【比較】VW ゴルフ vs ボルボ V40 どっちが買い!?徹底比較(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
VW ゴルフ vs ボルボ V40 -走行安定性対決-
操舵感と走行安定性も比べてみよう。
ゴルフは従来モデルの延長線上で、さらなる進化を図った。操舵感は機敏ではないが、ステアリングの支持剛性の高さが感じられ、ドライバーが車両との一体感を得やすい。日常的に使いやすく、飽きのこないタイプだ。
サスペンションは、フロント側は全車が独立式のストラットを採用するが、リア側はグレードによってメカニズムが違う。1.2リッターのターボを搭載したTSIトレンドラインとTSIコンフォートラインは車軸式のトレーリングアーム、TSIハイラインは独立式の4リンクだ。
タイヤの設定も異なり、TSIトレンドラインは15インチ、TSIコンフォートラインは16インチ、TSIハイラインは17インチを履く。TSIハイラインはリアサスペンションが独立式で、タイヤも17インチになるため、ほかのグレードに比べて操舵感が少し機敏だ。
コーナリング時の動きも、基本的には全車にわたって後輪の接地性を重視するが、TSIハイラインは速度を高めて曲がっても旋回軌跡を拡大させにくい。上級グレードであると同時に、動力性能の向上と併せてスポーティな性格も併せ持つ。
そしてゴルフ全般に当てはまる特徴は、高速走行時の直進安定性が優れていること。初代ゴルフからの伝統で、良く曲がる楽しさよりも安定性、特に直進時を重視する姿勢は現行型でも変わっていない。
VW ゴルフ vs ボルボ V40 -装備対決-
装備については、両車ともに安全面を充実させた。ゴルフはミリ波レーダーを使った自動ブレーキを伴う衝突回避の支援機能を全車に標準装着。
追突時などは自動的にブレーキを作動させ、対向車線に飛び出したりするのを防ぐ。標準装着、あるいはオプションにより、カメラ方式による車線逸脱の警報&ステアリング修正機能も採用した。
V40はゴルフ以上に安全装備を充実させて、最廉価のT4も含めて全車に標準装着としている。ゴルフはミリ波レーダーで低速域から高速域までカバーしているが、ボルボは低速域は赤外線レーザー、高速域はミリ波レーダーと使い分け、さらにカメラを用いることで、歩行者や自転車に乗った人も見分ける。
カメラを使い、車線を逸脱しそうになると、車線内に留まるように自動的に穏やかなステアリング修正を行う機能も標準装備だ。
そして、ゴルフと大きく異なるのは、後方に向けたミリ波レーダーも左右にそれぞれ装着して、2車線道路などでは死角に入る並走車両やモーターサイクルも検知することだ。後退しながら車庫から出る時の安心感も高めている。
つまり全方位に安全バリアを張り巡らせた。日本車ではマツダなども後方の検知を行うが、V40の方が入念に対応している。さらに先に触れた歩行者対応のエアバッグを付けられることもメリットだ。
VW ゴルフ vs ボルボ V40 -価格比較・総評-
車両価格は1.2リッターのゴルフTSIコンフォートラインが279万9,000円、1.4リッターのTSIハイラインが310万9,000円になる。
TSIハイラインには、レーンキーピングアシスト、フォグランプ、アルカンターラ製のシートなどを追加装着した。動力性能の向上とリアサスペンションの上級化を考えると、31万円の価格アップなら買い得といえるだろう。
V40のT4は297万2,571円で、前述のように安全装備がフルに備わる。V40の安全装備は少なくとも20万円くらいはゴルフTSIハイラインをリードするから、総額なら33万円くらいは割安になると判断できる。
結論をいえば、取りまわし性やリヤシートの居住性はゴルフが優れ、動力性能はV40が勝る。運転感覚もV40はスポーティ、ゴルフは直進性を重視した安定指向だ。内装の雰囲気はゴルフが質感、V40はスポーティーな感覚を大切にしている。そして安全面はV40がリードしており、価格もゴルフより割安に抑えた。
イメージとしては、ゴルフは市街地と高速道路、V40は峠道と高速道路にマッチするが、実際の用途として大差はない。そしてV40はゴルフと違って過去のモデルによる認知度の積み重ねがない分だけ、安全装備に力を注ぎ、価格を戦略的に割安に抑えた。
まさに格好のライバル同士。日本の市場に本気で取り組む姿勢が見られ、今までとは輸入車に対する見方が変わりそうだ。
ちなみにV40 ・T4の価格帯には、日本車ではヴォクシーハイブリッドX、アテンザセダン&ワゴンXD(クリーンディーゼルターボ)、86GTなど、少し上級に位置する日本車の買い得グレードが集中している。
これらの日本車では、充実した衝突回避の支援機能は、オプションか、非設定になってしまう。なので日本車と比べても買い得度の差はほとんどない。
輸入車をブランド性ではなく、機能を比べて選べる新しい時代に入った。
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