ボルボの最新ディーゼルを乗り比べ! ボルボ V40クロスカントリー/V60 D4 試乗レポート(2/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也
往年のディーゼル経験者なら驚く!? ボルボディーゼルモデルの静粛性
まずは「V40クロスカントリー D4 SE」を試乗した。駆動方式は前輪駆動の2WDである。
発進直後に気付いたのは、ディーゼル特有のノイズが比較的明瞭に聞こえることだ。マツダのディーゼルほど静かではない。もっとも、輸入車を含めさらに音量の大きなディーゼルもあるから、全体で見れば平均水準に収まる。
このノイズの受け取り方はユーザーによっても異なるだろう。1990年代頃までのディーゼルに乗った経験があれば、ずいぶん静かになったと感じる。逆にガソリンエンジンしか知らないと、違和感が生じることもあると思う。
D4の動力性能は最高出力が190馬力(4250回転)、最大トルクが40.8kg-m(1750~2500回転)。トランスミッションは8速ATだ。
低速から力強く、スムーズに伸びていくD4エンジンの加速感
1300回転以下では駆動力(トルク)の落ち込みが感じられた。ただし、この回転域を使う機会はほとんどない。ATが8速タイプとあってギヤ比の割り方が細かく、Dレンジで走行している時は、1300回転以下に落ち込まないように制御するからだ。あえてマニュアル変速を行い、エンジン回転を下げると、1300回転以下の加速が緩慢に感じた。
最大トルクの発生回転域が1750~2500回転だから、この領域の加減速が力強い。なおかつディーゼルとしては高回転域まで良く回る。
試しにDレンジでフル加速すると、ATのシフトアップは4500回転で行われた。最高出力の発生領域を超える回転域まで回しても意味はないが、回転上昇の伸び悩みは上手に解消した。
1500~4000回転付近は特にスムーズだ。マツダのディーゼルほどではないが、ガソリンエンジンに近い感覚で運転できる。動力性能をノーマルタイプのガソリンエンジンに当てはめれば3.5~4リッタークラスだ。
アイドリングストップの動作ひとつとっても、国産車とは思想が異なる
アイドリングストップも装着され、ディーゼルでありながら再始動時の振動とノイズはあまり気にならない。滑らかに再始動が行える。
このアイドリングストップ機構が作動している最中に、サイドブレーキレバーを引いてATレバーをNレンジに入れ、ブレーキペダルを離すとエンジンが再始動する。しかしPレンジであれば、アイドリングストップの状態を保つ。この時にシートベルトをはずし、さらにドアを開くと、エンジンが完全に停止した。
日本車では同じ操作でエンジンが再始動するタイプが多いが、欧州車は停止させるのが普通だ。再び発進する時は改めてイグニションスイッチでエンジンを始動させる。
V40シリーズの一員らしい機敏な走りと上質な乗り心地
V40クロスカントリー D4 SEの試乗車に装着されていたタイヤは17インチ(225/50R17)で、銘柄はミシュラン・プライマシーHP。指定空気圧は前輪が240kPa、後輪が230kPaと若干高めだ。
そのためか時速40km以下では乗り心地もやや硬めに感じるが、路上の段差を乗り越えた時の突き上げ感は抑えられて気にならない。乗り心地はおおむね満足できる。
操舵に対する反応は正確だ。小さな舵角から向きを変えようとする。このあたりは「V40」と同様、分かりやすいスポーティ感覚に仕上げた。
コーナリングも、走行安定性を損なわないように配慮しながら機敏に良く曲がる。峠道の走りはけっこう楽しい。クロスカントリーという名称ながら、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)はV40と比べて10mm程度しか高まらず、145mmに抑えたことも走行安定性を高めた理由だろう。
もっともその分だけ、悪路の走破力は向上しない。名称はクロスカントリーでも都市型のモデルだ。
[いっぽう、V60 D4の性能はどうか・・・次ページへ続く]
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