autoc-one.jp 記事・レポート お役立ち 教えてMJブロンディ “未来のエンジン”セラミックエンジンって、どうなったの?【教えて!MJブロンディ】

自動車用語 2013/6/7 15:04

“未来のエンジン”セラミックエンジンって、どうなったの?【教えて!MJブロンディ】

“未来のエンジン”セラミックエンジンって、どうなったの?【教えて!MJブロンディ】

かつて未来のエンジンと呼ばれた「セラミックエンジン」

初めまして。いつも勉強させていただき、ありがとうございます。

40代男性です。私が子供の頃には、「セラミックエンジン」が未来の「エンジン」として、もてはやされていたような記憶があります。金属と異なり、熱膨張がわずかで冷却の必要がなく、軽くて高出力の夢のエンジンと言われていました。

あれから30年になろうとしていますが、セラミックエンジン、全く登場するという噂も聞きません。現在もエンジンは鉄~アルミ~マグネシウムと相変わらず金属を使って作られています・・・。

一体未来はどう変わってしまったのでしょうか?教えて下さい!(いつのあいだに?さん)

其の疑問、MJブロンディがお答え致します!

スペースシャトルスペースシャトル

いつのあいだに?さん、わたしもセラミックエンジンのことはよくおぼえています!

ちょうどスペースシャトルが実用化された頃、70年代末期から80年代初頭にかけてでしたよね。

スペースシャトルの表面は、断熱性が極めて高いファインセラミックで覆われています。ああいう素材を自動車エンジンに使えば、効率をぐっと上げられる! という話でした。

セラミックエンジンは、もともと「断熱エンジン」として米軍で開発が始まりました。

戦車のエンジンからラジエターをなくして、弾が飛びこむリスクを低減させたいとか、当時の旧共産圏で多く産出していたレアメタルを使わずに、高性能エンジンを作りたい、というのが、開発のきっかけです。

で、結果的に断熱性や熱膨張性の低いセラミック(窒化ケイ素)が最適では、ということになり、日本では「セラミックエンジン」として脚光を浴びました。

セラミックは確かに断熱性が高く、熱膨張も小さいので、冷却の必要がありません。

ただし、燃焼室内側の表面が高温になることは避けられません。

すると何が起きるか?

吸気工程でも燃焼室内部表面が赤熱するほど熱いままなので、吸気の温度が上がって熱膨張。その分、吸気効率が下がってしまうんです。

また、ラジエターは必要ありませんが、燃焼室内の温度が高いことで排気が高温になり、結果的に熱損失は減らないということがわかってきました。

燃焼温度が高いと、窒素酸化物の排出量が多くなってしまうので、排ガスクリーン化にも逆行します。

生産コストも厳しく、少なくとも自動車用としては、開発する意味がないと結論付けられたのです。

「断熱」では、熱が内部にこもることで、効率アップが果たせませんでした。

一方ハイブリッドシステムは、減速エネルギーを回収することで、効率アップに成功しましたね。

MJブロンディの「ひとりごと」

ミラーサイクルエンジンロータリーエンジン

このような、「消えた技術」は数多くあります。

各社が開発していた2サイクルディーゼルや、マツダが一時実用化したリショルムコンプレッサー付きのミラーサイクルエンジン、現在生産が休止しているロータリーエンジンも、「消えた」と言っていいでしょうか?

技術は常に開発競争にさらされ、適者のみ生存します。

ハイブリッドカーは、現在日本では「勝ち組」ですが、これすら、仮にシェールオイル革命でガソリン価格が劇的に下がれば、無意味な高コスト商品となり、消えてしまうかもしれません。

諸行無常ですね……。

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筆者: 清水 草一
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