【試乗】ボルボ V40 T4 SE マイナーチェンジ(2015年モデル) 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
クルマ選びが「安全性」抜きには考えられなくなってきた
今のクルマ選びの特徴は、以前に比べ安全性が重視されていることが挙げられる。スバルがアイサイトを「ぶつからないクルマ?」とアピールして注目を浴びた効果もあり、衝突回避の支援機能をクルマ選びの条件に挙げるユーザーが増えた。
これはとても良い傾向だ。クルマは便利で楽しいツールだが、交通事故のリスクがあるという大きな欠点を持つ。クルマを運転しなければ、日常生活の中で他人を殺傷する心配はほとんどないが、運転をすればそれが発生する可能性がある。そして交通事故の発生はクルマの誕生と同時に始まったので、安全性の向上は長年の課題だ。
4輪ABSや横滑り防止装置を含めて、安全装備が急速に進歩したのはこの25年ほどの間だが、ボルボは長年にわたって取り組んできた。1959年には他社に先駆けて3点式シートベルトを採用。1960年代に入ると衝撃吸収ボディにも本格的に取り組み、1970年にはボルボ車の事故を調査する組織を立ち上げている。
以前のボルボ車では、衝撃吸収ボディ、エアバッグなど、事故が発生した後で効力を発揮する安全性能が一般に知られていた。それが今は、複数のセンサーを組み合わせて事故の発生そのものを抑制する安全技術が注目されている。
「インテリセーフ10(テン)」標準装備でますます魅力をアップした「V40」
このボルボの安全性を、最も身近に、低価格で得られる車種が「V40」(ヴイフォーティ)だ。価格を315万円に設定したベーシックグレードの「T4」を含めて、「インテリセーフ10」と呼ばれる安全装備を標準装着している。ミリ波レーダー/赤外線レーザー/デジタルカメラという3つのセンサーを持ち、歩行者や自転車を含めて、衝突の危険が生じるとドライバーに警報を発する。さらに危険性が高まると、自動的に緊急ブレーキを作動することも可能だ。
このほかドライバーの死角に入る後方を走る車両を検知したり、車線逸脱時に修正の支援操舵を行う機能も備わる。ドライバーの疲労検知なども含めて、10項目の安全機能をそろえた。
さらにオプションでは歩行者を保護するエアバッグも用意され、ボディはミドルサイズでも、安全装備はフルに装着できる。安全性に重点を置いてクルマを選びたいユーザーにとって、V40は狙い目だろう。
ちなみに日本車の場合、衝突回避の支援機能は、ミドルサイズ以上の車種にはミリ波レーダー方式、コンパクトカーや軽自動車には低速用の赤外線レーザー方式が普及している。レーダーやレーザーセンサーでは歩行者を検知できず、カメラを備えても、車線逸脱のみという車種が多い。前方の歩行者や自転車を見分けられて、なおかつ斜め後方を並走する車両まで検知できる車種は、大幅に限られてしまう。V40は安全装備を幅広く網羅して、なおかつ価格を無理のない設定に抑えた。
[2015年モデルは足回りの設定も激変!・・・次ページへ続く]
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