最先端のはたらくクルマがスゴい!トンネルの0.2mmのひび割れを時速100キロで発見、 ガードレールを全自動で塗装する車も!

最先端技術のお披露目イベント「ハイウェイテクノフェア」で見つけた注目の二台!

毎年11月の終わりに開催される「ハイウェイテクノフェア」は、公益財団法人 高速道路調査会体が主催する、高速道路業界に向けた最先端技術のお披露目イベントである。

NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)が共催という形をとっていて、出展物は高速道路を走っていれば必ず目にするものばかりである。イベントそのものはあまり一般には知られることのない業界イベントではあるが、入場は無料、しかも業界に無関係であっても、誰でも入場が可能だ。

282の出展者から発表された新技術は、なんと1333! 高速道路の標識や反射材シール、最新技術のガードレールや高所作業車など、今まで見たことのないモノや車が盛りだくさんなのである。

今回は、このハイウェイテクノフェアに出展された最先端のはたらくクルマを2台紹介してみたい。

最新技術を搭載したはたらくくるまの画像ギャラリーはコチラ【画像8枚】

トンネル覆工点検システム(eQドクターT)

こちらの車を簡単に言うと、車で移動しながらトンネルの壁や天井を撮影し、亀裂などの異常がないかを探査する車である。

移動しながらといっても、その速度はなんと時速100キロ。さらに、亀裂などの大きさはわずか0.2mmという極小のものまでを鮮明な画像として記録することができるのだ。

従来もこの「走りながら確認できる」システムを搭載した車は存在していたが、最新版では従来のシステムに比べて時速が80キロから100キロにアップし、高画質ハイビジョンビデオカメラをラインセンサカメラに変更したことで、時速100kmで走行しながらの高速撮影でも、極小のキズをさらに鮮明な画像で合成の手間なく記録することが可能となっている。

LED赤外線照明による撮影照明の不可視化により、他の通行車両の脇見運転を抑制する(つまり、周囲を走る一般の車に対して撮影用の照明が見えないようにしているので安全性も高い)ことも可能だ。

従来技術での撮影と、最新技術での撮影の違いは上の画像の通りで、ほぼ同じ場所を撮影したものだが、従来技術でははっきりとわからなかった「ひび割れ」がくっきりと写っている。

また、この最新技術は高速道路だけにとどまらない。JR西日本との共同開発してきた経緯もあり、今後は、新幹線のトンネルを点検する際にも活用される予定だ。

ガードレールリフレッシュ(ガードレール塗装工)

こちらも大変ユニークなはたらくクルマである。出展者はこちらもNEXCO西日本のエンジニアリング中国というNEXCOの関連会社だ。

この装置を簡単に言うと、老朽化したガードレールを磨いて塗装まで仕上げるシステムを持った車で、先に紹介した「eQドクターT」同様、高速道路を走りながら自動でガードレールの研磨と塗装が可能となっている。

ただしこちらは、ガードレールのさびを落としたり磨いたり(ブラスト処理)、塗装して仕上げをして…という複雑で作業量の多い工程となるため、トンネル履行システムとは比べものにならないくらい動きは遅く、標準施工能力は1日あたり約600mというレベルだ。

しかし、これまでは刷毛を使ってガードレールに再塗装をするなど、完全に人力で行っていた作業を現地で行うか、または古いガードレールを一時的に取り外して、工場で塗替塗装等を行い再設置、という非常に手間のかかる作業を行っていたため、それに比べるとグンと効率がよくなった。

これまでの施工箇所は中国支社管内に止まらず、東は千葉、西は鹿児島まで全国の高速道路で約100キロの施工実績がある。

また、自動で研磨して塗装するだけではなく塗装の耐久性も秀逸で、再施工をして10年前後は状態が保てる抜群の仕上がりになるそうだ。

とくに効果の高い適用範囲は、交通量が多く渋滞の発生が予想されるなど、交通規制時間を短縮したい場所となる。人の手による作業よりも短時間で行えるので、交通障害の原因となる交通規制時間、日数を大幅に削減でき、規制内作業時間の短縮による安全性の向上、周辺への影響抑制も可能。

さらにメンテナンス費用の削減、延命化によるライフサイクルコストの削減までが期待できる安価な工法が行えるとあって、「ガードレール塗装工」は全国の高速道路で引っ張りダコのはたらくクルマとなっている。

道路の安全と安心を守るため、今日もはたらく最新技術を搭載したクルマたち!

日本の高速道路は、特に幹線となる道路ほど老朽化が進んでいるのが現状で、これからは大規模な補修や点検が全国でどんどん行われていく予定だ。

道路の点検は、たとえ小さな異常であっても見逃してしまうわけにはいかない。もし見逃してしまうと、命に係わる事故の発生原因にも繋がってしまうおそれがあるからだ。

わたしたちが毎日走っている道路も、こうしたはたらくクルマ達の存在があるからこそ、安心して通行することができているもの。

みんなが安心、安全に走れる道路を維持していくために、これからも最新鋭のはたらくクルマ達には頑張ってもらいたい!!

【レポート&Photo:加藤久美子】

はたらくくるまの関連コンテンツ

東1ホール屋外にはいぶし銀の猛者“はたらくくるま”が大集結!【東京モーターショー2017】

東京モーターショー同時開催の「働くくるま・珍しいくるま大集合」をレポート【東京モーターショー2017】

【陸上自衛隊のはたらくくるま】試作ST-A1から10式まで、国産戦車4世代を一挙解説|富士総合火力演習レポート

【陸上自衛隊のはたらくくるま】16式機動戦闘車からAAV7水陸両用車まで、現役特殊車両を解説|富士総合火力演習レポート part2

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

加藤 久美子
筆者加藤 久美子

山口県下関市生まれ 自動車生活ジャーナリスト 大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。出版局にて自動車年鑑、輸入車ガイドブック、整備戦略などの編集に携わる。95年よりフリー。2000年に第一子出産後、チャイルドシート指導員資格を取得し、チャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 得意なテーマはオリジナリティのある自動車生活系全般で海外(とくにアメリカと中国)ネタも取材経験豊富。愛車は22年間&26万km超の916アルファスパイダー。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる