BMW 新型8シリーズクーペ 公道試乗|最上級スポーツクーペの魅力に迫る(1/2)

BMW最高峰のスペシャルモデル、新型8シリーズの仕上がりとは

従来の6シリーズに代わって、新たにBMWのスペシャルティモデルの最高峰に据えられたのが8シリーズである。先に登場したのは、今回テストしたクーペ。すでにコンバーチブルも発表済みのほか、そう遠くない時期のグランクーペの追加、そしてM8の登場も予告済みだ。

もっとも、この“6シリーズに代わって”という言い方を、当のBMWは嬉しく思っていない。彼らにとっては車名に“8”のつくモデルは、あくまで特別な存在なのだ。確かに振り返れば、1990年デビューのE31型 8シリーズにしても、Z8やi8にしても、只者ではないものばかりなのは確かである。

さて、それでは新型8シリーズは、こうしたレジェンド達に肩を並べるようなスペシャルな存在に仕上がっているのだろうか?

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今回は、M850i xDriveクーペを試す

今回の試乗車は現時点では新型8シリーズ唯一のラインナップとなるM850i xDriveクーペ。まず少なくともその見た目に於いては、誰も異論を唱えることはないはずだ。

そのクーペフォルムは非常にアグレッシヴで、これまでのBMWの枠の中に収まらない大胆な仕上がりだ。実は4855mmの全長は従来の6シリーズ クーペより短いのだが、言われなければそれに気づく人は少ないに違いない。

“知的さ”を感じられる顔は既存ファンにどう響くのか

鋭い目つきのヘッドライト、左右が連結されたワイドなキドニーグリルといったディテールも、やはり新しい文脈を切り拓くものだが、一方で、誰が見てもすぐにBMWと解るアイデンティティがやや希薄になっている感も否定はできない。

新しいファンにどれだけアピールするのか、従来からのファンにとって、これが一体どう映るのかは、とても気になるポイントであり、その成否を左右することになるだろう。

内装の雰囲気は上々、だが後席は…

それに比べれば、大型のセンターコンソールが中央に構えるインテリアは安心感があるが、その中身はやはりあくまで斬新。フルデジタルのメーターパネルと大型タッチスクリーンを用いたBMWライブコクピット・プロフェッショナルは、地図表示、運転支援装備の動作状況といった現代のクルマには欠かせない多くの情報を整理されたレイアウトで伝えてくる。

ヘッドアップディスプレイも非常にワイド、そしてクリアな画面で識別性は抜群だ。クリスタルのシフトノブも、それだけ見れば不似合いな気がするが、この先進性を味わったあとでは悪くないなと思えてくる。

試乗車はBMWインディヴィジュアルのオプションであるバイカラーのレザーインテリアが備わっていた。雰囲気は上々。前席のマルチファンクションシートは低い着座位置と心地良いホールド感で、腰を下ろした瞬間からラグジュアリーかつスポーティな雰囲気に浸らせてくれた。

一方、後席は成人男性には快適な空間とは言い難い。足元は狭いし頭上はルーフに接近している。ヘッドレストは無いわけではないが役に立たないという具合で、応急用としてならいいが、そういうニーズが少なからずある人は、グランクーペを待った方が良さそうだ。

ラゲッジスペースも、容量こそ420Lと決して小さくはないのだが、左右幅はそれほど無く、開口部も小さい。試してはいないが、ゴルフバッグを積み込むのは相当難しいのではないだろうか? どうやらこの新型8シリーズは、後席だ荷物だという日常のことを考えなくていい人のクルマのようである。

>>さすがBMW! “病みつき”にさせてくれる走りとは[次ページ]

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島下 泰久
筆者島下 泰久

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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