雑誌や自動車情報サイトでの燃費比較って信用していいの?

雑誌や自動車情報サイトでの燃費比較って信用していいの?
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雑誌や自動車情報サイトでの燃費比較って信用していいの?

最近のエコカーブームで雑誌や自動車情報サイトでは燃費比較が盛んですが、企画によっては都内を数十キロ走っただけで燃費がどうだったと結論付けているものがあります。 あれって各車の車載燃費計の数字のみで比較してるんでしょうか?

車載燃費計の精度の確認やキャリブレーションしないと意味無いと思うんですけど。(食肉市場さん)

其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!

雑誌や自動車情報サイトでは燃費比較って信用していいの?

なにを隠そうこの私も、そういった燃費テストをいくつもやっている本人です。その私が断言しますが、ああいう公道燃費テストは、距離が短い場合は確実に車載燃費計のみの計測です。理由は、満タン法だとかえって誤差が大きくなってしまうからです。そういった記事は、基本的にエンターテーメントであり、数字は「単なる参考」にしかなりません。しかしそれでも「参考になったらいいなぁ」ということで行っています。

なぜそんないい加減なことをしているのか?それは、厳密な公道燃費テストなど最初から不可能だからです。

燃費計には誤差があります。現在の直噴ターボ車やクリーンディーゼル車は、ものすごく正確な燃料噴射を行っているので、燃費計の精度も強烈に高いと感じますが、それもまた満タン法での計測と比べた上で「感じる」だけでして、満タン方にも誤差はかなりありますから、あくまで感じるだけです。燃費計の誤差は、直噴系を除くと、私は「最大5%ほど甘い」と考えています。ただし、タイヤの摩耗や空気圧によって走行距離そのものの誤差の多寡も出ますから、それよりもっと大きくなる可能性もあります。

比較燃費テストでは、なるべく条件を公平にするよう、ドライバーを途中で交代したりしますが、絶対的な公平のためには、ロボットに運転させるしかありません。その他、クルマの前後の並び順でも条件が変わってしまいます(加減速をコントロールしやすい先頭が有利)。結局雑誌やサイトの燃費テストは、最初から「参考程度」です。なら計測距離が長くても短くても、五十歩百歩なのです。

読者のみなさんは、それぞれの記事を読み、「ああ、このテストはこんな距離でこんな風にやったのか、あくまで参考程度だな」と判断していただきたいのです。計測環境を極限まで公平にしようとすると、国交省の行う10・15モードやJC08モードのような形にするしかなくなります。国産車に関しては、あれは非常に参考になります。

ハイブリッドカーは、10・15モードの6割。その他のクルマは7割が目安です。そこからそんなに大きく狂うことはありません。各車、数字を上げるために必死で、同じような極限の努力をしていますから(一方輸入車は、日本のカタログ燃費テストに取り組む姿勢がメーカーによって違いますから、まるで参考になりません)。ただ、それで済ませていたら、読み物として面白くないので、公道を実際に走ってみて、どれくらいの燃費が出たかを「おもしろおかしく」書かせてもらっています。そういった燃費テスト記事をいくつも読めば、平均するとこのクルマはこれくらいかな……みたいなことは見えてくるかと思います。

MJブロンディの「ひとりごと」

たとえば、みんカラのようなサイトを見ても、燃費の数値は人によって驚くほど違います。まるで参考にならないくらいピンキリです。オーナーはそれぞれ、「これがこのクルマの実像だ!」と確信しているわけですが、その実像は、他の人が運転したら、まるで変わってしまうかもしれない。実走行の燃費というのは、どうしてもそうなってしまうのです。

雑誌やサイトの燃費テスト記事は、なるべく正確にやろうと努めてはいますが、あくまでエンターテーメントです。そこに、「燃費計の誤差を補正」といった厳格さを持ち込んでも、もともとの条件が厳密ではないので、意味が薄いのです。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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