マツダ SKYACTIV搭載車 試乗レポート(1/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
次世代エンジン「SKYACTIV」を搭載したアテンザを試乗
マツダが、新しいことにチャレンジしている。
「SKY」と名付けられたその「新しいこと」は、2010年10月に、東京ドームわきのホールで概要が発表された際には「SKYACTIV(スカイアクティブ)」と名前が変わっていた。
その内容は「新しい」といっても、モーターのように電気的なものなど、これまでと別の何か新たな力を借りるわけではなく、新しい「手法」を採り入れることで、既存の内燃機関やトランスミッション、シャシーなどをブラッシュアップし、究極的に効率を高めるというものである。
そして発表の直後、広島・三次のマツダテストコースにおいて、開発中のプロトタイプ車に触れる貴重な機会を得られた。
用意されている車両は、ガワこそ現行アテンザになっているが中身は別物で、SKYACTIVの内容を盛り込んだプロトタイプだ。
比較用に現行アテンザ各種も用意されていたので、違いを実感することができた。
まずエンジンについて述べると、ガソリン・ディーゼルとも、どちらも14.0という圧縮比を実現しているのが最大のポイントだ。
この14.0というのは、ガソリンエンジンでいうと異様に高く、ディーゼルエンジンでいうと異様に低い数値である。そもそもガソリンもディーゼルも、もっとも効率がいいのがこのぐらいの圧縮比であることは、かねてからいわれていた。
しかし、克服すべきいろいろな問題があり、ガソリンはもっと低く(MAX12程度)、ディーゼルはもっと高く(MIN20程度)なっているのが一般的であった。
ところが、それらの問題を克服するための技術が確立し、ともに14.0という圧縮比を実現できそうなメドが立った、ということだ。
全域トルクフルな「SKYACTIV-G」
次世代高効率直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」は、低・中速トルクが15%向上し、燃費も15%改善されて、アクセラクラスでデミオ並みの低燃費になるという。
これを実現するため、高圧縮でのノッキングによる出力低下を防ぎ、安定した燃焼を得るための要素として、
・マルチホールインジェクター
・キャビティ付きピストン
・低温酸化反応
・4-2-1排気システム
などを採用することでブレークスルーしたという。
現行車に比べると、プロトタイプは、たしかにトルクが低回転域から大きく出ているのが印象的だった。いずれも排気量は2リッターだったのだが、後者はもっと排気量が大きいエンジンであるかのような感覚だ。
ピックアップがとてもいいので、踏み込んだ瞬間にパッと前に出るし、全域でトルクフルで、乗っていてとても気持ちのいい走りを楽しむことができた。
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