上級ステーションワゴン 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
国産上級ワゴン車として世界と肩を並べられる
SUVやミニバン、ひいてはハッチバックの2ボックス車に市場を奪われ、日本の自動車メーカーはワゴンらしいワゴンをほとんどラインアップに揃えなくなった。国産の上級ワゴン車がほとんど消滅し、レガシィとアテンザ、アコードぐらいしか無いのが現状だ。
とはいえ、こうした上級ワゴン車のニーズがないわけではない。そのニーズに応えているのは、主に欧州のプレミアムブランドだ。ワゴンにも、実用車というよりもプレミアムカーとしての資質とユーティリティの両面が求められるようになったと言える。
そんな中で、アウトバックはルックス面ではSUVテイストを意識したことはわかるが、装備面ではツーリングワゴンに対して、それほどSUVらしいプラスアルファがあるわけではなく、むしろ6気筒エンジン搭載モデルを設定するなど、SUVテイストを加味した上級ワゴン車として存在する。
国産勢の中では頂点にあるといえるモデルで、それでいて内容のわりにリーズナブルな価格設定である。国産の上級ワゴン車を求めるニーズに応えるクルマであり、世界のライバルと肩を並べられるクルマだろう。
V70でこの内容はバーゲンプライス
ボルボというブランドは日本でも非常にイメージが良く、かつては850シリーズや初期のV70が大ヒットしたのもご存知だろう。
しかし、大型化するボディサイズと反比例するかのように、日本での販売は落ち込んだ。コンパクトなV50もあるが、従来のV70の代役としては力不足の感がある。
それらを受けてか、ボルボは昨今、他モデルも含め全体的に車両価格の引き下げを行なっている。V70もデビュー当初は高価な印象が強いラインアップだったが、450万円を切る車両価格でエントリーモデルが新たに設定され、非常にリーズナブルになったと思う。
しかもV70ノルディックは、デュアルキセノンヘッドライト、16インチアルミホイール、運転席パワーシート、HDDカーナビなどを標準装備で設定したところが偉い。
実はこの価格は、先代V70の廉価グレードをも下回る。当時とは時代背景が違うといえども、この車格でこれほど内容の充実したクルマが、この価格で買えるというわけだ。
そして、クルマとしての本質の部分でも、V70のワゴンとしての実用性の高さには目を見張るものがある。しかも、ブランドも上質感も申し分ないのだから、このクルマがいかにバーゲンプライスであるかをご理解いただけるだろう。
スペシャリティカーの延長にあるワゴン
不況でプレミアムブランド車の販売が低迷する中で、唯一アウディは成長を続けている。最近のアウディ車に触れるたびに、その理由がうかがい知れるわけだが、それはこのA4アバントも例外ではない。
しっかりとしたつくり、スタイリッシュで高級感もあり、いうまでもなく装備も充実している。
そして、走りのよさも特筆できる。それは上記2モデルに比べてというよりも、世界中を相手にしても、このレベルに達しているクルマは少ないというか、アウディしか持ち得ていない境地もあるわけだ。
そこに共感するのであれば、少々高い出費を払ってでも、手に入れる価値は十分にある。そして、見てのとおり非常にスタイリッシュで、高級感もあり、装備も充実している。
反面、ワゴンとしてのユーティリティを求めると、上記2モデルに劣るのは否めない。基本的には前席重視のクルマで、スペシャリティカーの延長上にあるワゴンである。ワゴンを便利に使い倒すというよりも、プレミアムカーのワゴンに乗るというライフスタイルを楽しむクルマといえるだろう。
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