ボルボ XC60 D4試乗レポート|待望のディーゼルモデル登場、ガソリンモデルと同価格でお得感満載

XC60に待望のディーゼルモデル追加!

ボルボが元気である。世界的なSUV人気が後押ししているのも事実だが、新パワートレイン(Drive-E)と新プラットフォーム(SPA/CMA)、北欧を強調した内外装のデザインを全面採用した新世代商品が、世界中で高く評価されているのだ。

その証拠に、2017年登場のXC60は2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞を皮切りに、2018北米SUVオブ・ザ・イヤー、2018ワールドカー・オブ・ザ・イヤー受賞と主要なアワードを次々と獲得。また、SUVシリーズの末っ子「XC40」も、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。先日、日本で発売がスタートしたばかりにも関わらず、今年販売する予定台数1500台が売り切れと言う状態である。

そんな中、ボルボSUVシリーズの中堅となる「XC60」はガソリン/ディーゼル/プラグインハイブリッドとユーザーの用途に合わせて豊富なパワートレイン(総称:Drive-E)を用意するが、日本ではディーゼルのみ発売が遅れていた。

ボルボはすでに電動化シフトを宣言、ハカン・サミュエルソンCEOは「次世代ディーゼルエンジンの開発はしない」と発言しているが、すぐにディーゼルがなくなるわけではない。今後はディーゼル+マイルドハイブリッドの組み合わせに進化していくはず。

ちなみにボルボは、日本市場ではディーゼルモデルの人気が非常に高く、特に先代XC60は70~80%がディーゼルだったそうだ。つまり、新型XC60へのディーゼル追加は、まさに待望の……と言うわけである。

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ボルボの最新パワートレイン「Drive-E」とは

改めて「Drive-E」の復習をすると、100%自社開発、4気筒以下、排気量2.0L以下、高度な電動駆動化にも対応、ガソリン/ディーゼル共通の基本構造と言う明確なコンセプトを掲げたユニットで、ほぼ移行は完了している。

その中のディーゼル「D4」は、先代XC60にも採用されていたユニットだが、年を追うごとに厳しさを増す排ガス規制に対応するべく、新たにNOx低減を目的に「尿素SCR(選択還元触媒)システム」が追加されている。

ボルボ XC60 D4 インスクリプションに試乗!

今回はXC60 D4の中でもラグジュアリーな「インスクリプション」に試乗した。ちなみに先代XC60のディーゼルはFFのみの設定だったが、新型は待望のAWDとの組み合わせが可能になったことも嬉しいポイントの一つだろう。ちなみにサスペンションはガソリン車と同じくコイルバネ仕様とエアサス仕様が選択可能だ。

これぞ”ボルボ流”大人スポーティーなエンジンに「いいね!」

190ps/400Nmを発揮する2Lディーゼルターボは常用域で最も使う1750~2500tpmで最大トルクを発生するため、1.9トン近い車両重量ながらもパフォーマンスは十分以上。一般道や高速道路では、むしろドライブモードを「ECO」にしたほうが穏やかで乗りやすいと感じたくらい。

一方、勾配がきついワインディングでは、アクセル開度が大きめでもシフトをキープしたまま、トルクを活かしてグイグイと登っていく力強さはまさに「いいね!」だ。実は、D4エンジンはアクセルを踏んだ際の反応の良さや高回転まで回したくなる伸びなどのスポーティさを備えるが、それを前面にアピールしない制御や演出がボルボ流である。

静粛性も非常に高いうえ、走りの質も向上していた

また静粛性も非常に頑張っており、外ではディーゼルらしさは多少感じるが、室内ではガソリン車とそん色ないレベルで静かである。先代XC60はこのクラスにしては割と賑やかだったので、新プラットフォームとの組み合わせによる相乗効果が発揮されているように思える。また、ガソリン車よりも落ち着きのあるサウンドは、XC60のキャラクターにマッチしていると思う。

剛性感が高いボディや、心地よいダルさを備えながらも芯がある滑らかなステア系のフットワークなどは、基本的にはガソリン車と同じ印象。しかし、エアサス/コイルバネどちらの仕様も足の動きがよりシットリして、路面からのアタリが優しくなったのと、操舵からクルマが動くまでの連続性が確実に良くなっており、結果的に走りの質がアップしている。

これはガソリン車に対し+50kg重さが効いているのか、SPAの熟成が進んでいるのかは分からないが、XC60のキャラクターにより見合う走りに“深化”しているのは間違いない。

山本シンヤの結論|XC60を買うなら「D4」を買うべし

D4はベーシックな「モメンタム」、スポーティな「Rデザイン」、ラグジュアリーな「インスクリプション」全てのグレードにラインアップ。価格は2.0リッターガソリンターボ「T5」と同じ(Rデザインは2.0Lガソリンターボ+スーパーチャージャー「T6」なので逆に安い)。他社のディーゼルモデルはガソリンモデルに対して高く設定されるのが通例。ボルボの価格は非常に戦略的かつお得な設定なのだ。

結論、XC60+D4は「ベストXC60」と言ってもいい組み合わせで、より快適に、より安心して、より速く、より遠くに行きたくなる一台になっている。個人的にはクロスオーバーSUVの「GT(グランツーリスモ)」と呼びたい。

ちなみに日本市場で「D4」はXC60を皮切りに、XC90やV90/V90クロスカントリーにもラインアップを拡大する予定である。個人的には末っ子のXC40への搭載も期待したい所だが、各モデルのキャラクターを明確にしたいと言うボルボの考えもあり設定されないそうだ。

[Text:山本シンヤ Photo:茂呂 幸正]

ボルボ XC60 D4の主要スペック

ボルボ XC60 D4の主要スペック
車種名ボルボ XC60 D4

グレード

インスクリプション

駆動方式

4WD

トランスミッション

8速AT

価格(消費税込)

6,790,000円

JC08モード燃費

16.1km/L

全長

4,690mm

全幅(車幅)

1,900mm

全高(車高)

1,660mm

ホイールベース

2,865mm

乗車定員

5人

車両重量(車重)

1,880kg

エンジン

水冷直列4気筒ディーゼルターボ

排気量

1,968cc

エンジン最高出力

140kW(190PS)/4,250rpm

エンジン最大トルク

400Nm(40.8kgm)/1,750~2,500rpm

燃料

軽油

タイヤサイズ

235/60R19

ボルボ/XC60
ボルボ XC60カタログを見る
新車価格:
739万円1,039万円
中古価格:
50.5万円850万円

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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