日産 スカイライン vs BMW 3シリーズ どっちが買い!?徹底比較/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
一方、「BMW Active Hybrid3」は、直列6気筒の3リッターエンジンにターボを装着し、さらにモーター駆動も組み合わせることでハイブリッド化した。3シリーズでは唯一の直列6気筒エンジン搭載車だ。
エンジン本体の最大トルクは「40.8kg-m(1,200~5,000rpm)と強力で、エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は340psに達する。
Active Hybrid3の特徴は、エンジンの回転感覚が幅広い領域で洗練されていること。直列6気筒のメカニズムも影響しており、上級クラスの特別なパワーユニットとして造り込んだ。ターボを上手に活用して、高回転域におけるパワーの盛り上がり感も強い。もっとも、メカニズムが凝っているだけに価格も高く、ベーシックなActive Hybrid3でも738万円(8速AT)だ。スカイライン 350GT HYBRID Type Pならば、500万2560円(7速AT)に収まる。
JC08モード燃費はスカイライン 350GT HYBRID Type Pが「17.8km/L」、Active Hybrid3が「16.5km/L」になる。
つまり2リッターターボはスカイラインが「パワー指向型」で、3シリーズは燃費も優れた「バランス型」。ハイブリッドは逆に、スカイラインの燃費が少し勝る。
そのため、スカイラインではハイブリッドの燃費性能が200GT-tよりも優れているが、3シリーズでは、320iとアクティブハイブリッド3の数値はほぼ同じだ。
走行安定性は、スカイラインがダイレクトアダプティブステアリングの設定も含め、機敏に曲がる性格に仕上げた。分かりやすいスポーツ感覚を前面に押し出している。
3シリーズは、小さな舵角から正確に反応させながらも、スカイラインほど鋭く向きを変える性格ではない。扱いやすさを重視して、違和感のない運転感覚に仕上げた。
このあたりは良し悪しというよりも趣味性の違いだ。長距離移動時の快適性を含めて、移動のためのツールとして使うなら3シリーズが適している。
日産 スカイライン vs BMW 3シリーズ -総評-
峠道を走るなど、スポーツセダンの特別な運転感覚を求めるなら、スカイラインが面白い。かなり機敏に曲がるので走行安定性のバランスが心配になるが、危険を回避する状況を含めて、挙動が大きく乱されることはない。
そしてスカイラインは日本車らしく、いろいろなメカニズムを採用しながら価格が安い。
今までのBMWは、日本車を開発する上で走行性能の目標とされていた。実際、以前の日本車は走行安定性と乗り心地の両面でBMWに見劣りしたが、スカイラインは現行型になって走りのレベルを底上げした。並列に選択できる水準に達している。
そしてスカイラインと3シリーズの走行安定性、乗り心地、両車のブランドを感じさせる運転感覚は、セダンでなければ実現することは難しい。セダンは保守的なジャンルと見られがちだが、着実に進化を続け今でも走行性能をリードしている。
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