再確認したいシートベルト全席義務化!車外放出事故が前年の2倍に

※写真はイメージです 衝突実験の様子

NEXCO西日本が管内における平成28年の交通死亡事故発生状況を発表した。

平成28年に、48件の死亡事故が発生し、53名の尊い命が失われた。死亡事故のうち“車外放出事故”が9件発生しており、前年の4件に対して2倍以上となっている。これらの事故はシートベルトを着用していれば最悪の事態を回避できた可能性が充分にあったと考えられる。

高速道路はもちろん、一般道でも“全席シートベルト着用”は義務*である。

警察官がシートベルトの着用を取り締まることがあるが、それを煩わしいと思う方が多いように感じる。だが、シートベルトの義務化は決して取り締まる警察官のためではない。自分や同乗者の安全確保のためであり、全席での着用徹底をお願いしたい。

※写真はイメージです 衝突実験の様子

*道路交通法第71条の3(原文のまま掲載)

1.自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第3章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

2.自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3.自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第3章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

事故被害者でもシートベルト非着用だと十分な補償が受けられなくなる?

警察庁HPに「シートベルト非着用による被害の拡大は被害者の過失とされるため、被害者であっても、損害賠償等の場面で十分な補償が受けられなくなる可能性があります」という一文があった。なんでも、加害者である相手に過失があった場合でも、シートベルトを着用しなかったことで被害者過失が課せられる可能性があるという。過失相殺が認められると損害賠償請求の際に減額されてしまう。

過去にもそのような事例があった。

【事例1】

被害者が交通整理の行われている見通しの良い交差点で、加害者運転の自動車と被害者運転の自動車との出会い頭の衝突により、被害者が車外放出されて死亡した事故では、シートベルト非着用等の被害者過失が認められ、80%の過失相殺が認められた。(東京地裁平成元・4・7交民集22巻2号267号)なお、「過失相殺」とは、損害賠償の請求が発生する場合に、その損害の発生又は増大について賠償の権利者(被害者等)にも過失があれば、裁判所は、賠償責任の有無及び損害額を定めるについてその過失を考慮することをいいます(民法722条第2項等)。

【事例2】

交通整理の行われていない交差点において、A車とB車とが衝突し、その衝撃でA車の助手席にシートベルト未装着の状態で同乗していた被害者が車外放出されて死亡した事故では、シートベルト非着用等の被害者過失が認められ、15%の過失相殺が認められた。(静岡地裁平成4・5・18交民集25巻3号615頁)

警察庁HPより

「まさか」の事故も起こる

平成28年度には、高速道路での“対人事故”が5件、“対停止車両事故”が10件発生した。通常、高速道路の本線上に、人が立っていたり、車両が止まっていたりすることはないが、事故や故障等により、こういった事態が発生していることがある。「まさか」の状況にも対応できるよう、常に前方に注意しながら走行するよう心がけていただきたい。

もし事故・故障に遭った際は、まず“後続車に合図」”のうえ、速やかに“安全な場所へ避難”し、110番・道路緊急ダイヤル(#9910)などで通報すること。

このほか、高速道路を利用する際には、“安全速度での走行”、“こまめな・早めの休憩”、“渋滞後尾でのハザードランプ点灯”を呼びかけている。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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