ボルボ 新型 V40(ブイ・フォーティ) 試乗レポート/飯田裕子(2/2)

  • 筆者: 飯田 裕子
  • カメラマン:オートックワン編集部・ボルボカーズジャパン
ボルボ 新型 V40(ブイ・フォーティ) 試乗レポート/飯田裕子
ボルボ 新型 V40 T4 SE[ボディカラー:ビアリッツブルーメタリック] ボルボ 新型 V40 T4 SE ボルボ 新型 V40 T4 SE エクステリア ボルボ 新型 V40 T4 SE エクステリア・フロント正面 ボルボ 新型 V40 T4 SE エクステリア・サイドビュー ボルボ 新型 V40 T4 SE エクステリア・リア正面 ボルボ 新型 V40 T4 SE エクステリア・リアビュー ボルボ 新型 V40 T4 SE フロント周り ボルボ 新型 V40 T4 SE リア周り ボルボ 新型 V40 T4 SE ヘッドライト周り ボルボ 新型 V40 T4 SE 225/45R17タイヤ+17インチアルミホイール 画像ギャラリーはこちら

ボルボらしい癒し溢れるインテリアに先進性をプラス

ボルボ 新型 V40 T4 SE インパネ周りボルボ 新型 V40 T4 SE 荷室(後席前倒時)

ボルボのインテリアは、スポーティな中にも癒しとか優しさが伝わるテイストで共通しているが、これはV40でも継承されていた。液晶メーターを多用した走行モード表示のアイディアと形状は新鮮だし、そして7色から選べるアンビエントライトなどによるムード作りもバッチリ。さらに『フレームレス・ルームミラー』の斬新さは、インテリアのスタイリッシュさを高める1アイテムだ。質感についても、今回はレザーシートをオプション採用するSEグレードに乗ったが、内装の媚びない美しさと上品さ、そして清潔感のある素材選びに好感が持てた。

スペースはフロントは申し分ないが、リアシートについては使い方で判断が変わるかもしれない。膝回りの前席との余裕は十分。一方で側面衝突に対応していると想像できる左右の空スペースがやや横方向のタイトさを生んでいた。しかしデザイン的には3人分のスペースを持つ。中央に座る人間の位置をやや前にデザインすることで、左右の人との肩干渉もなく保てる理屈になっているのだ。

ラゲッジ容量だが、通常335リッターからリアシートを倒した状態の1032リッターという数値はライバルに比べ若干劣る。しかしながらラゲッジフロアの高さ調節も兼ねたボードを利用すると買い物フックが現れたり、スペースを分けて収納できたりという工夫が、広さ以上に利便性を高く感じさせてくれる。

ボルボ 新型 V40 T4 SE リアシートボルボ 新型 V40 T4 SE フロントシート(スカルプテッドX-シェイプ・デザインシート)ボルボ 新型 V40 デジタル液晶メーターパネル(3テーマ選択式:Performance)ボルボ 新型 V40 デジタル液晶メーターパネル(3テーマ選択式:Elegance)ボルボ 新型 V40 デジタル液晶メーターパネル(3テーマ選択式:Eco)

プレミアム・コンパクトに相応しい環境性能と動力性能

ボルボ 新型 V40 T4 SE 1.6リッターインタークーラー付きターボチャージャー DOHC 16V 直4直噴ガソリンエンジン[横置き] 

環境性能と走行性能にもプレミアム・コンパクトとして高次元での両立にこだわったというV40 。180ps/240Nmを発揮する1.6リッター直噴ターボ(T4)エンジンを、ボルボ初採用となるスポーツモード付6速ATと組み合わせ搭載。環境性能向上とハンドリングにも貢献するボディの軽量化や、これらもボルボ初となるスタート/ストップシステムや電動パワーステアリング、さらにブレーキ回生システムなどを採用。JC08モード燃費は、同じエンジンを搭載する従来モデル(V50)比で40%向上し16.2km/L。

加えてドライビングの新鮮な解釈として、今回のV40には「エレガンス」「エコ」「パフォーマンス」を液晶メーター上で切り替える機能が採用されている。ただしこれで変わるのはメーター表示内容と色のみ。「走行モードを変えるのはクルマではなくドライバーだ」というコーチング的発想に基づいたデザイナーの言葉に深く納得した。

ボルボ 新型 V40(ブイ・フォーティ) 試乗レポート/飯田裕子 4ボルボ 新型 V40(ブイ・フォーティ) 試乗レポート/飯田裕子 6

走行時、アクセル操作に対するトルク加減もターボ搭載モデルとしてはダイレクトでスムーズ。ボディサイズにして十分な速さや力強さ、そして静粛さを持ち、今回は特に高速走行での追い越し加速のシャープさが印象に残っている。

ハンドリングは、ワインディングではカッチリと引き締まったボディを軽快に走らせることができた。

足まわりの設定は、ボルボ車の中で「ツーリング」「ダイナミック」「スポーツ(Rデザイン系)」と大きく3タイプあるが、今回のV40 T4系には「ダイナミック」というややスポーティなセッティングが採用されている。が、ハード系ではない。

全体的な印象は、ステアリングの操作フィールの重すぎないチューニングと共に「スムーズ」という言葉が似合いそうだ。フラットな乗り心地は後席でも前席とほぼ同等だった。

プレミアムながら、価格は269万円から!

ボルボ 新型 V40(ブイ・フォーティ) 試乗レポート/飯田裕子 3ボルボ 新型 V40(ブイ・フォーティ) 試乗レポート/飯田裕子 7

V40 のユーザーイメージは、小さな子供を持つファミリーやカップル、シティ・ピープル。ドイツ車のブランド力にはない魅力がボルボにはありV40はボルボ・エッセンスの濃縮ジュースみたいなものだ。

このボルボV40は、現段階では「T4」と上級版「T4 SE」という2グレードの展開で発売が開始され、スタートプライスはT4で269万円と思い切った価格を打ち出している。スタンダードなモデルであってもデザインやドライビング関するセッティングは共通だから、それだけでも新しさと個性を手に入れることはできる。

が、最後に一つだけ苦言を述べさせていただくと、ボルボのもう一つの“ウリ”である安全装備については、魅力的な最新10アイテムが“セーフティ・パッケージ”として20万円のオプション設定となっている点が惜しい。これらも標準装備してこそ、ボルボがプレミアム・コンパクトクラスのライバルたちに圧倒的なアドバンテージと与える効果が大きいと思うのだ。実際のところ、20万円で多くの安全装備が選べる(しかもそれは、ライバル車では付けようとしても付けられない先進装備だ!)のも、かなりのバリュー・パックだとは思うけれど…。

ボルボV40 T4 SE[FF] 主要諸元

ボルボ 新型 V40 T4 SE リア周り

全長x全幅x全高:4370x1785x1440mm/ホイールベース:2645mm/車両重量:1430kg/駆動方式:前輪駆動[FF]/エンジン種類:インタークーラー付きターボチャージャー DOHC 16V 直4直噴ガソリンエンジン[横置き]/総排気量:1595cc/最高出力:180ps(132kW)/5700rpm/最大トルク:24.5kg-m(240Nm)/1600-5000rpm/トランスミッション:6速 ギアトロニック(湿式デュアルクラッチトランスミッション)/燃料消費率:16.2km/L(JC08モード)/タイヤサイズ:225/45R17/車両本体価格:309.0万円[消費税込み]

※試乗車にはナビゲーション・パッケージ(+20.0万円)/レザー・パッケージ(+20.0万円)/セーフティ・パッケージ(20.0万円)/パノラマ・ガラスルーフ(+20.0万円)/メタリック・ペイント(+8.0万円)/歩行者エアバッグ(+6.0万円)/PCC(パーソナル・カー・コミュニケーター)・キーレスドライブ(+3.0万円)を装備

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飯田 裕子
筆者飯田 裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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