ボルボのワークス直系コンプリートカー「S60/V60 ポールスター」が記念すべき2017年に有終の美を飾る(2/3)

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エンジンサウンドはさらに心地良く“深化”

走りの部分は専用チューニングされた2リッターターボ+スーパーチャージャー仕様の「Drive-E」+8速AT、エキゾーストシステムの変更はないが、スポーツモードを選択すると明らかに従来モデルより心地よいサウンドに“深化”している。これはノイズ低減機構付のミシュラン・パイロット・スーパースポーツの効果により、ロードノイズが抑えられたことでパワートレインのサウンドがよりピュアに聞こえるようになったのだろう。

普通に乗っていると大排気量NAのようなフラットトルクだが、アクセルをギューッと踏み込むと、鋭いレスポンスに加えて最新のダウンサイジングターボらしからぬ盛り上がりとレッドゾーンまでストレスなく回るスポーツユニットに変貌する。

ちなみに裏モードと言ってもいいスポーツ+モードも健在。ESPはOFF、シフトポイントは4000rpm以上(Dレンジのままでシフトアップ/ダウンを的確に実施、パドル操作すると解除)、シフトスピードはスポーツモードより更に早めるなど、まさにサーキットスペシャルモードだ。一般道で使用は可能ではあるもののその効果を味わうのは不可能。

スポーツ+モードにするには儀式が必要で、車速0km/hでシフトレバーはスポーツモードへ倒し、パドルシフトの「+」を引いたまま、シフトレバーを「-」方向(=シフトダウン)に2度倒すとメーター内の「S」マークが点滅して完了。これは取扱い説明書にも載っておらず、ディーラーマンから口頭で伝えられる隠しコマンドだ。

公式なアナウンスはないものの足回りの安定感や快適性は明らかに進化を遂げている

フットワーク系はオーリンズDFVダンパーを採用した専用サスペンション、電動パワーステアリングに変更はないと言うものの、実際に乗ると明らかに違う。

具体的には、タウンスピード領域でより足が動いている印象なのだ。もちろん大きな段差ではショックがあるものの、それ以外は乗り心地が非常にまろやかで快適性が高い。それでいながら、ハイスピード領域では従来モデルと同じくアンダーステアは最小限で、タイヤは路面から離れる気配がしないくらいビターっと安定した走りのまま。つまり、20インチをより履きこなしている印象なのだ。

これは推測だが、エアロパーツ装着によるダウンフォースが最大30%向上したことに合わせて、サスペンションを最適化していると思われる。ハイスピード領域を空気の力で安定させることが可能になったことで、メカニカルグリップで抑え込む必要はなくなったのだろう。そう考えると、タウンスピード領域の快適性アップは納得できる。そういう意味では、GTとして魅力がより引き上げられているが、走りの部分に関しても内外装と同じように次世代ポールスターに繋がっているのだろう。

超スペシャルモデルだがボルボらしく先進運転支援システムもしっかり標準装備

ちなみにオーリンズDFVダンパーはこれまで同様に減衰力が調整可能。今回は基本設定(F10/R10)で乗ったが、用途や好みに合わせて推奨設定も用意されるので、色々と試しながら自分仕様を仕立てるのもいいだろう。

ブレーキは変更ないが、決して軽くはない車両重量を止める絶対的な制動力や耐フェード性は言う事なし。コントロール性もスポーツブレーキながらもタッチが柔らかな印象で、より細かなコントロールが可能だった。

ちなみに車両重量はセダンのS60が1730kg、ワゴンのV60は1790kgと60kg差がある。基本的な特性は共通ながら、乗り比べるとS60は軽快なクルマ動きの良さ、V60は前後バランスの良さが印象的であった。

ちなみに世界トップレベルを誇るボルボの安全支援システムも標準装着。スペシャルなモデルだが量産モデルと同じラインで同様に生産が行なわれており、品質や保証&サービスプログラムも量産車と全く同じなのも嬉しい。

販売台数は全世界限定1500台で、日本へはセダンのS60は20台、ワゴンのV60は30台が割り当てられているが、どちらも残り台数は半分を切っているそうだ。最後のピュアな究極のロードゴーイングボルボ、気になる人は本当に急いだほうがいい。

>>ボルボのエース、V40の限定車「D4 Rデザイン tuned by Polestar」にも試乗[次のページ]

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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