ローダウンでもリフトアップでも乗り心地がいいタナベの車高調サスペンション|タナベ【Vol.2】
前回は、タナベの人気アイテムであるローダウンスプリングとリフトアップスプリングについてお伝えしたが、そのスプリングを使った車高調整式サスペンションもまた、タナベが力を入れているGTパーツだ。前回紹介したスプリングは、手軽なローダウンやリフトアップが可能で、車種に応じて最適な車高や乗り心地を実現してくれるアイテム。ただ、社外ホイールを装着したいとか、もっとスポーティに走りたいといった、さらに高い性能を求めたいという人には、車高調整式のサスペンションがオススメだ。今回はそんな車高調整式サスペンション(以下、車高調)に注目していこう。
タナベの車高調はココが違う
車高調整式サスペンションと呼ばれる足回りは、さまざまなメーカーから発売されているが、タナベがとくに力を注いでいるのは乗り心地。「ローダウンすると乗り心地が悪化する」というのが一般的。通常はどれだけ車高を低くできるか、クイックなハンドリングでスポーツ走行できるかといった方向性で開発されることが多い。乗り心地という要素は二の次というわけだ。
しかしタナベでは、全長調整式、ネジ式、減衰力調整式、減衰力固定式と複数のシリーズが用意されているが、どれもドライビングの安定性を高めつつ、乗り心地にも十分以上に気を配って開発が行われている。
シリーズ最高峰の車高調SUSTEC PRO ZT40
ZT40は、タナベがプロデュースする足回りのなかでも最高峰に位置付けられるシリーズ。全長調整式で、40段階の減衰力調整が可能なダンパーを備えている。ローダウンの幅も50~60mmと確保したうえで、乗り心地重視の開発が行われている。
ダンパーにはTVS(ツインバルブシステム)を搭載したKYB製を採用。TVSは、極めて低い速度域から減衰力を発生させる機構で、速度域を問わずクルマの挙動に応じて最適な減衰力を生み出してくれる。そこにタナベの軽量でヘタリのないスプリングPRO210を組み合わせることにより、どんな状態でもクルマを安定させることができるので、結果乗り心地がよくなるというわけだ。
またフロントには専用アッパーマウントを標準で装備しているので、キャンバーの調整が必要なセッティングでも自由度が高いというのもポイントのひとつ。さまざまな車種に向けたラインアップが揃えられており、カスタマイズ派、走り派問わず、幅広いユーザーから厚い支持を得ているサスペンションキットだ。
アルファード/ヴェルファイアの3列目でも酔わない足回り
アルファード/ヴェルファイアの純正の足回りは、改良を重ねて熟成されてきている。しかしカスタマイズをしたい人にとってみると、やはり腰高感があるうえに、高速ではフワフワと若干心もとない乗り心地。とくに3列目は揺れ幅が大きく、酔うこともあるという声が上がっていた。また、ホイールを社外のものに交換するとフェンダーとの隙間も気になる。
だからこそ、タナベはそんな弱点に注目して開発が進められた。アルファード/ヴェルファイア用の車高調SUSTEC PRO ZT40では、適切な車高を実現しつつ、路面からの入力をスッといなすようにセッティング。30型からは、純正のリアサスペンションがダブルウィッシュボーンとなったため、各アームの可動範囲を考慮したうえで下げ幅を確保しつつ、乗り心地にこだわった。
開発に当たっては、何パターンものサンプルを製作。車両に装着、試乗を何度も繰り返した。ドライバーズシートだけでなく、2列目、3列目でのフィーリングを確認して、ようやく納得のいくものに仕上がったという。
スタイリッシュにキマって乗り心地がいい車高調SUSTEC CR/CR40
全長調整式ではないが、ローダウンスタイルと乗り心地を両立させたモデルが、SUSTEC PRO CRとCR40だ。ちなみに商品名のCRは、コンフォートライドの頭文字。どちらもネジ式の車高調節機能を備え、アルファード/ヴェルファイア(AYH30W)でローダウン幅はフロントで-45~-77mm、リアは-47~-78mm程度を確保。
CRは減衰力固定ながら、わずかな荷重の変化に対して敏感に対応して減衰力を発生させるノンプリロードバルブをダンパーに採用することで、ローダウン車にありがちな街乗りのゴツゴツ感を大幅に軽減している。対応する車両は100車種以上。このラインアップの豊富さもまた魅力のひとつだろう。
一方のCR40は、ネジ式車高調節機能に加えて40段階の減衰力調整機能を備えたモデル。ローダウンをしっかりとさせつつ、自分の好みの乗り味に仕立てたい人にはこちらもオススメ。
どちらのモデルも、乗り心地のよさを開発段階からコンセプトとしているので、「ローダウン車=不愉快な乗り心地」という従来のイメージは当てはまらない。
CRは6万9800円~、CR40は7万9800円~と、価格も低めに抑えられているのも魅力。CRは手軽に、そしてリーズナブルに高性能を手に入れたいユーザーに、CR40は走りやスタイルにさらなるこだわりをもつユーザーに、それぞれオススメしたい。
流行りのアゲ系カスタマイズにはUP40がオススメ
最近のカスタマイズシーンでは、車両をリフトアップしたいわゆるアゲ系と呼ばれる高い車高を楽しむユーザーも増えてきている。そんなユーザーに向けても、タナベはサスペンションキット「DEVIDE UP40」を用意している。
基本的なコンセプトは、全長調整式+40段階の減衰力調整機能ということで、前述のZT40と共通。車高の上げ幅はフロントが±0~42mm、リアが+12~+42mmで、もっとも乗り心地のいい推奨車高は+15~+35mm。タナベのサスペンションキットらしく乗り心地重視というポイントは、ローダウン車高調と同じだ。
タナベのサスペンション開発の特長は車両ごとのパフォーマンスを最適化させる「車種専用設計」。スプリング(レート/ハイト)、ダンパー(ストローク量/減衰力)を車両に合わせて設計を行っている。スプリングは自社製、ダンパーはKYB製でTVS搭載をしたモデルとなる。
特筆すべきは、ダンパーが伸び切った状態で、ドライブシャフトの角度を適正な範囲に保てているかを確認して車高を設定していることだろう。ただ単に足回りだけで車高を上げると、ドライブシャフトの角度が許容範囲を越えて、走行安定性に問題が出てしまうからだ。
また、異音への対策も施されている。リアスプリングは純正ゴムシートを使って装着するため、大型のアダプターを新たに製作。さらにリアダンパーのロッド先端は、強度を確保するために純正形状としたうえで専用ダンパーを採用している。
リフトアップ時のマイナスポイントを解消
KYB製のTVSは、微低速域から減衰力を発生させるしなやかさが特徴。ダンパーが伸び縮みする量(ストローク量)が多く取れる復筒式を採用し、伸び側・縮み側それぞれを車両にあわせてチューニングしている。
リフトアップすると通常では「フラつき」や「突き上げ」を感じる場合が少なくないが、DEVIDE UP40ではその弱点を徹底的に抑え込むことで、安心して運転してもらえる足回りに仕上がっている。
カスタマイズ派・スポーツ派・リフトアップ派が満足できる足回り
クルマの足回りを変えたい理由は人それぞれ。ローダウンしたい人もいれば、逆にリフトアップしたい人もいる。共通して言えることは、とちらも自分の愛車をカッコよくしたいということ。だからこそ、乗り心地に目をつぶってきた人が少なくなかったはず。
しかしタナベの車高調サスペンションならば、ローダウン派はSUSTEC PRO ZT40やSUSTEC PRO CR/CR40、リフトアップ派はDEVIDE UP40と、それぞれに応じたアイテムを用意している。どちらももちろん乗り心地と走行安定性を徹底して突き詰めた開発が行われているのは前述の通り。購入日から1年、もしくは走行10000km未満の保証がついているのも嬉しいポイントだ。
対象の1車種ごとに開発を行った車種専用のサスペンションだからこそ、オーナーの希望を叶えてくれる。カッコいいホイールをバッチリとキメたいカスタマイズ派も、ストリートを気持ちよく走りたいスポーツ派も、ワイルドに車高を上げたいリフトアップ派も、タナベのサスペンションキットなら、きっと満足してもらえるだろう。