は日産を利益ある成長へと導く指針です。当社は成長を加速させ、革新的で魅力溢れる商品やサービス、よりクリーンで魅力溢れる手頃な商品を、21世紀が求めるエネルギーや環境要件を満たしながら、世界中の人々に提供したいと考えています」と述べた。
同社はブランドの向上や販売網への投資拡大などにより、顧客の購入検討から保有期間を含めたトータルの経験価値を向上させる一方で、現在は世界中で6,000店にのぼる主要販売拠点を中期経営計画期間中に7,500店に拡大する計画だという。事業の拡大については、特に新興市場やインフィニティ・ブランドと小型商用車事業の拡大に注力していく考えだ。
一方で、中国では2012年に生産能力を120万台に増強させるとし、日産にとって最大の市場になることは間違いないとし、中国市場での市場占有率を10%まで引き上げることを目指す狙いだ。その他、ブラジル、ロシア、インド及びそれに続く新たな新興市場におけるプレゼンス拡大にも注力していく構えを見せ、特にブラジルでは、新工場を建設し、まず20万台の生産能力を確保するという。
さらにアメリカでは、日産の小型商用車「NV200」がニューヨーク市の次世代タクシー「タクシー・オブ・トゥモロー」コンペで選ばれ、これによりニューヨークのイエローキャブはNV200一色となる模様。同時に2016年度までに、日産は業界をリードする小型商用車メーカーをめざす意向も明らかにしている。
そしてインフィニティ・ブランドのラインアップも拡充していく方針を固め、2010年販売台数の15万台から、2016年までに世界のラグジュアリー・カー市場で10%の市場占有率獲得を目指すとしている。これは現在の市場規模においては50万台の販売台数に相当するとのことで、今後は70以上の市場で10車種以上を販売していく方針だ。
カルロス・ゴーンCEOは、「本日発表した日産パワー88は、多大な努力が求められるハードルの高い経営計画です。しかし我々はこれまでも難しい課題に取り組み、乗り越えてきた経験があり、今回もこの経営計画を達成できると確信しています」と述べた。
この記事にコメントする