シボレー トラバース 試乗レポート/岡本幸一郎(2/2)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
往年のアメ車とは異質の引き締まった乗り味
可変バルタイ付き3.6リッターV6DOHCエンジンは、最高出力210kW[285ps]/6,300rpm、最大トルク361Nm[36.8kgm]/3,600rpmというスペック。トランスミッションには6速ATが組み合わされる。
車両重量はLTで2,234kgに達しているが、十分な低速トルクにより不満を感じることもない。上まで回して気持ち良いという味付けでもないが、ちょっと強めにアクセルを踏み込むと、エンジン音の高まりにわずかに遅れて猛然とダッシュするさまは、このクルマが現代的に仕立てられていながらも、往年のアメ車らしさを残す部分だ。
剛性の高いモノコックボディを持つトラバースは、ドライブフィールもいたって現代的で、往年のアメ車のイメージとはまったく異質の引き締まった乗り味を持つ。これほど大きなボディながら意外なほど運動神経がよく、車重の大きさをあまり感じさせない。
もうひとつ印象的なのは乗り心地の良さだ。何の変哲もないシャシーだが、アメリカのメーカーがアメリカのためにつくったクルマである強みは、こういうところにも表れている。
国土の広いアメリカは、道路のメンテナンスが日本のように行き届いていない。よって、一昔前よりもだいぶよくなったというものの、依然舗装の状態が悪い道路も少なくない。そんな道を走ったときでも不快に感じないよう、路面からの入力のカドを上手く丸めているのだ。
ためしに後席にも乗ってみたが、その良い印象は変わらない。さすがにリアアクスルの上に座ることになる3列目では、2列目よりもだいぶ上下振動は増えるが、日本製ミニバンの多くの車種における3列目よりも快適性は上回るように感じられた。
このクラスのSUVは、北米ではミニバンの代役でもあるのだから、後席の乗り心地も大事。その点、トラバースは上々といえるだろう。
左ハンドルのみの設定だが、左側通行で狭い道が多いという日本の道路事情では、左側の見切りがよく、ギリギリまで壁によせられるので、大きなクルマほど左ハンドルのほうが運転しやすいという面もある。トラバースは、左ハンドルでいいと思う。
また、しばらく乗っていると、大きさがあまり気にならなくなってくる。このあたり、取り回しのしやすさか、あるいはボディ形状や走りの感覚による微妙な部分で、大きさに慣れやすいクルマと慣れにくいクルマがあるのだが、トラバースは前者といえそうだ。
SUV市場は縮小傾向で、世のSUVはダウンサイジングが進んでいるところだが、こうしてトラバースのようなクルマに触れると、この大きさがもたらす世界に、憧れとか欲望といった人間の「本能」の部分が呼び覚まされるのもまた事実。
しかも、トラバースは完成度がなかなか高い。SUVだけでなく、ミニバンや高級乗用車としての側面もある。そんな中で、一味違うクルマを求める人にとって、トラバースは面白い選択肢の1台になるのではと思う。
まずは、このクルマの存在を、日本でもより多くの人に知ってもらうことが先決だ。
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