高速の割引財源で必要の無い道路が建設される?
- 筆者: 清水 草一
高速の割引財源で必要の無い道路が建設される?
民主党は、割引用の予算を地方のいらない高速道路の建設に転用しようとしているそうですが、やっぱり選挙対策なんでしょうか?
もしそうだとすれば、とても腹立たしいです。
其の疑問、「MJブロンディ」がお答えいたします!
その質問にお答えする前に、まず今、高速道路料金がどれくらい割引されているか、その実態をお知らせしましょう。
実は現在、高速道路料金は、平均するとなんと4割引になっているんです。これはみなさん、あまり気付いていないことじゃないでしょうか。
まず、民営化にともなって、2割強割引されました。通勤割引や深夜割引、そしてマイレージ割引です。プラス、2008年10月にリーマンショックが襲い、緊急経済対策ということで、麻生内閣が割引を増やしました。
それが土日休日の1,000円ポッキリと、その他「昼間3割引」や「深夜5割引(それまでは3割引)」です。これが10年間で3兆円分。昨年度は1年間で合計約9,000億円というお金が割引に使われました。
2兆円のうち9,000億円ですから、つまり約4割引です!
9,000億円のうち4,000億円は税金、というより国債を増発して借金で割引しているということも、忘れてはいけません。民主党は、麻生内閣が国債増発で調達した3兆円の割引用予算のうち、1兆4,000億円を高速道路建設に使おうとしています。
では、自民党はどうしようとしていたかと言うと、割引用のお金とは別に1兆2,000億円を借金して、建設しようとしていたんです。
これは、どっちがいいんでしょう?
スジとしては、割引用の予算を建設に転用するのはケシカランとも言えますが、じゃあ新たに借金して道路を造るのがいいのかどうか。
あなたはこれが自分のサイフだとしたら、どっちを選びますか? 私なら、新たな借金はしたくありません。
では、そうやって造ろうとしている道路が何かと言えば、東京外環道と名古屋2環、プラス地方の2車線から4車線への拡幅が4ヵ所です。
高速道路の専門家として言えば、外環はもちろんのこと、地方4路線の拡幅に関しても、すべて繁忙期には渋滞が発生している観光路線。つまり造った方がいいところなんですよ。
ちなみに、民主党が今回建設リストから外した2路線(拡幅)は、「なぜここを!?」という不可解区間。そこをキッチリはずしているのは、理にかなっています。
MJブロンディの「ひとりごと」
つけ加えれば、1兆4,000億円のうち1兆円近くが、実は東京の工事なんです。
外環道だけでなく、首都高の渋滞ポイント2か所(板橋-熊野町間と小菅-堀切間)の拡幅工事も含まれているんですね。この2か所は、今回民主党が付け加えました。
実はこれこそ、私が10年前に『首都高はなぜ渋滞するのか』という本で拡幅を主張した場所。そこに今回予算がつきそうだというのは、個人的には「ついに!」という感じです。
民主党も、まともなことはやろうとしています。大マスコミはよく調べもせずに、空気に流されて「全部ダメ」と決め付けますが、あきれます。
この「割引原資の建設流用」による2割値上げを巡って、4月21日、小沢幹事長は見直しを指示し、反発した前原国交相は辞任を示唆しましたが、小沢氏の指示は完全な選挙対策で、元の前原案は、ある意味良識的だと私は考えます。
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