高速の料金所を廃止すると人件費は節約できるの?

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高速の料金所を廃止すると人件費は節約できるの?

料金所を廃止すれば人件費が節約できて、高速道路は無料にできるんじゃないでしょうか。

私は何かだまされているような気がするのですが・・・。

其の疑問、「MJブロンディ」がお答えいたします!

仮に料金所のおじさんたちを全員クビにしても、それで節約できるお金は、2兆円の料金収入に対して、実に微々たるものです。

サービス業に従事していると、「支出の大部分は人件費」というのが常識になりがちですが、高速道路は巨大な投資を必要とする事業。料金収入のうち約75%は、建設費の借金支払いに充てられているんですね。

残り25%のうち、マイレージ割引が5%、維持管理費は20%。人件費は維持管理費の約4分の1ですから、全体の5%に過ぎません。これは、料金収受員だけでなく、NEXCOの全職員の人件費です。つまり、料金所のおじさんたちだけでなく、高速道路にかかわる建設・維持管理補修・経理・人事・総務などの人員すべてをクビにしても、5%引きにしかできません。

もちろん、人がひとりもいなくなれば道路の補修もできず、維持管理費は全部不用になるので2割引にできる・・・とも言えますが、高速道路は徐々に穴だらけになり、朽ちて行きます。もちろん、35兆円の借金も残ったままなので、税金で返さなくてはいけません。

しかし、民営化後、高速道路料金は平均して25%割引されました。もともとハイウェイカードや大口の別納割引(トラック等)で15%ほど割引がありましたが、そこからさらに1割上乗せされたんです。

なぜ民営化後、高速道路会社がプラス1割引できたかと言えば、維持管理費を3割コストダウンすると同時に、それまではびこっていた官製談合を排除して、新たな高速道路の建設費も、2割近くコストダウンしたからです(プラス、近年は金利が非常に安くて、借金の金利負担が少ないと言う「天の利」もあります)。

これは、工事を請け負う建設会社側としてはすでに赤字ギリギリの線で、赤字覚悟で落札した区間もかなりあったと言われています。

利用者にはいまひとつ実感できないかもしれませんが、民営化には確実に成果があったということです。官営より民営の方がいいに決まってるじゃないですか!そんなの、当たり前のことです。

MJブロンディの「ひとりごと」

道路公団が民営化された時、新聞はじめ大マスコミは盛んに「骨抜きだ」と書きました。まるで「前より悪い」とでも言わんばかりでした。

しかし、民営化から4年半たった今、サービスエリアは良くなり、料金は下がり、40兆円(当時。現在はすでに5兆円を返済)の借金の返済のメドもつき、全体として前より良くなったことは明白です。

私は現在の形での民営化が決まった時、「69点はつけられる」と書きました。

民営化が実現できたこと自体が奇跡でしたが、中身もおおむね合格と言える内容だと判断したのです。大マスコミは、時に真実を書きません。我々フリージャーナリストは、何が真実かを見抜く目を養わなければなりません。

(さらにひとりごと)

民営化は大正解でしたが、今度の高速道路新料金制度、これははっきり「改悪」です。

長距離を割引し短距離を値上げすれば、短距離利用がしづらくなる分、平日の一般道は渋滞が悪化。長距離に関しては、鉄道などエネルギー効率のいい輸送機関からクルマへと転換。どちらも二酸化炭素排出量は増えます。

評価できるのは、土日休日1,000円ポッキリが巻き起こしていた渋滞が緩和されることだけです。

自動車評論家、「清水草一」になんでも聞いちゃおう!

自動車評論家、清水草一(MJブロンディ)が、みんなの疑問に面白く答えてくれる自動車用語解説。ただ今、清水さんに聞きたいことを募集しています!

皆さんのクルマに関する素朴な疑問を是非お寄せ下さい。お待ちしております!

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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