レンジローバー ヴェラール試乗レポート|SUVの老舗が切り開いた新たな地平(3/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:茂呂 幸正・ジャガーランドローバージャパン
380馬力のV6 3.0スーパーチャージャーに加え、新開発の2リッターターボガソリン&ディーゼルもラインナップ
今回のヴェラールの試乗車に載るエンジンは、スーパーチャージド3.0リッターV6。最高出力380馬力と最大トルク450Nmは十分以上で、中軽井沢から鬼押ハイウェイにいたる急勾配を余裕で駆け上がっていく。
ヴェラールの日本仕様には、他にディーゼルとガソリンの4気筒エンジンも揃っていて、共に新しい「インジニウム」だ。ジャガー ランドローバー社がフォード傘下から独立してから新設計された新しいコンセプトの4気筒。軽量小型にまとめられ、パフォーマンスと省燃費、排ガスのクリーン化が狙い。特に今回新投入されるガソリン4気筒エンジンは最高出力250ps、最大トルク365Nm。トランスミッションは全てパドルシフト付き8速となる。
V6 3.0スーパーチャージャーモデルに乗り、ランドローバー自慢の走行モード選択システム「テレインレスポンス2」のダイナミックモードを選択。舗装路での性能を最大限に発揮して走った。
テレインレスポンス2では、他にノーマル、ECO、雪と氷、轍、砂地の走行モードが選べ、パワートレインやトランスミッション、4輪駆動の駆動力配分などがそれぞれ最適な走行設定が施される。
今回は舗装路だけの試乗だったので、オフロード走行は試せなかった。次の機会を待ちたい。
コネクティビティ(接続性)も万全、安全への対策も抜かりない
レンジローバー ヴェラールはコネクティビティも万全で、オプションでSIMカードを装着し、アカウントを持つことができる他、万が一クルマが盗難に遭った際の警察へ通知できる「セキュアトラッカー」なども選べる。オプションを選ばなくても、スマートフォンをテザリング接続してインターネットにアクセス可能だ。
運転支援デバイスもACC(アダプティブクルーズコントロール)やLDW(レーンデパーチャーワーニング、車線逸脱警告機能)、自動緊急ブレーキ、360度ビュー&パーキングガイド付きサラウンドカメラなどを標準装備。車線から逸脱しそうになるとハンドルを自動で回すLKAS(レーンキープアシスト)、BLISA(ブラインドスポットアシスト)なども用意されていて抜かりない。
タッチパネル式の操作パネルは使いやすいが、ボイスコントロールでも使える。スマートフォンでお馴染みのデバイスだが、日本語への対応能力も日進月歩で、以前の隔靴掻痒感はもうないと言って良いだろう。
老舗・ランドローバーの意地と経験とセンスに今後も期待していきたい
この20年間でSUVというカテゴリーが一般化して、あらゆる自動車メーカーがラインナップに加えている。あのランボルギーニが「ウルス」を今年12月に、ロールスロイスが「カリナン」を遠くないうちに発表することを明らかにしている。
SUVしか造らないことを明言し続けているランドローバー社は多方向から外堀を埋められているようなものだが、老舗の意地と経験とセンスを盛り込んだのがヴェラールだ。
決してスタイリングだけに注力されているわけではなく、インターフェイスに於いて斬新な試みを行い、SUVの新たな地平を開くことに成功している点が見逃せない。短い時間ではその片鱗しか体得することができなかったので、機会を見付けて長距離を走ってみたい。それだけの意欲作であり、ある種の“問題作”とも言えるだろう。
[レポート:金子浩久/Photo:茂呂幸正・ジャガーランドローバージャパン]
■参考:レンジローバー ヴェラール 新型車発表会|極めてシンプルなのに、ここまで美しく力強いスタイリングが生まれた理由[2017/7/11]
ランドローバー レンジローバー ヴェラール R-DYNAMK SE 主要スペック表 | |
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駆動方式 | AWD |
価格 | 11,290,000円(消費税込み) |
燃費 | 10km/L(JC08モード) |
全長 | 4,820mm |
全幅 | 1,930mm |
全高 | 1,685mm |
ホイールベース | 2,875mm |
乗車定員 | 5名 |
車両重量 | 2,060kg |
エンジン | 水冷V型6気筒 DOHCスーパーチャージャー |
排気量 | 2,994cc |
エンジン最高出力 | 280kW(380ps)/6,500rpm |
エンジン最高トルク | 450Nm/3,500rpm |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
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