ボルボの安全神話は日本でもすっかり根付いており、それを象徴するかのごとき、いかにも頑丈そうな四角いボディも、ボルボのトレードマークとしてずっと好感を持って受け入れられていた。
ところが、2001年に登場した初代S60は、それまでのボルボとは打って変わって、曲面を多用した流麗なスタイリングをまとっていることに驚かされた。
そして、10年ぶりにモデルチェンジを迎えたS60を目にし、またしても大きな衝撃を覚えた。
これがボルボ!?
最近のマイナーチェンジでガラッと変わったC70やC30の延長上のような感じだろうと、心の準備はできているつもりだったが、ここまでやるとは予想外だった。
エモーショナルで、流れるようなスピード感のあるスタイリングを呈し、2つの波を描くホイールアーチが「野生動物の筋肉を想像させる」と聞かされれば、たしかにそう見えてくる。
アグレッシブなエクステリアに対し、インテリアはスカンジナビアン・デザインによる落ち着いた雰囲気。すでにボルボのお家芸となったフローティングセンタースタックは、若干ドライバー側に向けられているが、等しくドライビングを共有してもらえるようにとの配慮により、助手席からも使いやすいよう、絶妙な角度に設定されている。
乗員を包み込むかのような大柄なシートもボルボらしく、クーペ風のフォルムながら、意外や後席もゆったりと座れる空間が確保されている。