BMW、今シーズンをもってF1から撤退

BMWは、7月29日の記者会見で、2009年のシーズンをもってF1から撤退することを発表した。

F1参戦に替えて、今後は新しいドライブ・テクノロジーの開発とサスティナビリティ(持続可能性)に関する研究に集中する意向。今回の重要な決定事項は、前日の取締役会議上で議決した。

BMW本社取締役会会長、ノルベルト・ライトホーファー:

「今回の決断は苦渋に満ちた選択でした。しかしながら、BMWグループの戦略再編成のためにはポジティブな選択です」

「これからの時代、プレミアム・メーカーの定義付けは、持続可能性や環境性能の高さによって決められます。この分野において、私たちはこれからも先駆的なブランドでありたいと思います。Number ONEストラテジーで明示しているように、私たちは将来的な実行可能性と持続可能性を実現させるために、あらゆる研究においてイニシアチブを発揮し、遂行します。熟考の末、F1から撤退する結論に至りました。マリオ・タイセンは1999年からモータースポーツのディレクターとして活動に従事してきました。以来、F1レースを含む、数々の輝かしい記録を残すことができました。これまでチームを率いてくれたマリオ・タイセンとチームのスタッフに対して、改めて謝意を表わしたいと思います」

BMW本社開発担当取締役、クラウス・ドレーガー:

「BMWザウバーF1チームは発足からわずか3年でトップチームに成長しました。今シーズンの成績は残念ながら芳しくありませんが、これまで10年間にF1参戦で培った経験はエンジニア陣の開発において、非常に大きな影響を与えました。量産車の開発に刺激を与えてくれた競争の精神、そして数々の技術革新が私たちを成長させてくれたのだと思います」

「昨日決定したばかりの事項なので、これ以上の情報は現時点で発表できませんが、ヒンウィルやミュンヘンにおいてF1プロジェクトに携わっているスタッフの今後については、ベストを尽くして、複数の対処法を見出しながら解決していく所存です。私たちの責任が重大であることを自覚した上で、明確な声明がまとまり次第、スタッフ全員に告知する意向です」

BMWモータースポーツ・ディレクター、マリオ・タイセン:

「もちろん、ヒンウィル、ミュンヘンのスタッフはこの活動を存続したい気持ちで、今シーズンはこれから3年間の成功のための休息期間と捉えたいところです。しかし、BMWグループが今回の決断にいたった理由を十分に理解しています。私たちは一層の闘志を持って、残されたレースに集中し、F1活動における有終の美が飾れるよう、走り抜けます」

2006年のシーズンに新規デビューした、BMWザウバーF1チームは、コンストラクターズ・チャンピオンシップにおいて5位に入賞。2007年は首位のマクラーレン・メルセデスとわずか1ポイントの差で、2位の成績を収めた。2008年のシーズンでは、シーズンの最後まで苦戦を強いられたが、総合3位の結果を収めている。ポーランド出身のロバート・クビサは、2008年6月8日、カナダ・グランプリで初優勝。これまで、BMWザウバーF1チームは、1回のポールポジション(クビサ:2008年バーレーン)、16回の3位内入賞を果たした。BMWザウバーF1チームは、今シーズンのコンストラクターズランキングで現在8位と低迷している。

なお、BMWは今後も他の様々なモータースポーツ活動には継続して参加していくとしている。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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