車の値段はどのように決まっているの?

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車の値段はどのように決まっているの?

車の価格はどのように決まっているのですか? 新車から新古車になると、途端に値段が下がります。大して傷んでいるわけでもないのに、こんなに下がるのはどうも解せません。

いろいろな段階を経て、私たち消費者が支払う小売価格が設定されているのは分かるのですが、大まかに言って車の値段というのはどのように決まっているのでしょうか。

トヨタが三割下げます!と宣言してるようですが、その値段でできるのであれば、始めから安くしてもらいたいものです。平均年収が下がり始める昨今、消費者もシビアな目で自動車との付き合い方を考えています。(ヤマグチさん)

其の疑問、「MJブロンディ」がお答えいたします!

ヤマグチさんはどんな業界で働いてらっしゃるでしょう。恐らくご自分の業界の値段のことについてはよくご存知だと思います。

あらゆる業界に共通して、商品の値段は「最大の競争力と最大の収益性」を目指して決定されます。特に自動車はモデルごとの投資額が莫大で、その分大量生産によるコストダウン効果が大きいので、値付けは一種の賭けです。

たとえば、ライバル車の価格が200万円だとします。こっちも200万円で売ると、月に3000台くらいの販売台数が見込めて、5年間で若干黒字になると予測したとします。でも190万円にすれば、1万台売れるかもしれない。そうすれば大量生産効果が出てコストがドカンと下がり、かえって収益性が上がる。では190万円にしよう。ところがフタを開けてみたら、月3500台しか売れなかった。

10万円の値下げでは競争力の向上度合いが足らず、収益性は大幅に悪化して赤字になった――。もちろんこの逆もあります。クルマの値段はそうやって決められています。どれだけ売れるかわからないので、クルマの正確な原価は、事前には算出不能なのです。どんな商品が当たるかもわかりません。先の見えない、実に怖い世界なのです。

自動車メーカーは多くの車種を作ります。売れる車種もあれば売れない車種もある。大黒字のモデルもあれば大赤字のモデルもある。しかしトータルでは黒字になるよう、なんとかやっています。

利益率は、絶頂期のトヨタで約10%でした。つまり180万円で作ったクルマを200万円で売っていたわけです。製造業の場合、利益率5%でもすごいので、これはバケモノ的な率でした。ただしリーマンショック不況で約2割販売台数が落ち込んだら、一気にマイナス2%の赤字に転落してしまいました。

新車が新古車になると途端に値段が下がるのは、マンションと同じです。なぜか人はまっさらの新品を好みます。実際には人がまだ全然使っていなくても、誰かが買ったという事実があるだけで心理的価値が下がるのです。それは人間の心が決めることで、クルマの原価とは関係ありません。

トヨタが2012年までに部品調達費を3割下げる!といっているのは(残念ながら小売価格を3割下げるんじゃないです)、今まで以上の合理化や努力を重ねてそれだけコストダウンをする(させる)!という決意表明です。

今はまだできていないけど、今までもあくなきコストダウンに挑戦し達成してきたから、今後もできるはずだ!やってやる!ということなんです。今すぐ3割コストダウンできたらラクでしょうが……。

MJブロンディの「ひとりごと」

私は、クルマの値段は他の工業製品に比べて驚くほど安い!と思っています。

なぜなら、以前、家を建てた時にユニットバス(容積は乗用車と同じくらいですよね)の値段にビックリ仰天したからです。あんなただのプラスティックの箱みたいな、中はほとんどがらんどうの、精密機械でもなんでもない物が、1個150万円もする!コンパクトカーより高い!

私は「信じられない」と思いました。そして「クルマって安いんだなぁ」としみじみ思いました。クルマのような精密機械をなぜこれほど安く作れるか。それは、あくなきコストダウンへの挑戦と大量生産・販売。つまり自動車が「究極の工業製品」だからなのです。

ユニットバス業界は、自動車業界に比べるとかなり工業化が甘いです(笑)。

自動車評論家MJブロンディこと清水草一氏に聞きたいことを受付中!

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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