メルセデス・ベンツ 新型 Mクラス 海外試乗レポート/桂伸一(3/3)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
静寂と安定性 それはまさに落ち着いたサルーンの世界
走行性能はブルーエフィシェンシーがガソリンの特性らしく、静かに滑らかに市街地を進む。さらに停止と同時にエンジンは呆気なく活動休止。もちろんECOスタートストップ機能によるもので、ブレーキをリリースすると即座に振動もなく再始動。乗り味はいたって滑らかだ。
高い着座位置による視界の広がりは新型Mクラスの最大の特長だが、それ以外はまるでEクラス、いやSクラスに乗っているかのような静寂でしっとり落ち着いたサルーンの世界観がある。
試乗車はエアマチックサスと走行モードを可変するON&OFFロードパッケージ付き。ドライ路面をハイペースで進むと、ドスン、ガタンの衝撃は皆無。しかも背の高さを感じさせない低重心の恩恵は、ボディが傾くロールや、前後に変化するピッチングが抑え込まれたフラットな安定性を備える。アクティブアンチロールバーと呼ぶ旋回中のロールを抑える制御も関係は深い。
ブルーテックこそプレミアムに相応しい
ワインディングをハイペースで駆け抜ける。前を行くディーゼルのML350ブルーテックの速さに閉口する。必死に追従するのだが立ち上がり加速でアッサリと引き離される。運転技術の差か?
しかしそれはブルーテックに乗り換えると瞬時に解けた。
ともかく軽快。2.2トン近い車重をゼロから、スッと押し出す太いトルクが大型SUVには何よりも似合う。意識して踏めばゼロスタートから猛然とダッシュも効く。これでは回転が上昇してパワーが漲るガソリンとは特性が違うワケだ。
306ps/37.8kgmのガソリンのスペックに対してディーゼルは258ps/63.2kgm。パワーよりもML63AMGにも迫る高トルクだから、0-100km/hを7.4秒(ガソリン車:7. 6秒)、最高速224km/h(ガソリン車:235km/h)とガソリンとの差は少ないのだが、漲る力強さと高速域での静粛性はブルーテックこそプレミアムに相応しいと感じた。
4マチックの雪上性能は、ML350のフルタイム4WDシステムが不穏な挙動変化を起こさない弱アンダーステアに終始する。150km/hで直進する雪上での走破性は、さすがのマルチパーパスぶりを披露した。
日本導入は今年夏以降。乞うご期待。
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