今年3月のジュネーブモーターショーでのワールドプレミア、4月のモータースポーツジャパンでのジャパンプレミアといった長期間に渡るティザーキャンペーンを行っていただけに、「まだ売っていなかったのか」と錯覚してしまうほど目にしてきた三菱 エクリプスクロスの日本仕様が東京モーターショー2017で公開された。
>>三菱自が満を持して投入する新型SUVに“エクリプス”の名前を復活させた理由
2013年に登場した現行eKワゴン&eKスペース以来、現時点で4年以上(エクリプスクロスの登場が来年春というのを加味すると約5年)新型車がなく、その間に燃費不正問題、日産ルノーアライアンス入りという苦難の時期を過ごした三菱自動車だけに、久々の新型車となるエクリプスクロスに賭ける期待は大きい。
エクリプスクロスは、現在の三菱自動車のラインナップではRVRが一番近いコンパクトSUVだが、コンセプトであるスペシャリティなクーペフォルムを持っていることが、大きな特徴でありRVRと異なる点だ(※車格がRVRに近いためRVRの後継車のようにも見えるが、RVRは10月に一部改良を受けたばかりなので、当面はエクリプスクロスと併売となるだろう)。
エクリプスクロスのような国産SUVクーペは、トヨタC-HR、日本車だが国内では未販売のマツダCX-4くらいしか頭に浮かばず、特に日本では新鮮に見えるに違いない。
インテリアは全体的にオーソドックスであるが、薄型のスマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)、タッチパッドコントローラー、ヘッドアップディスプレイなどを装備し、最新のトレンドを取り入れた先進感あるものとなっている。また流麗なクーペフォルムながら、リアシートも十分なヘッドクリアランスを確保している点も嬉しいポイントだ。
機能面に関しては、まず車の土台となるプラットフォームはアウトランダーやデリカD:5など三菱自動車の乗用車に幅広く使われているGSプラットフォームと呼ばれるものを引き続き使う。プラットフォーム自体は決して新しいものとは言えないが、フロント部の3点式ストラットタワーバーの採用や、リア周りに重点的に構造用接着剤を塗布したことによるボディ剛性の強化やサスペンションの最適化などより、意のままに走れるハンドリングと高い安定性を実現しているという。
「意のままに走れる」といえば、三菱自動車が得意とする4WDシステムはアウトランダーやデリカD:5などに使われている後輪へ適切に駆動力を配分する電子制御4WDとなるが、エクリプスクロスではフロントデフや電動パワステを含めた車両運動統合制御システム「S-AWC」にAYC(アクティブヨーコントロール、旋回性能を上げるための後輪の制御)を加え、オート、スノー、グラベルという3つの走行モードを備える。スペシャリティなSUVクーペでありながら三菱自動車のSUVらしい雪道や悪路での高い走破性を確保しているに違いない。
日本仕様のエンジンは新開発となる1.5リッターダウンサイジングガソリンターボ。スペックが公表されているヨーロッパ仕様は、ハイオクガソリン仕様で最高出力163馬力、最大トルク25.5kgmと2.5リッターNAエンジン以上の中低速トルクを持つ。このエンジンはトヨタのD-4Sのように通常のポート噴射と直噴の2つのインジェクターを持ち、燃費や排ガスといった高い環境性能を実現するほか、電動ウエストゲートアクチュエーター付き小型ターボチャージャーの採用などによってレスポンスも向上しており、エクリプスクロスのキャラクターに相応しいスポーティな走りが期待できそうだ。組み合わされるトランスミッションは8速スポーツモード付きのCVTとなる。
ジュネーブモーターショーでの発表の際、搭載されるエンジンとして記載されていた2.2リッターディーゼルは未だ開発中(発売されている仕向地は今のところない)とのことで、将来的には日本仕様にも設定されることは十分考えられる。
最近では車を選ぶ際に重要なチェックポイントとなっている安全装備や自動ブレーキは、停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールなども含み、ミドルクラス用の自動ブレーキとして納得できる性能を持つe-Assistが装備される見込みだ。
三菱 エクリプスクロスは、現時点ではスタイル以外に全体的に飛び抜けたところは見受けられない代わりに、手堅くソツなくまとまった車に仕上がっている。
それだけに、エクリプスクロスが三菱自動車復活の狼煙となることを強く期待したい。
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