デトロイトショー2012で詳細発表!ベントレーV8エンジン開発要人直撃インタビュー/金子浩久(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:オートックワン編集部
世界初の4輪駆動×8速ATのタッグ!
走行中に条件が揃うと8気筒のうち4気筒を停止させるシステムはフラッグシップの「ミュルザンヌ」で一足先に導入済みだ。
コンチネンタルGT V8の可変気筒休止システムは、道が上り傾斜に指し掛かったりしてエンジン負荷が大きくなったところで8気筒が働き、反対にそうでなくなったとクルマのECUが判断した場合に4気筒が停まる。その閾値は200Nm。V8の左右バンク各4気筒のうち、それぞれ2気筒づつが停止する。
「アイドリングストップは採用しなかった。エンジンを再始動する際に費やすエネルギーが少なくなく、メリットがないと判断しました」
コンチネンタルシリーズの特徴でもある4輪駆動システムは、トルク配分が前50%後50%から、前40%後60%に変更された。ちなみに、4輪駆動と8速ATの組み合わせは世界初だそうだ。そうしたすべての新技術の効果があって、コンチネンタルGT V8(という車名になる)は、W12に対してそれぞれ40%の燃費の軽減とCO2削減に成功した。
最高出力は507馬力。特徴的なのは最大トルクで、1700から5000回転の間でほぼ一定に660Nmという最大トルクを発生させている点だ。瞬間的なピークパワーよりも、いかなる状態からも加速できる太い最大トルクを重視するのはベントレーの伝統通りである。
エンジン単体で80kg軽くなったこともあり、車両重量は25%軽量化できた。パフォーマンスはほぼ変わらず、最高速度303km/h以上、0-100km/h加速4.8秒以下。
成功者はコスト意識が高い!
あえて、トリッキーな質問を投げ掛けてみた。
“ベントレーの持ち主となるような人は経済的に余裕のある人なわけだから、燃費が良くなったことをそれほど重要視しないのではないですか?”
ウイリアムズ氏の返答は明確だった。
「おっしゃる通り、ベントレーのお客様には比較的裕福な方が多いので燃料の消費量によって自らのカーライフが左右される人はとても少ないでしょう。しかし、その反面、一度に運転する距離が長いというのもベントレー・オーナーの特徴でもあります。給油する回数が少なければ、長距離を一気に走り切ることができますから、その点での効率を重視するお客様にとって朗報であることは間違いないでしょう。世の中で成功された方というのは、おしなべてコスト意識が高いものです」
基準値に達しない場合には高額な違反金が!
ベントレーに限らず、ヨーロッパでは2013年から各自動車メーカーに厳しい燃費規制が敷かれることになっている。基準値に達しない場合には高額な違反金を支払わなければならなくなる。
「燃費を向上させ、CO2排出量を削減する努力は自動車メーカーの務めです。ベントレーもその例外ではありません」
すかさず、アジアパシフィック地区のマーケティングを司るピール氏が補った。
「ここまで燃費を低減しCO2排出量を削減しても、ベントレーらしいパフォーマンスには変わりはないということです。スペックだけでなく、運転した感覚もベントレーそのものです」
燃費はいいけど、走りっ振りがスカスカになってしまってはベントレーとは呼べない。ぜひ、確かめてみたいものだ。
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