フォレスターがデビュー3年で大幅改良! “アイサイト”の制御速度域も拡大し新世代デザインも採用…ほぼ全面刷新な充実ぶりだった
- 筆者: 橋本 洋平
- カメラマン:茂呂 幸正・SUBARU
スバル車販売の中核をなす人気SUV「フォレスター」がデビューから3年を経た2021年秋、大規模なマイナーチェンジを実施する。これに先駆け、早くも仕様や価格が公開された。新しいフォレスターはどこがどのように進化をしたのか。内外メーカーの開発事情にも精通するモータージャーナリストの橋本 洋平氏が実車を取材。新型フォレスターの詳細を解説する。
外観の大幅刷新のみならず根本的な改良が随所で実施された
桑田佳祐氏が新たに書き下ろした「炎の聖歌隊(Choir)」が流れるTVCMの放映が始まったスバル 新型フォレスター。今回の変更は基本的な部分は変わらないものの、エクステリアの大幅改良やアイサイトの根本的な変更などが行われるビッグマイナーチェンジといっていい。
価格はTouringが293万7000円、X-BREAKが308万円、Advanceが317万9000円、SPORTが330万円となる。
最大の変化点はヘッドライト&フロントグリル!
最も変化が感じられる部分はフロントマスクだ。ヘキサゴングリルを大型化すると共にグリル枠をブラックカラーとしたその顔つきは、力強さが増した感覚がかなり強い。
ヘッドライトユニットは、ターンランプを片側4つのLEDを配したところが特徴的で、その側面に鏡を入れることで、斜め前から見るとL型の8個点灯しているかのように見えることが面白い。これは見た目のインパクトだけでなく、交差点などにおけるアピールにも一役買い、安全性の向上にも繋がりそうだ。また、LEDフロントフォグランプ&フォグランプカバーはフロントグリルと合わせた横方向への広がりと、サイドへの連続する流れを感じるデザインとなった。
全長は若干伸びたが、アプローチアングルはむしろ改善
ヘッドライト自体には、アレイ式アダプティブドライビングビームを採用(アイサイトセイフティプラス装着車)。12分割で細かく遮光可能なアレイ式は、ハイビームの照射範囲を拡大。複数あるLEDライトの配光によって照射範囲を素早く切り替えられるという。
なお、これらの変更に伴いフロントバンパーは従来型よりも+15mm長くなり、全長は4640mmとなった。だが、アプローチアングルは21.4°(SPORTは21.3°)と、従来型よりも拡大している。
さらに、X-BREAKに標準装備となる(他のグレードはOP)ルーフレールは、これまで一部グレードのみに設定していたロープホールを全グレードに拡大展開。利便性を大幅に向上させている。
先進運転支援機能“アイサイト”が次世代版に刷新! カメラの視野角が拡大し制御可能な速度域が向上した
利便性の向上といえば、アイサイトが改められたことも注目のポイントだ。これは基本的には新型レヴォーグに設定されたアイサイトと同等のステレオカメラが搭載されるようになったことがポイント。視野角は従来比で約2倍となっている。ただし、精細地図情報やGPS情報を得るアイサイトXとはならない。このほか、前側方レーダーや電動ブレーキブースターは持たないこと、そして後側方レーダーはメーカーOPとなるところは異なる。
では、何が進化したのか? それは衝突回避可能な速度差が高まったこと。
従来は制御対象との速度差が約50km/h(歩行者の場合は約35km/h)だったが、今回は約60km/hまで引き上げられた。また、右左折時は自車速約20km/h、横断自転車は自車速約50km/h以下(ちなみにレヴォーグは60km/h以下)となる。
さらに、ツーリングアシストや全車速追従機能付クルーズコントロール、車線逸脱抑制&車線中央維持といった性能はかなり向上しているというから楽しみ。青信号お知らせ機能が追加されているところも有難いポイントだ。
カッコだけじゃない! 悪路から舗装路まで、走りの性能を向上させるための多岐に渡る改善も
新型フォレスターのマイナーチェンジでは、走りについても変更が行われた。
e-BOXER搭載モデルには、従来はX-BREAKのみの搭載だったe-アクティブシフトコントロールと名付けられたパドルを全車に装備。サスペンションセッティングを見直し、操舵初期応答性能を拡大。軽快で意のままに操れるハンドリングとしたらしい。
一方で、悪路走破時に使用するX-MODEの制御も見直している。従来型は40km/h以上になると自動的に解除されていたが、新型では35km/hを下回った時点で復帰するように改められた。それは路面変化に柔軟に対応可能な安心感ある制御だという。
さらにヒルディセントコントロールの制御もコントロール性を高め、狙いの車速に合わせやすくしたというマニアックな変更も行ったところはさすがスバルという進化だ。
このように、カッコだけの変更だけでなく、安全性も走りも磨き込んだという新生フォレスター。SUVの中でもかなりの本格派であることに変わりは無さそうだ。むしろ、悪路走破性を含めてかなり本気に立ち向かったことが伝わるビッグマイナーチェンジとなりそうだ。
[筆者:橋本 洋平/撮影:茂呂 幸正・SUBARU]
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