新型インサイトが搭載するハイブリッドシステムは、“スポーツハイブリッド i-MMD”(Intelligent Multi-Mode Drive)と呼ばれる。通常はエンジンが発電機を作動させ、その電気を使って駆動用モーターを回す。エンジンが直接駆動するのは、その方が効率の高い高速巡航時のみだ。モーターがホイールを駆動するから、運転感覚は電気自動車に近い。モーターは瞬発力が高いからアクセル操作に対する反応が機敏で、無段変速だから加速感も滑らかだ。
インサイトが搭載するi-MMDのエンジンは、クラリティPHEVと同じ1.5リッターになる。アコードやステップワゴンのi-MMDは2リッターだが、インサイトは世代が新しく効率を高めた。
モーターはH4型だからアコードなどと同じだが、電力供給の仕方が異なるため、インサイトは動力性能を少し抑えている。
それでもボディが比較的軽く、EXの車両重量は1390kgだ。アコードハイブリッドEXの1600kgに比べると200kg以上軽いため、動力性能に余裕がある。加速力を普通のガソリンエンジンに当てはめると2.5リッター並みで、先に述べたようにアクセル操作に対する反応が機敏だから運転しやすい。
各種の制御も新しく、エンジンやインバーターのノイズを抑えた。エンジンを停止させたモーターのみの走行と、再始動を頻繁に繰り返しても、煩わしく感じない。エンジン回転数と速度も、なるべく連係するよう配慮した。
燃費を最優先すると、アクセルペダルを踏み増した時にエンジン回転を高効率な領域まで一気に高めたいが、ドライバーは駆動力が適切に伝わっていないような違和感を抱く。現行アコードの初期モデルは、この傾向が顕著だった。
そこでインサイトは、エンジン回転数と速度増減のズレを抑えた。ただしドライバーの感覚を重視しすぎると、肝心の燃費効率が悪化する。開発者は「緻密にバランスを取るのに苦労した」とコメントした。日本のFF車で一般的なCVT(自動無段変速AT)にも高効率と運転感覚の両立という意味で、似たようなことが当てはまる。
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