フォルクスワーゲン トゥアレグ ドライビングエクスペリエンス(3/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:フォルクスワーゲンジャパン
VWのクルマが教えてくれたこと
翌日は、デューンと呼ばれる丘陵状の砂地を、一日中走った。
朝一番から、あちこちでスタック。無理もない、足首まで埋まるようなフカフカの砂地が360度見渡せるようなところなんて、日本には存在し ないのだから。誰かがスタックすれば、スコップで砂を掻き出すのを手伝い、自分がスタックすれば同じように助けてもらう。参加者3名のうち2名がトゥアレグ・ユーザーで、1名は他ブランドのドイツ製ワゴンユーザー。
「砂漠で何度もスタックしましたが、いい経験です。副変速機なんて、自分では使ったことありませんでしたから」ディナーの席で興奮気味に語っていたオーナー氏は、自分のトゥアレグに惚れ直したようだ。翌日は、砂漠から一転して、巨岩と絶壁の連続だった。景観は異なるが、眼に入る人工物が恐ろしく少ないという点で共通している。
日本で、毎日眼の前3センチぐらいの意識でせわしなく生きているから、こういった地平線まで何もないようなところを走っていると、意識が覚醒されてくる。
「トゥアレグで北海道に出掛けたり林道を走ったりしていますが、チュニジアはスケールが違う。次回は、女房を連れてきたいですね」僕だけでなく、トゥアレグオーナー氏も同じ気持ちのようだ。マタマタからジェリド湖を抜け、トズールに帰るルートでは、道は舗装に戻った。トゥアレグ 3.0 V6 TDIは最低地上高を下げ、安定して、快適に僕らを運んでくれた。
「SUVって、こういうところを走るためのクルマなんですね。スゴさがよくわかったので、次はトゥアレグに乗りたくなりました」他銘柄のドイツ製ステーションワゴンに乗っている参加者は、すぐにでも買い替えそうな勢いだった。
効率は良くないかもしれないが、自動車メーカーにとってこれほど強力なセールスプロモーションもないだろう。参加する側にとっても、忘れられない旅になる。フォルクスワーゲンと砂漠に限らず、様々なタイプの有料ツアーを欧米の自動車メーカーは用意している。
外国で思う存分クルマを走らせ、旅してみたいと考えている人は、各車のウェブサイトをチェックし、ディーラーに問い合わせてみることを強くお勧めしたい。外国で、クルマを思い切り走らせるのは難しくなくなったのだ。
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