シボレー クルーズ 試乗レポート

  • 筆者: 西沢 ひろみ
  • カメラマン:小宮岩男
シボレー クルーズ 試乗レポート
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シボレーブランドからスズキとGMの共同開発モデルがデビューした。

提携関係にあるスズキとGMが、完全な共同開発によりシボレーブランドの新型モデルを登場させた。クルーズと名付けられたこのクルマは、日本、オーストラリア、アジアを中心にシボレーブランドの浸透を図るとともに、GMにとって手薄なコンパクトクラスを強化するのが狙い。基本設計は小さなクルマ作りを得意とするスズキが担当。デザインと足回りのセッティングはオーストラリアのGM開発陣が手掛けている。

生産はスズキの湖西工場で行なわれるが、販売はスズキが1.3Lモデル、GMが1.5Lモデルと明確にすみ分けされた。けれども見た目の違いは、スズキバージョンのバックドアに青地のGMマークが装着されることと、GMバージョンの4WDのサイドウインカー上にAWDのエンブレムが付くだけだ。

実績のあるスズキのレイアウトをGMがチューニング。ひと味違う走行フィールが生まれた。

プラットフォームを始め、スイフトとの共通化が数多く図られているクルーズは、スタイルの異なる兄弟車のイメージが強かった。ところが走行フィーリングは、驚くことにまったく別物だったのだ。スイフトと同じVVT機構を採用する1.3LオールアルミDOHCエンジンは、想像するよりもスムーズな加速感を披露する。低速域のトルクも十分で、勾配のきつい上り坂でかったるさは伴わない。違和感のないシフトアップ/ダウンで、巧みに車速を伸ばしていくのだ。スイフトで気になったギクシャク感が解消されたのは、新開発の4速ATと組み合わされたおかげだろう。足回りのレイアウトも当然スイフトの流用。

けれどもGMのチューニングにより、ゆっくりとロールが生じる挙動ながら安定感が得られる走行フィールに仕上げられている。乗り心地もコンパクトクラスとして不満は持たない。もしスズキが手掛けていれば、もっとキビキビ感が味わえる代わりに硬さを伴った気がする。生粋のGM車は軽快感に欠けるきらいがある。クルーズの乗り味は共同開発ならではの走行フィールなのだ。

GMが主張するクラスを超えた座り心地と、スズキ自慢の使い勝手が組み合わされた。

クルーズの最大の魅力は、大きく座り心地のいいシートだ。座ってみればわかるけれども、シートの厚みが十分に確保されているおかげで、国産コンパクトカーに比べて格段にゆったりしている。ロングドライブでの疲れがかなり抑えられそうな印象だ。大人がちゃんと座れる、後席の膝元スペースも見逃せないところ。その分、後席の分割可倒機構は背もたれを倒すだけの簡単方式で、ラゲッジの床に段差が残る。それでも積載性より居住性を優先したのは、GMの強い意向。おそらくスズキが手掛けていたら、ここまで割り切れなかっただろう。

残念なのは、2トーンのシート地やステアリング上質感に対して、インパネデザインが安っぽく感じてしまうこと。今後の大きな課題といっていい。インパネ下の大きなアンダートレイ、ペットボトルも入る大型カップホルダー、助手席シートアンダートレイなどはスズキのお家芸にあたる便利な収納だ。

クルマ作りの既存の概念から解き放たれたとき、新しい発見がある。

国産メーカーと輸入車メーカーによるOEM供給や部品の共通化はそう珍しくはない。だけど、開発の立ち上げから細部のセッティングまで、すべてにおける共同開発はクルーズが初めてだろう。どちらかが主導権を握るのではなく、お互いの得意の分野を担当したクルマ作りである。その結果は、明らかに成功だった。共通部品を使用しながらスズキが単独で仕上げたスイフトは、欧州色と国内色が喧嘩しているかのような印象がある。GMだけでは、小さなクルマに必要不可欠なワザは味付けできなかっただろう。当然やりづらさもあったと思うが、クルーズは既存のクルマとはひと味違う魅力を備えられた。つまり、アメリカと日本と開発チームがいるオーストラリアの血がうまくミックスされたのだ。世界戦略車は、おそらく今後、共同開発が増えていくと思われる。面白味のあるクルマの誕生に期待がかかる。

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筆者西沢 ひろみ
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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