シトロエン 新型 C4ピカソ・グランドC4ピカソ 試乗レポート/今井優杏(1/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:阿部昌也・茂呂幸正
やっぱりシトロエン! ひと味もふた味も違う個性を保っていた
とかくファミリーカーのイメージが強く、どうやったって“子育て世代向けでござい”と外板に書いてあるがごときパッケージ、そしてそれをどうやって打ち消すかっていうのが「MPV」というカテゴリーのクルマに課せられた逃れられぬ十字架なのではないか。あ、ここで言うMPVってのは、マツダのアレじゃなくて、マルチ・パーパス・ビークル(Multi Purpose Vehicle)というクルマのカタチのことです。
戦略として、特に国産車に強い需要があるミニバン系はマイルドヤンキーテイストを打ち出して生活感を消してみるってあたりが常套手段で、かくいう私もその手法になんら不満を感じたことはなかった。こういうもんだろうと思っていたのだ。
だけどこれはスゴイ。やっぱりシトロエンはすごい。かつてこんなにも印象に残るMPVがあっただろうか。シャープというのでもない、スタイリッシュというのも違和感がある。とにかく個性的。やっぱり、ホントは月並みすぎて言いたくないけど、これっていわゆる“エスプリ”ってヤツなのかもしれない。
シトロエン「GRAND C4 PICASSO(グランドC4ピカソ)」と「C4 PICASSO(C4ピカソ)」である。
異なるエクステリアを持ち、違うコンセプトで成立する2つのモデル
しかし、日本国内ですでに10月25日より発売を開始している、7人乗りのGRAND C4 PICASSOと5人乗りのC4 PICASSOは、なんと異なる二人のデザイナーによって解釈された、違うコンセプトのモデルなのだ。見比べれば、そのダブルシェブロンが左右に伸びた先端、LEDのポジションライトの装飾からして違うのがお分かり頂けると思う。
そしてそれこそが、やっぱり“PICASSO”の名を冠するにふさわしい遊び心であると思う。シトロエンにとって、21世紀に入り、エスプリどころかマチエール(物質)ばかりを重んじられる時代になっても、クルマはアートでありえるのだ。
[新世代モデルは革新的に進化を遂げた・・・次ページへ続く]
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