200万円台ハイブリッドカー 徹底比較(2/4)

200万円台ハイブリッドカー 徹底比較
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“走れる”ハイブリッドカーに進化

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トヨタが世に送り出して11年が経過した唯一無二のストロングハイブリッドシステムは、ついにここまで進化したというのが率直な印象だ。 従来の1.5Lから、新開発の1.8Lのアトキンソンサイクルに換装されたエンジンは、排気量拡大というと、燃費の悪化が懸念されるところだが、高速走行時のエンジン回転数を下げることが可能となり、実用燃費を向上させている。

さらに、クールEGR、電動ウォーターポンプ、排気熱再循環システムなどの新技術を織り込み、さらなる低燃費、低排出ガスを実現。

スペックは、エンジンが最高出力73kW(99ps)/5200rpm、最大トルク142Nm(14.5kgm)/4000rpm、モーターが60kW(82ps)、207Nm(21.1kgm)で、「2.4Lなみ」と、トヨタが言う動力性能を実現している。

渋滞走行などちょっとした加速はモーターのみでこなせるが、「EVモード領域の拡大」を謳っているとおり、モーターだけで走行する時間が増えていることが体感できる。

再始動時の振動がこれまでよりも小さく抑えられているところは3代目の進化ポイント。

とくにパワーモードにすると、ガソリンエンジンのみではありえない力強い出足となるほど。ブレーキフィールは、低速ではやや張り付き感を伴うものの、全体の違和感は小さくなったことも進化点である。

欧州戦略を前提としたオーリスから譲り受けたプラットフォームを得た恩恵で、ハンドリング性能が先代よりも格段に進化している。スタビリティを稼ぐためか乗り心地は少々硬めだが、車重の重さを感じさせないフットワークには、「走れる」ことを意識して仕上げられたクルマであることがうかがえる。

エクステリアは、ボディパネルの抑揚がつき、特徴的なヘッドライト形状や、前進感のあるサイドビューなど、非常にスタイリッシュになった印象だ。

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軽快なフットワークのハイブリッドカー

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最高出力65kW(88ps)/5,800rpm、最大トルク121Nm(12.3kgm)/4,500rpmの1.3Lのi-VTECエンジンに、同14ps、8.0kgmの電気モーターを組み合わせたパラレルハイブリッドシステム「IMA」を持つ。

1.3Lエンジンをモーターが補助的にアシストするという、標準モードの加速フィールでは、踏み込んだ瞬間にグッと前に出る感覚があり、「速い」とすら感じさせるほど。LSグレードであれば、7速のマニュアルモードを備え、パドルシフトを駆使して走ることもできる。

ただし、上り勾配では、ベースにエンジンのトルクの細さという宿命を感じることもなくはない。

また、「ECON」モードにすると、エンジン回転数を低く保つため、一昔前のCVTのようなひっかかり感が出てくるが、エンジン出力や変速比、アイドルストップ領域の拡大、IMAの回生量増加、エアコンの省エネ化など、総合的に燃費向上の制御を行なう。

条件によっては停止時には機能しないが、全気筒を休止するシステムを備える。ブレーキペダルから足を離すとエンジンが再始動するが、タイムラグは非常に小さく、ほぼ気にならない。

ブレーキフィールは踏み始めはよいのだが、踏力を一定にしているつもりでも、不意に回生が入り、それをやや唐突に感じるケースもある。しかし、全体として違和感は小さく仕上がっている。

1,190kgからという車両重量の軽さもあってか、フットワークは非常に軽快で、キビキビとした走りが楽しめる。また、一部ホンダ車で気になる、電動パワステの中立付近のあいまいな遊びも、インサイトではあまり気にならない。

5ナンバーサイズ専用ボディは、プリウスに似ているといわれているとおりだが、ハイブリッドであるだけでなく、特徴的なフロントマスクに始まるワンモーションを描くハイデッキスタイルは、もちろん空力も意識してのこと。好みの問題ではあるが、プリウスよりもスタイリッシュとの見方もできなくはない。

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ベース車ゆずりの優れた走行性能

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1.3Lエンジンと電気モーターを組み合わせ、ベルト式のCVTを介して駆動力を伝達するというシステムは、インサイトと同じ。

ただし、エンジン出力は69kW(94ps)/6,000rpm、最大トルク121Nm(12.3kgm)/4,500rpmで、モーターも最高出力15kW(20ps)、最大トルク103Nm(10.5kgm)と、微妙にスペックが上回る。また、VTEC機構は、気筒休止だけでなく、インサイトにはない低回転/高回転の切り替えを行なう3ステージ仕様である。

また、バッテリー搭載個数も11個とインサイトよりも多いこともあって、10・15モード燃費でも上回っていることも見逃せない。これにより、動力性能は出足こそ軽量なインサイトが上回り、シビックHVはモーターが後押しする感覚が薄い印象だが、走り出してしまえばシビックHVのほうが上と感じられる。

フットワークは、インサイトが軽快であるのに対し、シビックHVは、剛性感があり、しっかり感がある。ステアリングフィールやハンドリング、ベース車のシャシーの素性に優れるシビックHVがリードし、よくなったプリウスをも上回る部分が多い。

ブレーキフィールは、以前に2代目プリウスと比較した際には、シビックHVのほうが違和感が小さく感じたのだが、現時点では、後発の2モデルに比べると、タッチがややスポンジーであることや、あるポイントから急に回生が強まるような感覚がある点が気になる。

エクステリアデザインについては、標準のシビックとの相違点は、専用アルミホイールとハイマウントストップランプのLED化ぐらいしかない。要するに、「ハイブリッド専用」でない。それが低調な販売の原因のような言われ方をしているが、はたしてどうなのだろうか。そうした本質とはまったく違う部分で、このクルマが不当な評価をされているのは残念な限りである。

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デザイン・スペックの総評

10・15モード燃費のカタログ値は、プリウスが38.0km/L、インサイトが30.0km/L、シビックハイブリッドが31.0km/Lとなっている(好数値のグレード・仕様の値を表記)。

走り味は、プリウスの先代からの向上ぶりが著しく、一概にインサイトのほうがスポーティと言い切れそうにない感じになってきた。また、ベース車の素性のよさが生む走りのよさは、依然としてシビックHVの強みである。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

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