ボルボ V70&XC70 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ボルボ・カーズ ジャパン
ボルボ V70&XC70 海外試乗レポート
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シリーズ初の6気筒エンジンが似合うラグジュアリー性

新しいV70/XC70のメカニズム上の最大の特徴は、シリーズとしては初めての6気筒エンジン搭載仕様がラインナップに加えられた事。つまりこれは、すでに新型がリリースされているS80シリーズと、ボディの基本骨格を共有しているという事。すなわち、S80のバリエーション展開を考えれば「V70/XC70にもヤマハ製の8気筒エンジンを搭載可能」という事が示唆されてもいるわけだが・・・。

新型V70に搭載のエンジンは、ガソリンが3タイプのディーゼルが2タイプという計5種類。この内、ガソリンエンジンは6気筒ユニットが3リッター ターボと3.2リッターの自然吸気で、5気筒は2.5リッターのターボ付きという展開になる。

今回テストドライブを行ったのは最高285psを発する6気筒ターボエンジンにアイシンAW製の6速ATを組み合わせる『T6』グレード。ハルデックス社製電子制御カップリングを用いる4WDシャシーと組み合わされ、0→100km/h加速は7.2秒、最高速は245km/hというパフォーマンスが発表されている。

ドイツで開催された国際試乗会の場で 走り始めての第一印象は「より静かで、より滑らかで、従来型よりもグンと上質になった」というもの。謳い文句の通り、走りのラグジュアリー感はこれまでのモデルよりも明確に上。これならば、そのネーミングはもはやV70ではなく“V80”としても良いくらい・・・と、そんな風にすら感じられた。

従来型のRシリーズと共に導入をされた3つのポジションを備える電子制御の可変減衰力ダンパー“FOUR-C”は、そのモードをどこにセットしても優れた乗り味を提供してくれる。もちろん、『コンフォート』よりは『スポーツ』、『スポーツ』よりは『アドバンス』とその硬さが増してボディの動きにも締まり感が強まるものの、それでも総合的にはどのポジションでも乗り心地に関しては合格点を与えられる。もちろん、前述のツインスクロールターボ付きエンジンはどんなシーンでも十二分な力強さを味わわせてくれるから、実はこのクルマは世界的にみても「すこぶる速いワゴン」の1台でもあるのだ。

一方のXC70に搭載されるエンジンは、現時点では3.2リッターのガソリン6気筒と、2.4リッターのターボ付き5気筒ディーゼルのみ。今回のテスト車は6速ATを4WDシャシーと組み合わせる前者だったが、こちらもまたなかなか上質な走りのテイストを味わわせてくれた。

先のV70に比べると、大径のオールシーズンタイヤを履いたばね下の動きがやや重く、時に振動の収束がやや鈍いという印象を感じさせるシーンは存在した。0→100km/h加速データは8.6秒というから日常シーンには十分な加速力の余裕はあるものの、それでもV70に比べればやや荷が重いという印象を受ける事があったのも事実だ。

一方で、地上高が大きいにもかかわらず走りの安定感に遜色を感じなかったのは、こちらのモデルにも装備されていた“FOUR-C”が、V70の場合以上に大きな威力を発揮してくれたからとも考えられる。そもそも、地上高を上げ、大きく重いシューズを履かせれば、そこでの走りのクオリティは低下方向に向かってしまうのが自然というもの。が、新型XC70がそんなマイナス面を殆ど意識させないのは、最新の電子制御技術を駆使する事が可能であったから、と、そう考えても間違いではないはずだ。

ついに6気筒エンジンを積むに至ったV70/XC70は、なるほどそんな新しい多気筒エンジンがお似合いと思えるラグジュアリー性を実現。見ても乗っても、従来型比で1ステップ以上の上級移行を明確に実感出来るニューモデルが、この2台と言って良い。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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