ボルボ V60 D4 クラシック試乗|ファイナルモデルをあえて選ぶ積極的な理由

いよいよ次期V60が欧州デビューしたが・・・

ここ数年、日本で最も勢いがある輸入車メーカーと言えば「ボルボ」だろう。昨年はXC60が2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞はもちろん、2017年1月~12月の新車登録台数が前年比8.3%増となる15,751台を記録、3年連続で前年を上回った。そんな日本のボルボをV40やXC60と共にけん引してきたモデルがV60だ。すでに2018年3月のジュネーブショーで新型V60がお披露目されているが、今回紹介するのは現行V60のファイナルモデルと呼ばれる「V60 クラシック」だ。

現行のV60はステーションワゴンながらも、積載性よりスタイリングを重視したモデルで、ボルボにしてはスポーティなイメージを重視したデザインを採用している。

ちなみにボディサイズは全長4635×全幅1865×全高1480mmで、実は全幅以外はスバル・レヴォーグ(全長4690×全幅1780×全高1495mm)に近い。

インパネ周りはスイッチが多い操作系(実は慣れると非常に使いやすいが、初見は戸惑うかもしれない)や7インチのディスプレイなどは、最新のライバルと比べると時代を感じる部分もあるが、装備面で不満がでることはないだろう。

ボディカラーにより内装色はブラック/ベージュの2タイプが用意されるが、個人的にはボルボの世界観を味わうなら間違いなくベージュをオススメしたい。

>>VOLVO V60 D4 Classicの全てを画像でもっと見る![フォトギャラリー]

充実装備満載、しかも最先端の安全装備は未だライバルも追い付いていない

V60クラシックは、従来のラインアップに対して充実装備が特長となっており、「本革シート」、「助手席8ウェイパワーシート」、「フロントシートヒーター」、「12セグ地上デジタルTV」、「チルトアップ機構付電動ガラス・サンルーフ」、「18インチアルミホイール」、「フロントデコフレーム(クローム)」「アーバン・ウッド・パネル」などが標準装備としてプラスされる。

ボルボが自社開発した「Drive-E」(ドライブ・イー)パワートレインは3種類が設定される。

ガソリンモデルが、152ps/250Nmを発揮する直4 1.5リッターターボの「T3」と245ps/350Nmを発揮する2.0リッターターボの「T5」、ディーゼルモデルは190ps/400Nmを発揮する2.0リッターターボ「D4」だ。組み合わされるトランスミッションは、T3のみ6速ATで、T5とD4が8速ATとなる。

ちなみにモデル末期と言っても、歩行者・サイクリスト検知機能付衝突回避・軽減フルオートブレーキシステムをはじめとする10種類以上の全方位的な世界最先端のアクティブセーフティ(先進安全装備)「INTELLISAFE」(インテリセーフ)や、コネクティビリティアプリを採用する「センサスコネクト」など、最新モデルと変わらないアイテムを装備している。最後までアップデートの手を緩めない姿勢は、日本車もぜひ見習ってほしい部分である。

やはり「最新のボルボは最良のボルボ」だった

今回ディーゼルエンジンを搭載するV60 D4クラシックに試乗したが、やはり「最新のボルボは最良のボルボ」であることを再確認できた。

特に驚いたのは走りの部分で、変更のアナウンスはないが明らかに“深化”している。

V60が使うフォードグループ由来のプラットフォームは、速度を上げるとフラット感が増すが、街乗り領域ではバネ下がややバタバタする。また、大き目のギャップを超える時のいなし方や前後のバランス感に世代の古さを感じさせる面も。

しかしV60 D4 クラシックは、大径なタイヤサイズ(235/40R18)のミシュラン パイロットスポーツ3を履きながら、従来モデルよりもしなやかな足の動きをみせる。段差、乗り越え時のアタリも丸くなっている印象だ。これはXC60クラシックの時と同じで「何だ、やればできるじゃん!」と言った印象だ。

■参考:[試乗]ボルボ XC60 T5 AWD クラシックは熟成し尽くされた“Classic”の味わい

しかし、サスペンション周りの熟成に対して、ステアリング系は以前と同じく操作に対してやや機敏に動く特性のままなので、17インチもしくはもう少し快適性重視のタイヤ(例えばミシュラン プライマシー3など)だったらもっと良かったかもと思う。

その一方で、スポーティなフォルムとのバランスを見ると「ルックスは絶対に18インチ!!」と思うのも事実。この辺りのバランスの難しさは旧シャシーの限界なのかもしれない。

2リッターディーゼルターボのD4+8速ATは、V60のキャラクターを考えるとベストマッチな組み合わせだと思う。1690kgの重量級のボディを全く感じさせない力強さなので、むしろ燃費重視の「ECO+モード」のほうがスムーズに感じてしまうほど。

その上、高速道路を全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使い普通に走って20km/L前後と言う低燃費も嬉しいポイントである。旧シャシー+最新パワートレインの組み合わせなので静粛性は若干気になる部分もあるが、ライバルと比べても十分対抗できるレベルだろう。

新型V60デビュー目前でも最終モデル「V60 Classic」を積極的に選んでみたい

ボルボV60のファイナルモデル「V60 クラシック」の価格はT3 Classicが474万円、D4 Classicが499万円とかなり戦略的なプライスだ。

往年の四角いボルボのイメージを飛び切りモダンに解釈した新型V60は、なるほど人気を呼びそうな予感がする。だがいっぽうで、現行型V60のコンパクトでスポーティなフォルムが好みだという方も少なくないだろう。また新型V60が上級移行する(価格帯が上昇する)ことも十分に予想される。

そんなことをトータルで考えると、熟成を重ねて完成されたうえ、充実装備もフルで搭載される現行V60のファイナルモデル「V60 クラシック」を、気取らずにサラッと乗りこなすと言う選択も十分にアリだと思う。

[レポート:山本 シンヤ/Photo:オートックワン 編集部]

>>VOLVO V60 D4 Classicの全てを画像でもっと見る![フォトギャラリー]

主要スペック

ボルボ V60 D4 Classic[FF]の主要スペック
グレードV60 D4 Classic(クリーンディーゼル)

価格(消費税込み)

4,990,000円

駆動方式

前輪駆動(FF)

トランスミッション

8速AT

全長

4,635mm

全幅(車幅)

1,865mm

全高(車高)

1,480mm

ホイールベース

2,775mm

乗車定員

5人

車両重量(車重)

1,690kg

エンジン

直列4気筒 直噴 DOHC 16V インタークーラー付ターボチャージャー ディーゼル

排気量

1,968cc

最大出力

190ps(140kW)/4,250rpm

最大トルク

40.8kgm(400N・m)/1,750-2,500rpm

燃料

軽油

タイヤサイズ

235/40R18

最小回転半径

5.8m

ボルボ/V60
ボルボ V60カタログを見る
新車価格:
619万円999万円
中古価格:
29万円961万円
ボルボ/V60クロスカントリー
ボルボ V60クロスカントリーカタログを見る
新車価格:
699万円764万円
中古価格:
111.8万円603万円
ボルボ/S60
ボルボ S60カタログを見る
新車価格:
679万円909万円
中古価格:
33.4万円742.3万円

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

ボルボ V60の最新自動車ニュース/記事

ボルボのカタログ情報 ボルボ V60のカタログ情報 ボルボの中古車検索 ボルボ V60の中古車検索 ボルボの記事一覧 ボルボ V60の記事一覧 ボルボのニュース一覧 ボルボ V60のニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる