スズキ 新型スイフト vs ホンダ フィット どっちが買い!?徹底比較(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
軽量化や安全面など大きく進化を遂げたスイフトと、コンパクトカーの王者フィットを比較!
1~1.5リッタークラスのエンジンを搭載する割安なコンパクトカーは、もともと日本の交通環境に合っていたが、近年ではその重要性がさらに増している。安全装備の充実や環境性能の向上もあり、クルマの価格が全般的に高まったからだ。
20年ほど前までは「ファミリーカーの上限価格は200万円」といわれたが、今はこの金額で2リッタークラスの車種を購入するのは難しい。セレナやヴォクシーの売れ筋価格帯は250~300万円だ。
そこでファミリーカーのサイズをコンパクトカーに抑えるユーザーが増えた。これを可能にしたのがコンパクトカーの進化だ。内装は上質になり、居住性の優れた車種も選べる。走行性能も向上して、前述の安全装備も充実してきた。
そして日本の道路は表通りは整備されたが、裏道に入ると急激に狭まる。個人的には、わざわざ運転がしにくくて価格の高い3ナンバー車を買う必要はないように思う。まずは5ナンバー車を検討して、欲しいクルマが見つからない時に、選択の対象を3ナンバー車へ広げる選び方が合理的だ。
その意味で注目されるのが新型スズキ スイフト。
全長が4m以下に収まって運転がしやすく、現行型はバレーノから採用が開始されたプラットフォームを使って大幅な軽量化を行った。燃費に優れており、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備も充実している。売れ筋の価格帯は140~170万円で出費も抑えやすい。
今回はそんな新型スイフトと、ライバルとしてホンダ フィットを比較してみたい。
クルマの性格としてはフィットよりもマツダ デミオの方が近いが、クリーンディーゼルターボが売れ筋で販売の主力になるXDツーリングの価格は200万円近くになってしまう。また、販売台数もフィットの6割程度と伸び悩んでいることもあり、今回は新型スイフト vs フィットで比較してみよう。
ボディサイズ・デザイン・視界比較/新型スイフト vs フィット
新型スイフトの外観は少し古典的だ。ボンネットをしっかりと見せて、フロントウィンドウの角度を比較的立てている。
ウエストライン(前後のサイドウィンドウの下端を結ぶライン)は水平に近く、リヤウィンドウの面積を狭めることでリヤピラーを太く見せている。機能的には後方視界が悪いが、塊感の伴う形状に仕上げた。フロントマスクもヘッドランプとグリルを大きく見せて、比較的オーソドックスだ。
フィットはコンパクトカーの流行に沿ったデザイン。フロントウィンドウを寝かせて前方に張り出させ、ボンネットが短く見える。サイドウィンドウの下端は後ろに向けて大きく持ち上げた。後方視界は悪いが、外観に躍動感がある。
フロントグリルとヘッドランプも薄型で、今日のクルマに多い形状だ。
新型スイフトのボディサイズは全長が3,840mm、全幅が1,695mm、全高が1,500mm(4WDは1,525mm)。
フィットは全長3,955mm/全幅1,695mm/全高1,525mmで、新型スイフトよりも115mm長く、25mm高い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はスイフトが2,450mm、フィットは80mm長い2,530mmだ。
最小回転半径は新型スイフトが4.8m、フィットは2WDが4.7~5.2mになる。取りまわし性は僅差ながら、コンパクトな新型スイフトが少し勝る。
・勝者:スイフト
内装・デザイン・質感・操作性・視認性比較/新型スイフト vs フィット
新型スイフトの内装は、コンパクトカーでは上質な部類に入る。
1.2~1.3リッターエンジンが主力の車種で見ると、ノート、ヴィッツ、マーチを上まわる。ただしデミオには見劣りする。フィットとは互角の水準だ。
操作性は両車とも悪くないが、新型スイフトはATレバーの操作感が少し曖昧だ。
新型スイフトのハンドルはD字型で、操作の仕方によっては違和感が生じる。
D字型はハンドルとドライバーの大腿部が近づくスポーツカーでは効果的だが、新型スイフトがこの形状にする必要はないだろう。
フィットもオートエアコンの操作性がいまひとつだが、新型スイフトよりは僅差で優れている。
・勝者:フィット
前席・後部座席の居住性比較/新型スイフト vs フィット
前席は新型スイフトが少し快適だ。シートのサイズはフィットと同程度だが、座り心地は少し硬めながらも腰をしっかりと支える。
肩まわりのサポート性も良く、乗員の背中から側面を包み込む形状に仕上げた。
フィットもコンパクトカーとして満足できるが、座り心地とホールド性は新型スイフトが勝る。
後部座席は新型スイフトの場合、腰が少し落ち込むが座面の前側を持ち上げたから大腿部のサポート性が悪化する心配はない。座面の柔軟性は前席に劣るが、不満は感じない。
異なるのは足元空間で、身長170cmの大人4名が乗車した場合、新型スイフトの膝先の余裕は握りコブシ1つ半だ。フィットは2つ半に達する。
頭上空間は両車とも握りコブシ1つ弱でコンパクトカーの平均水準だが、足元空間はフィットが圧倒的に広い。前後方向の余裕はLサイズセダン並だ。
フィットの座り心地は平均的だが、広さで差を付けた。開放感も含めて居住性を総合的に見るとフィットが勝る。
・勝者:フィット
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