プリウスでリッター50キロも走れるの?
- 筆者: 清水 草一
プリウスでリッター50キロも走れるの?
私の知り合いが北海道でプリウスのレンタカーを借りたところ「リッター50km走ったのよ!」と興奮気味に教えてくれました。
プリウスの燃費がいいことは知ってましたが、そんなに燃費がいいんでしょうか?(Tママさん)
其の疑問、「MJブロンディ」がお答えいたします!
あくまで私の推測ですが、その方は標高の高いところにあるスタンドで給油後、下り坂の多い道を走って行ったのではないでしょうか。
そういう状況では、燃費計にそういった数字が表示されることは十分あり得ます。
たとえば私も、御殿場から東京まで、初代プリウスでリッター32kmを出したことがあります。東京から御殿場へ向かう場合はせいぜいリッター23km程度ですから、相当大きな差です。
御殿場インターは標高454メートル。東京まで距離は84kmあり、決してずっと下り坂というわけではないですが、この程度の緩やかな下り勾配でも、プリウスの場合は大きく燃費が向上します。
なぜならプリウスは、アクセル開度が一定よりも小さいと、エンジンが完全に停止するからです。
その領域では、エンジンブレーキ(厳密には発電機ブレーキ)をかけてバッテリーに充電しているか、ニュートラル状態で空走しているか、電気モーターを回して軽く推進しているかの3つの状態がありますが、いずれにせよ燃料消費はゼロ。
この「燃料消費ゼロ」の状態が、下り坂では大幅に増加するのです。
また、下り勾配が強いとバッテリーが充電されますから、さらにエンジン停止時間が延びるという好循環になり、通常のガソリンエンジン車ではあり得ないほど、燃費が向上するのです。
すべて下り坂の区間で燃費を計測すると、プリウスは「リッター99.9km」を表示します。実際は燃料消費ゼロか、ほんの微量。つまり燃費は無限大です。
先日、箱根のワインディングの頂上付近から仙石原まで計測してみたところ、リッター80kmが表示されました。北海道の層雲峡は、標高約1,000メートル。そういうところで給油し、平均燃費計をリセットして走り出すと、旭川空港までリッター50キロ走ってしまうことは考えられるのです。
MJブロンディの「ひとりごと」
もうひとつ、プリウスの燃費の面白いところは、一定速度での巡航より、適度な速度の増減がある状況の方が燃費が向上することです。
たとえば私の初代プリウスの場合、東名高速を巡航するとリッター22km程度ですが、流れのいい時の環状8号線では、リッター26km走ります。いくら流れがいいと言っても環八には信号もあるのに、プリウスはそういう状況の方が得意なのです。通常のガソリン車では考えられない現象です。
これは、速度の増減があった方が、電気モーターを効率よく使うことができるからです。
高速巡航では、電気は溜まりっぱなしであまり利用されず、バッテリーは単なるバラスト(おもり)と化して、効率が落ちてしまうんです。
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