ガルウイングのEVコンセプトSUVをトミーカイラのGLMと旭化成が共同開発

GLM AKXY(アクシー)

電気自動車メーカーのGLMは、旭化成と共同で、スポーツカーとSUVを融合した次世代クロスオーバー車のコンセプトカー「AKXY(アクシー)」を開発した。

車両内部は、GLMの量産第一号車のスポーツEV(スポーツタイプのEV)であるトミーカイラZZのプラットフォーム部分を活用。車体には、自動車への応用が期待される旭化成の最先端技術や、自動車向け等の同社部材・システムを、計27品目搭載している。

この車両は、量産EVのプラットフォームを活用しているので、コンセプトカーながら実際に走ることができる。

また、GLMは今後、これまでの車両開発で得たノウハウを活かしながら、車両の内部であるプラットフォームそのものや、その一部分、さらにその設計技術などを他社に提供する「プラットフォーム事業」を本格始動する。

>>電気自動車のコンセプトSUV「AKXY(アクシー)」の写真を見る

GLM AKXY(アクシー)
GLM AKXY(アクシー)

旭化成と共同開発したコンセプトEVは、スポーツカーとSUVを融合したクーペスタイルのルーフラインが特長。ドアはガルウイング方式を採用し、室内は3人乗りとなる。

旭化成の理念である「世界の人々の“いのち”と“くらし”に貢献する」やグループビジョンである「健康で快適な生活」「環境との共生」、グループバリューである「誠実」「挑戦」「創造」をインスピレーションに共同でコンセプトを創り上げた。

なお、車両名の「AKXY(アクシー)」は、「Asahi Kasei ×(かける)You(お客様)」 に由来している。

全長4685mm×全幅1813mm×全高1562mmで、トミーカイラZZと同じ最高出力225kW(305馬力)のモーターを搭載。 内装は、球体に包み込まれるようなデザインで、優しく柔らかな印象を乗り手に与える。

内装に合わせて、外装のショルダーラインの位置より高い車両上部は、球をイメージした。一方、ショルダーラインの高さより低い車両下部は、水平や垂直、斜め45度の線を幾何学的に組み合わせ、無機質な印象を強調した。

車両のフロント部分・リア部分を絞るような形状にすることで、車両上部と下部の相反する印象を強く残しながらも、調和のとれた近未来的なデザインに仕上げている。デザインはGLMのカーデザイナー 石丸竜平氏が手がけた。

GLMは、旭化成とともに進めたコンセプトメークをもとに、トミーカイラZZの開発チームが車両の製作やデザイン作成のほか、車体設計やパワートレイン設計を担当した。

GLM AKXY(アクシー)

コンセプトカーには、旭化成のシステムと部材計27品目を搭載している。例えば部材では、自動車の軽量化につながる素材で鉄やアルミニウムの代わりになる高機能樹脂や、快適性に優れたシート用の人工皮革、エコタイヤ向け合成ゴムなど、同社の他分野にわたる製品を使用した。

さらに旭化成の最先端技術も採用されているが、その一つが、センサー(感知器)などを使用してさまざまな情報を計測、数値化するセンシング技術である。

人の顔をカメラで撮影しながら心拍数を計測する非接触型の脈波検出技術(非接触バイタルセンシングシステム)や、室内の二酸化炭素の濃度を感知する技術(CO2センサー)を、車体に組み込んでいる。非接触バイタルセンシングシステムは、脈波測定によりドライバーの状態を確認できる。

同様にCO2センサーも、車載向けへの応用が期待されており、ある研究結果によれば、室内のCO2濃度が上昇すると、眠くなりやすいとされている。また、呼吸で吐き出すCO2の量を分析することで、人体のアルコール濃度をより精密に数値化することも可能。いずれも異常を察知した場合に、ドライバーにアラーム通知などをすれば、危険を回避することができる。

今回の旭化成のコンセプト車両は、GLMのプラットフォーム事業の一環として手がけたものだが、このプラットフォーム事業は従来の自動車産業にないものとして注目を集めている。

なぜなら、モジュール化したプラットフォームや、開発ノウハウ、そして自動車関連企業・機関との協力関係(GLMエコシステム)を使えば、自動車メーカー以外でも自社オリジナルのEVを開発することができるからである。

GLMはプラットフォーム事業を通じて、EVに新規参入したい各国企業の開発部隊の役割を担う考えである。

また、部品点数の少ないEVは、ガソリン車より参入障壁が低く、かつ環境対応という社会的ニーズの高まりを受けて、世界の様々な業種が注目している。しかしいくら障壁が低いとは言え、量産を目指した開発となると高い技術力や莫大な初期投資が必要で、ゼロからビジネスを立ち上げるのは困難。そうした背景から、プラットフォーム事業は新たな市場を切り開くものとして、欧州やアジアを中心に国内外で注目を集めている。

連携を検討している企業もIT企業や電気メーカーのほか、EVを使ったモビリティ(移動手段)を自らの事業に組み込もうとしているサービス事業者まで多岐にわたるという。

GLMは今後、他社の自動車開発を担うプラットフォーム事業を本格始動する。これまでの車両開発で得たノウハウ(技術や車両)を活かしながら、車両の内部であるプラットフォームそのものや、その一部分、その設計技術などを、EV事業に参入したい国内外の企業に提供していくとしている。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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