ボルボの最新ディーゼルを乗り比べ! ボルボ V40クロスカントリー/V60 D4 試乗レポート(1/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也
ボルボはディーゼルモデルを5車種イッキにラインナップ
「今が絶好の売り込みチャンス!」とばかり、欧州車を中心にクリーン・ディーゼル・ターボ搭載車が続々と発売されている。国内で先行するメルセデス・ベンツやBMWではディーゼル人気も高く、ボルボも先ごろ「V40」「V40クロスカントリー」「V60」「S60」「XC60」の5車種で、イッキにディーゼルモデル「D4」シリーズを設定した。
もともと欧州にはディーゼルエンジンをラインナップするモデルが豊富だ。燃料消費量と併せて二酸化炭素の排出量が少なく、実用回転域の駆動力は高い。したがって欧州を網羅する高速道路を巡航する機会の多い彼の地での使われ方にも合うため、長年にわたりディーゼルが高い支持を得てきた。
いっぽう、日本もかつてはディーゼル車を数多く用意していた。燃費効率が優れ、なおかつ今よりも軽油の価格が大幅に安かったからだ。現在の軽油価格はガソリンを20円下まわるくらいだが、1990年代の前半は、ガソリンが1リッター当たり120~125円、軽油は70~75円であった。ディーゼル車は燃費も良いから、燃料代をガソリン車の50%前後まで節約できた。
だから「三菱 パジェロ」や「トヨタ ランドクルーザー」といったオフロードSUVに加えて、「トヨタ カローラ」や「クラウン」などのセダンにもディーゼル車が多かった。ディーゼル+4WD+5速MTという組み合わせは、今の国内で売られる日本車ではマツダだけだが、1990年代の前半は、「トヨタ カローラ」、「コロナ」、「日産 サニー」など、多くのセダンで同じ組み合わせを選べた。最近は車種が増えてグレードが減っているが、当時は逆だった。現代に比べ、軽自動車やSUVなどの車種数は少なかったが、エンジン、駆動方式、トランスミッション、グレードの選択肢は膨大であった。
ただし21世紀に入ると日本では、ディーゼルエンジンが排出する窒素酸化物と粒子状物質の動植物に与える悪影響が問題視され、ディーゼルは厳しい排出ガス規制の対象になった。ディーゼル乗用車はSUVを含めて一時的に消滅し、市場のディーゼルに対するイメージも下がった。
日本でも急速に高まる、ディーゼルモデルの支持率
しかしこの後、「日産 エクストレイル」が欧州仕様をベースにしたディーゼルを設定。「マツダ CX-5」が動力性能と燃費をバランス良く向上させた新開発のディーゼルを発売して、一躍注目を浴びる存在になった。この後もCX-5がディーゼル比率を70~80%に保った状態で売れ続け、「アテンザ」も比率が高い(「アクセラ」は最上級グレードのみの搭載だから20%弱)。日本国内でも市場の認識が変わり、前述のBMWがディーゼルの3シリーズ「320d」を低価格で発売したこともあって、ほかの輸入車メーカーも追従した。
改めて振り返ると、ディーゼルが充実し始めたのは「マツダ CX-5 XD(クロスディー)」がきっかけだった。日本でディーゼルのイメージを変革し、輸入車にも販売ルートを開いたマツダの功績は大きい。
そこで改めてボルボの「V40クロスカントリー」と「V60」の各D4モデルを試乗することにした。
V40クロスカントリーは2リッターのガソリンターボも用意するが、ディーゼルの販売比率は直近では70%に達する。V60も60%を占めるから、ディーゼル搭載車はいずれも人気グレードだ。
[V40クロスカントリー D4の実力を試す!・・・次ページへ続く]
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