75%減税対象 人気コンパクトカー 徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
キビキビとしたフットワーク
現行の2代目フィットは、2007年10月に登場。2007-2008日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞を受賞。初代よりもボディサイズがひとまわり大きくなり、まさに正常進化といえるモデルチェンジをはたした。
売れ筋の「L」グレードには、73kW(100ps)&127Nm(13.0kgm)を発生する1.3L直4SOHC i-VTECエンジンが搭載される。小排気量ながら十分なトルクを得ており、このボディを走らせるのに何ら不満はない。
フットワークについては、175/65R14サイズのタイヤを履き、やや腰高感こそあるが、適度に引き締まった足まわりによるキビキビとした走りを身上としている。
ただし、市街地で走るぶんには、こうしたよい面ばかりがクローズアップされるのだが、高速道路を走ると、気になる部分がいくつか顔を出してしまう。
エンジン回転の上昇に加速感が遅れてついてくるCVTは、タウンスピードではいいのだが、高い速度域では一定速を保つのが難しくなる。
また、電動パワーステアリングは中立付近に曖昧な遊びがあり、微妙に直進状態からずれるため、常に微少な修正舵を要する。このあたりは、最近の一部ホンダ車に共通して見受けられる部分であり、改良に期待したい。
もっと大きな乗用車のような乗り味
2005年春に登場したノートは、2008年1月にマイナーチェンジを実施し、リニューアルを図ったことで、初期モデルよりも見た目の新鮮味は増した。オーソドックスながらダイナミックな印象のスタイリングは、従来の特徴的テールランプなどインパクトのあったリアビューに対して、フロントがやや負けているように感じられたが、ヘッドライトの強調された現行モデルでは、バランスが取れているように思う。
エンジンは1.5L直列4気筒DOHCのみの設定で、2WD車にはエクストロニックCVTが組み合わされる。 2009年4月には税制の改正を受けて、エンジンとCVTの制御の変更やオルタネーター回生制御などにより燃費の向上を図り、エコカー減税に適合させたばかり。
このためか、当初は加速感の演出のためか、やや全域で動きすぎる印象のあったCVTの変速が、心なしかいくぶん落ち着いた印象となった。
ドライブフィールは、コンパクトなボディのわりに比較的長めのホイールベースを確保しているせいか、軽快な中にもややドッシリとした感覚のある、安定感の高い乗り味を実現している。直進性もよろしく、電動パワステの制御もこなれている。
ボディサイズこそ小さいが、もっと大きな乗用車に乗っているような運転感覚をもたらす。これはプラットフォームを共用するマーチとは異なる。また、軽快な感覚が残っているあたりは、上級のティーダとも異なる。
不満のないミラーサイクルエンジン
デミオは、もともと上記フィットやノートのコンセプトを先取りした、コンパクトながらもスペース効率を追求したパッケージが身上のクルマだった。それが、2007年7月にモデルチェンジして3代目に移行した現行モデルでガラリと変わった。
スタイリッシュでスポーティなボディは、複雑に面をからませて、躍動感を感じさせる独特の雰囲気を出している。フロントマスクも、前進感のあるサイドビューも、均整の取れたリアも、どの角度からみてもスタイリッシュだ。 また、従来よりも100kg軽量化されたボディは、実際には直接的なライバルといえるヴィッツやマーチと比べると、それほど軽いわけでもないが、新開発プラットフォームによるシャシー性能の高さは侮れない。このあたりが評価され、デミオは2008年次RJCカー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのはご存知のとおりだ。
13C-Vグレードに搭載されるミラーサイクルエンジンは、吸気バルブを遅閉じすることで、実質的な圧縮比を膨張比よりも小さくし、低燃費を図るというものだが、実用域でのトルクの細さが弱点といわれる。しかし、同車では柔軟性に富むCVTが上手く補完しており、大きな不満はならない。
また、アイドリング振動は少々大きめで、車外にいると聞こえるノイズや吸気音もやや大きめだ。ドライブフィールはヨーロッパ的で、軽快な中にシットリとした感覚がある。電動パワステのフィーリングも3車の中でもっともよい。高速巡航時の直進性も高く、攻めた走りではスポーティなハンドリングを楽しめる。
デザイン・スペックの総評
ボディサイズは、デミオが小さいように感じるが、実はフィットと外寸もホイールベースもほとんど同じ。ノートのみホイールベースと全長が10cmほど大きい。それでも最小回転半径は、全車4.7mだ。
パワートレインおよびフットワークの印象は上記のとおり。中でも、CVTの制御や、電動パワステのフィーリングにもっともクセがないのはデミオである。ノートは、コンパクトカーらしからぬ落ち着いたドライブフィールだ。逆にフィットは軽快な走り味が身上である。
ちなみに、取材時の実燃費も、カタログデータどおり、フィット、デミオ、ノートの順であった。
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