アルファロメオ アルファ159 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フィアット・オート・ジャパン
アルファのニューモデルにミュンヘンで乗ることの意味
ハワイ島から東周り、カレンダー上の2日がかりで駆けつけたミュンヘンの空港は、例によってどんよりとした雲で覆われていた。それでも気分がすこぶるつきに晴れやかなのは、3度の綱渡り的なコネクションに成功したという安堵からでも、フィアット・アウトが空港に差し向けてくれた迎えのクルマが元愛車のアルファ166だったからでもない。コナのリゾートをキャンセルしてまでして乗りたかったアルファのニューモデルが、ボクを待っているからだ。
空港からミュンヘン市内の会場まで、166のゆったりとした後席から見渡す景色は、端的に言ってBMWとアウディの“モノ”としか見えない。イタリア車などほとんど見かけないのは、豊田市で日産車を見ることが稀なのによく似る。
どうしてアルファロメオはミュンヘンで発表試乗会を行うのか。ボクはイタリアに行きたかったのに・・・。アルファ担当の新COOであるH・F・カルプフェル氏は元BMWでかの地の出身だ。さてはスタッフが気を利かせたかとも思ったが、ここは氏の古巣に対する挑戦状だと理解したい。そうだと思えば、これから乗る159への 期待感も一層高まる。159は156の後継モデルではあるが、決定的に違う点がある。それはターゲット市場だ。156はどちらかと言えばイタリア国内に向けたモデルだった。だから、欧州Dセグメントというには少し小さなサイズで、それが日本市場でもうけたのだ。
ところが、159は違う。正真正銘のDセグメントサイズを手に入れ、ヨーロッパ市場全体を狙っている。サイズ的には同クラス最大級で、新型3シリーズよりも長く、低く、幅広いディメンジョンを持つに至った。スタイリングはG・ジウジアーロ率いるイタルデザイン。今秋登場予定のブレラと共通のイメージだ。
ライバルひしめく欧州Dセグメント市場での成功は、アルファロメオブランドの将来がかかっているのだろう。ライバルたちはBMWを筆頭とするアウディ、M・ベンツ、オペルといったドイツ勢が中心だ。アルファのニューモデルにミュンヘンで乗ることの意味が、ようやく腑に落ちた。
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