クラウンアスリートと3シリーズとフーガとのハイブリッドを徹底比較 -走りも燃費も満足な上級セダン-(2/4)

クラウンアスリートと3シリーズとフーガとのハイブリッドを徹底比較 -走りも燃費も満足な上級セダン-
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高効率なハイブリッドシステムの搭載によりLサイズセダンとは思えない低燃費を実現

クラウンのハイブリッドシステムは、ほかのトヨタ車にも共通するTHSII。駆動用モーター、発電機、動力分割機構を組み合わせて、無段変速によるハイブリッドを構成する。駆動用モーターと発電機を別個に備えるので、発電とモーター駆動を同時に行うなど、複雑な制御も可能だ。

ベースとなるエンジンは、前述のように直列4気筒の2.5リッター。エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は220馬力とされ、ノーマルタイプのV型6気筒2.5リッターの203馬力を上まわる。開発者によれば「動力性能は3リッタークラス」とのことだ。

JC08モード燃費は23.2km/Lだから、Lサイズセダンではかなり良い。ノーマルエンジンの2倍以上だから、ハイブリッドを選ぶ価値も高まる。

ハイブリッド専用のニッケル水素電池が十分に充電されていれば、モーター駆動のみで走れるEVドライブモードも採用。今後はプリウスなどに設定される100V/1500Wの電力供給コンセントも選べるようにして欲しい。

試乗したグレードは、クラウンアスリート ハイブリッドS。現行型になって存在感の強いフロントマスクを採用したが、全幅は1800mmに収まる。後輪駆動車とあって最小回転半径も5.2mと小さいから、市街地での取りまわし性も損なわない。

装備内容は充実しており、10万5000円でミリ波レーダーを使った衝突回避の支援機能も装着できる。先行車両との相対速度差が時速30km以下の時は、緊急ブレーキにより、事故を未然に防げる場合もある。車間距離を自動制御するクルーズコントロールがセットで備わることもメリットだ。

直列6気筒エンジンにターボを装着した上でハイブリッドシステムを構成している

BMW 3シリーズ のエンジンは、直列4気筒の2リッター+ターボが主力。ガソリンエンジンにはチューニングの異なる320iと328iがあり、ディーゼルの320dを加える。

ところがアクティブハイブリッド3が搭載するのは、BMWの伝統ともいえる直列6気筒の3リッター。これにターボを装着した上で、モーターを備えたハイブリッドを構成している、かなり凝ったメカニズムだ。

動力性能も高く、エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は340馬力。3シリーズでは、最も動力性能の高いモデルになる。

JC08モード燃費は16.5km/L。320iと同等で、ディーゼルを積む320dの19.4km/Lにはおよばない。320iに対する動力性能の上乗せは最高出力にして156馬力だが、ハイブリッドによる節約を行い、燃料代は同等に抑えた。

ハイブリッドシステムは、1モーター2クラッチ方式。エンジンの後方にモーターとトランスミッションを連結できる後輪駆動車に適したレイアウトだ。モーター駆動時には、エンジンをクラッチによって切り離せるから、動力性能のムダ使いを抑えられる。もう一方のクラッチは、8速ATの変速操作に用いる。

ハイブリッド用の電池にはリチウムイオンを使い、トランクスペースの床下に配置した。そのためにリヤシートのバックレストを前に倒す機能があり、トランクスペースと連結させて長尺物の積載も可能だ。

試乗したグレードはアクティブハイブリッドのMスポーツ。全幅はほかの3シリーズと同じ1800mmに抑え、最小回転半径は5.4mになる。街中でも扱いやすい。衝突回避の支援機能も用意され、軽度の緊急ブレーキが作動する。

V型6気筒の3.5リッターエンジンをベースにした肉食系のハイブリッド

V型6気筒の3.5リッターエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載する。登場したのが2010年と古いこともあるが、クラウンアスリートが排気量を直列4気筒の2.5リッターに縮小したのとは対称的だ。

ハイブリッドのメカニズムは、アクティブハイブリッド3と同様の1モーター2クラッチ方式。後輪駆動を生かしたレイアウトで、モーター駆動時にエンジンと切り離せることがメリットだ。

エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は364馬力。ハイブリッド車の数値では高い部類に属し、ノーマルエンジンを積んだフーガと同様、肉食系のイメージがある。

JC08モード燃費は16.6km/L。V型6気筒のノーマルエンジンでは、2.5リッターが11.2km/L、3.7リッターが9.4km/L(370GTタイプSは9.0km/L)だから、燃費の向上率は50~80%だ。「肉食系ハイブリッド」としては納得できる値だろう。

外観はノーマルエンジンのフーガとほぼ同じだが、ボリューム感がかなり強い。全幅はライバル2車が1800mmに収まるのに対し、フーガハイブリッドは1845mmに達する。全長も4945mmで、クラウンアスリートを50mm、アクティブハイブリッド3を320mm上まわる。

最小回転半径が5.6mだから小回り性能に不満はないが、このワイドな全幅は市街地では少し気になる。

試乗したグレードはハイブリッドの標準仕様。装備内容はかなり充実しており、衝突不可避時の緊急ブレーキを含んだインテリジェントブレーキアシストなどが標準装着されている。

今回取り上げた3車種はいずれも後輪駆動のハイブリッドセダン。メカニズムはクラウンが2モーター(発電機もモーターに含める)のTHSIIで、他の2車は1モーター2クラッチ方式だ。

システム最高出力とJC08モード燃費は、クラウンアスリートが220馬力・23.2km/L、アクティブハイブリッド3が340馬力・16.5km/L、フーガハイブリッドが364馬力・16.6km/L。クラウンアスリートはエンジンが直列4気筒2.5Lという点からも分かるように、燃費性能に重点を置く。他の2車はV型6気筒で排気量も大きい。燃費数値がクラウンアスリートの71%程度にとどまる半面、システム最高出力は55~65%前後の上乗せになる。クラウンアスリートは低燃費指向で従来のイメージを覆し、フーガハイブリッドとアクティブハイブリッド3は、スポーティな性格に合ったパワー指向だ。

特にこだわりを感じるのが、アクティブハイブリッド3の前後輪の重量配分。車検証の数値は前後輪ともに870kgの50:50で等しい。クラウンアスリートの前後輪比率は51:49、フーガハイブリッドは52:48。ライバル2車も後輪駆動とあってバランスは取れている。このあたりも、今や貴重になった後輪駆動車を選ぶ価値だろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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